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こんにちは、プログラム副部長の高田です。

7月10日は、参議院選挙の投票日。そこで、グリーンピースが気になること、各政党に尋ねてみました。

グリーンピースは、原発のない自然エネルギーの社会、そして、未来の食卓を支えるサステイナブルな農業や漁業をめざして活動しています。そんな社会をつくるために、政治の力が欠かせません。

選挙は、わたしたち市民がひとりひとりの声を直接、確実に政府に届けられる機会。

この調査は、わたしたちの声を代弁してくれる候補者や政党を選べるようにと、グリーンピースが6月15日から21日に実施したもので、改選前の所属国会議員が5人以上の7政党にFAXで送付、そのうち5政党から有効な回答がありました。

各政党からの回答を点数化したグラフは以下のとおり。与野党で政策方針に大きな開きがあることが浮き彫りになりました。

結果発表!

グラフをクリックすると、各政党の回答のPDFが開きます。

<与党>

<野党>

上のレーダーチャートは、各党からの回答をグリーンピース独自に点数付けしたもの。無回答の公明党と、回答を見送ると連絡のあったおおさか維新の会は0点にしています。グリーンピース的に「いいね!」と評価できる政策方針には5点、評価が下がるほど低い点数となっています。

アンケートは、それぞれ以下の項目について質問しました。

  • 平和
    平和憲法を維持するの? 安保関連法はどうする?
    辺野古への新基地建設についての考え方は?
  • エネルギー
    脱原発をめざす?
    気候変動(自然エネルギー関係含む)への対策は?
  • 海洋生態系
    サステナブルな漁業へ切り替える?
    絶滅危惧種を保全する政策は?
  • 食と農業
    有機農業の推進する?
    農薬の被害にあっているミツバチをまもる政策は?

各項目について、各政党の回答をご紹介します。

平和について

参院選の大きな争点となっている改憲に関連して、安全保障関連法と憲法9条についての各党の姿勢を尋ねました。また、豊かな環境と希少な生態系の破壊が懸念される名護市辺野古での米軍新基地建設に関しても尋ねています。

まず安保関連法については、自民党が「必要」との考えを示す中、民進党、共産党、社民党、生活の党の野党4党は「白紙化」「廃止」「撤回」など反対の姿勢を示しました。また野党からの回答には、憲法の解釈変更による集団的自衛権の行使容認や法案の強行採決について「平和主義・立憲主義を揺るがす」(民進党)、「憲法9条を蹂躙する」(共産党)、「違憲」(社民党)といった与党への批判が目立ちました。

辺野古新基地建設については、共産党が「中止」、社民党と生活の党が「反対」と姿勢を明確にしました。自民党は「辺野古への移設は、『米軍の抑止力を維持』しながら、同時に、『普天間の危険性の一刻も早い除去』を図るための、唯一の解決策」という姿勢を崩さず、新基地反対を訴える沖縄の民意への言及はありませんでした。

また自民党の回答には「環境・生態系の最大限の保護」との記載はあるものの、新基地建設ありきの姿勢がうかがえます。一方、民進党は「普天間基地の固定化を招くことなく合意可能な移設の包括的解決を目指す」としましたが「辺野古」には言及せず、玉虫色の回答でした。

エネルギーについて

再稼働・老朽原発の使用を認めるか・福島原発事故被害者への施策など脱原発、現在のエネルギー基本計画への賛否、自然エネルギーの導入や温室効果ガス削減、さらに石炭火力発電の利用について尋ねました。なお、上記レーダーチャートでは、自然エネルギーと石炭関係は「気候変動」にまとめています。

脱原発については、生活、社民、共産の各党が再稼働反対を示しているのに対し、民進は再稼働は容認するが運転延長はしないと回答、自民はコメントとして再稼働容認を示しています。

自然エネルギーの導入については、社民のみがすでに党として2050年までに100%自然エネルギー導入を掲げており、自然エネルギー100%について達成期限を設けた目標について、自民党は考えていないと答え、その他回答のあった政党は、検討の余地ありとしています。

