クミ・ナイドゥ(グリーンピース・インターナショナル 事務局長)

記事 - 2011-05-15
グリーンピース・インターナショナル事務局長 クミ・ナイドゥ のご紹介

就任時の挨拶より

(2009年11月)

このたびは、グリーンピースを率いる機会に恵まれたことに、この上もない栄誉を感じています。


© Gordon Welters / Greenpeace

最初に国際事務局長への応募を考えてみないかという話をいただいたとき、私はジンバブエのムガベ政権に抗議する25日間のハンガーストライキの19日目でした。
心身が弱っていて、そんな大それた仕事ができるか自信がありませんでした。

貧困と闘う運動に深入りしていたので、そこから離れるのは時期尚早かもしれないとも思いました。
ところが、娘にこの話をすると、娘は私が本気で応募を考えないなら二度と口をきかないと言うのです。

娘はまた、グリーンピースはずっと貧しい人たちのために働いてきたが、いわゆる反貧困運動と少し方法が違うだけだとも指摘しました。

彼女にとって、グリーンピースとそのサポーターは本物のアクティビスト(活動家)であり、気候の正義を求めて命をかける本物のヒーローなのです。
娘の熱い思いは、私たちの世代がいま行う決定の結果を受けとめなければいけない若い世代に共通のものです。

クミ・ナイドゥ プロフィール

南アフリカ出身。

1980年代、15歳で反アパルトヘイト運動に身を投じ、若者の間のリーダー的存在として人材育成や人種の壁の撤廃など、草の根の 活動を展開する。警察による虐待と投獄を逃れて英国に亡命後、ローズ奨学生としてオックスフォード大学で政治社会学の博士号を取得。


© Kristian Buus / Greenpeace

1990年のネルソ ン・マンデラ解放後、母国の南アフリカに帰還し、教育、開発、女性や子どもの人権問題など、さまざまな分野で南ア社会の民主化に尽力している。

1994年には南アフリカ初の民主選挙に貢献。南アフリカ国民会議(ANC)の設立や南アフリカNGO連盟SANGOCOの創設、新NGO法起草への参加などで活躍した。

女性への暴力が絶えない南アフリカの状況を変えるため、1997年に女性と子どもへの暴力に反対する男性の全国マーチを実施。
1998年から 2008年まで*CIVICUS(World Alliance for Citizen Participation )事務局長を務める。

2003年には、コフィ・アナン国連事務総長(当時)によって国連市民社会委員会の著名人委員に任命され、世界経済フォーラムにお いてグローバル・ガバナンス・イニシアティヴの運営委員を務める。
汚職廃絶に尽力する市民社会を支援するPartnership for Transparency Fundの理事長、UNIFEM(国連女性開発基金)顧問、クリントン・グローバル基金(Clinton Global Fund)の理事長顧問を歴任。

貧困撲滅のためのグローバル・アクション(Global Call to Action Against Poverty)の共同議長として、日本でも「ほっとけない 世界のまずしさ」に参加。グリーンピースも加盟する気候アクションのためのグローバル・キャンペーン(Global Campaign for Climate Action)議長を務める。

2009年11月よりグリーンピース・インターナショナル事務局長。

NGOや市民社会などに関する論文多数。2006年、新刊Civil Society at the Millenniumを編集。

* CIVICUSは、世界の市民社会と市民活動の強化をめざす550以上の団体や個人が102カ国から参加する国際組織(本部:南アフリカ)。
市民社会団体がミレニアム開発目標に向けて団結し、共通の政策提言議題を作り上げるのに積極的役割を果たす。