変化の波 ーTurn The Tide

出版物 - 2017-05-11
 

日本語版発行:2017年5月11日

本レポートは、インド洋で操業するタイの遠洋漁船で行われていたIUU漁業・人権侵害に関する、グリーンピース東南アジア支部が行った独自調査をまとめたレポート「Turn The Tide」の和訳版です。

前レポート、「サプライチェーンの裏側ー世界のマグロ産業にはびこる人権問題」に引き続き、タイの水産業にはびこる人権問題を含む、違法行為を暴いています。

大型冷蔵運搬船を用いて、海の上でとった魚を積み換えること(洋上転載)によって、漁船は長期にわたり孤立し、人身売買・強制労働・劣悪な労働環境(脚気の蔓延など)の温床となっています。また、規制のゆるい海域に移動し、帰港することなく連続航海を可能にするため、IUU(違法・無報告・無規制)漁業が行われていることも明らかになっています。

マグロ漁だけでなく、水産加工品「すり身」もこういった深刻な問題のある漁業に関与している可能性が非常に高いことが調査からわかりました。日本のみならず、世界中で需要が拡大している「すり身」は、その特性上、多種多様の魚が混ざり合わさって製造されています。人権問題やIUU漁業に由来する魚が、洋上転載により、そうでない魚と混じっているのが現状で、原材料の完全なトレーサビリティーを確立するのは不可能に近いのです。

日本で広く販売されているネスレ・ピュリナペットケア傘下の高級キャットフードにもこういった「すり身」が使用されている確率は非常に高く、私たちが口にする「カニカマ」などの練り物に混入している可能性もあります。洋上転載が行われている限り、その可能性を完全に否定するのは難しいでしょう。

グリーンピースでは、水産業者のみならず小売業者にも、リスクの高い洋上転載を自社のサプライチェーン上から排除するよう世界中で働きかけています。

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目次
概要
はじめに
人権と不当労働—脚気が蔓延する底引き網漁船
人身売買と強制労働—マグロ刺し網漁船
タイ政府の対応—海上監視
サヤ・デ・マルハ・バンク
悪質漁業—地域に広がる危機
悪質漁業—規制の緩い漁場へ
悪質漁業—インド洋
サプライチェーンの疑惑—Big Fish (大物たち)
サプライチェーンの疑惑—網から食卓まで
結論
提言
付録

 

発行:国際環境NGOグリーンピース東南アジア支部
翻訳・編集:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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