【佐藤潤一の事務局長ブログ】

虹の戦士号の来沖を振り返って

10月31日、グリーンピースのキャンペーン船「虹の戦士号」が那覇港に入港しました。乗組員の入国を拒否されたり、辺野古・大浦湾への航行申請が却下されるなど困難が続く中、地元の方々と交流し、ここで起こっている矛盾を世界に発信することができました。

沖縄の方々にも「勇気をもらった」「ほんとうにありがとう」など、あたたかいお言葉を数々いただきました。その時、乗組員たちは「その言葉は私たちに向けられるべきものではないので、そのままお返ししたい。ここを守り続けてくれてありがとう」と答えていたのが印象的でした。

 

同じ思いをもつ者同士に通じあう感謝と敬意。 “虹の戦士”とは特別な誰かではなく、命を、自然をまもりたいと願い、行動する人のこと。

世界18カ国から沖縄を訪問した乗組員と、沖縄で19年間たたかい続ける方々は、同じ“虹の戦士”の仲間でもあります。辺野古・大浦湾の海をまもるためにグリーンピースが行った国際的な署名活動では、11月19日までの時点で、164の国・地域より合計89,406(今年初旬の署名を含む)を集めました。また、米国を中心として世界の若者に急速に広がるメディアである「VICE」や、イタリアの最大発行部数を誇るレプッブリカのオンライン版に、新基地建設に反対する人々を撮影したグリーンピースの写真や動画が掲載されました。

2016年は東電福島第一原発事故から5年、チェルノブイリから30年

一方で、社会は「相互理解」から「相互不信」を助長することを良しとする時代へと突入しつつあります。安全保障関連法の成立、沖縄県辺野古への新基地建設推進、TPP推進、原発再稼働、石炭火力発電施設の輸出等々、安倍政権下で進められた様々な政策は、環境、平和、民主主義という私たちの生活の根幹を確実に悪化させています。

2016年は、2011年3月11日から5年、チェルノブイリ事故から30年の節目の年です。

東京電力福島第一原発事故によって被害を受けた方々の人生は、あの時をもって大きく変化しました。グリーンピースでは、この5年間住民の方々に寄り添いながら福島県内を中心とした放射線調査を続け、その結果をグリーンピースのホームページに公開するだけではなく、公的機関や住民に伝え続けています。

 

エネルギー問題が最重要課題の年

今年、九州電力は川内原発の1号機と2号機を再稼働させ、関西電力は高浜原発などの再稼働の動きを加速させています。政府も、あたかも原発事故が収束したかのように再稼働を急いでいます。

こうした動きを後押しするかのように、来年は、世界的な気候変動への危機感の高まりと脱化石燃料の流れから再度、原子力への回帰が喧伝される可能性のある年でもあります。それと同時に、国内では家庭でも電気が選べるようになる「電力自由化」が開始される年でもあり、国内外でエネルギー問題の岐路の年、最重要課題の年になります。

2016年は、1.福島県における科学的な放射線調査の拡充。2. 3/11周辺の国際的な注目を活かした脱原発の世論づくり。3.「電力自由化」に伴う各家庭での「脱原発」「脱化石燃料」「自然エネルギーの促進」を目指した電力会社の乗り換え促進などのエネルギー問題を中心とした活動を実施するために現在準備を進めております。

今日の寄付で、未来を変える

「国内問題を国際的な視点で取り組む」という私たちの活動を評価していただき、寄付サポーターという形でグリーンピースの活動に参加してくださる方々も着実に増え始めました。しかし、サポーター数は5600人程度と、世界55以上の国と地域で活動する26の支部の中で2番目に小さな規模。

2016年、エネルギー問題を中心としたグリーンピース・ジャパンの活動に、ぜひ寄付という形でご支援・ご参加をお願いします。

人が起こした環境破壊は、人が解決できます。 あなたの寄付というアクションで、欲しい未来をいっしょに実現していきましょう。

 

2016年もどうぞよろしくお願い致します。

グリーンピース・ジャパン

事務局長 佐藤潤一