また、温室効果ガスの排出が最も多い発電方法で、健康への影響も懸念される石炭火力発電については、自民党は国内新設を容認し海外への輸出も推進、生活は「どちらでもない」と回答。一方、民進、社民、共産は、国内での新設も海外への輸出も反対としていますが、海外の古い石炭火力のリプレース(置き換え)のためには(日本製の石炭火力の輸出も)一考の余地あり(民進)、超々臨界圧石炭火力(一般的な石炭火力よりも発電効率がよいとされる石炭火力発電所)への置き換えは推進(社民)と、民進と社民は一部石炭火力の容認と取れる回答をしています。

でも、非常に高効率とされるものでも、石炭火力発電所は他の発電方法よりも多くの温室効果ガスを排出します。国際社会の合意として、待った無しの気候変動対策が求められる今、高効率と言えども新たに石炭火力発電所に投資することは、この先数十年にわたって多くの温室効果ガス排出を約束してしまうようなもの。なので、グリーンピースは既存の石炭火力発電所は、省エネと自然エネルギーによって置き換えることを提言しています。

海洋生態系について

太平洋クロマグロやニホンウナギなどの絶滅危惧種の保全や国内の過剰漁業問題について、どのような政策で対応していくか、また、水産物輸入大国として、海外で起こる違法・無報告・無規制の漁業(IUU漁業)へどのように対応していくかなど、サステナブルな漁業に向けた政策を尋ねました。

絶滅危惧種の保全については、自民・民進・生活は、党としての具体的な政策を示していません。一方、危急の問題として強い政策を示したのが社民党でした。共産党は、太平洋クロマグロの保全について具体策を示しましたが、環境への負荷が高いクロマグロ養殖を解決策としたため、マイナス評価となりました。

また、共産党と社民党は、疲弊した漁業の回復と持続可能な漁業へのシフトの必要性を認識して、IUU漁業対策として国際的に寄港国同士で取り決めを交わす(寄港国措置協定の推進)、あらかじめ漁獲量の上限を決めて漁業を管理する(TAC制度の強化)、漁業法や規制を抜本的に改革するなど、具体策を示しました。他3党は具体性に欠けた回答でした。

食と農業について

環境と食の安全と持続性のために重要性が高まっている有機農業の推進と、受粉を助けるミツバチなどに毒性が強く欧州などで規制の始まっているネオニコチノイド系農薬の規制について尋ねました。

有機農業の推進について、いずれの党も有機農業の社会的・環境的重要性の認識を示し、民進、共産、社民、生活が具体的な有機農業への支援強化策を挙げましたが、自民は具体策がありませんでした。また、慣行農家から有機への転換支援に具体案を出した党はありません。

ネオニコチノイド系農薬の規制について民進、社民、共産が規制の枠組み作りなどを行政任せにせず国会(議員)として問題に迅速に対応したり、使用を全廃したりする必要性の認識を回答しました。自民は一定の被害のでている現状を認めつつも規制の必要性を認めていません。

一人ひとりの意見は違う。だからこそ、一票。

当然のことを改めて書きますが、グリーンピースはどの政党からもお金をもらっているようなことはありません(そもそも私たちは設立以来、政党や企業などから一切の資金援助を受けないことを団体のポリシーとしています)。グリーンピースと完全に意見が一致している政党もありません。

このブログを読んでくれているあなたとわたしの意見も、違うところがあると思います。グリーンピースのスタッフ同士でも、一人ひとり、違う意見を持っていて、投票する政党や候補者も違うかもしれません。

一人ひとりが、自分の大切な人・ことを思い浮かべて、自分の意見・価値観を最も代弁してくれる人に一票を預ける。それが選挙だと思います。

グリーンピースは、特定に政党や候補者を応援するようなことはありませんが、それぞれの政党・候補者がどのような主張をしているかを分析して、有権者の市民のみなさんに選択肢がわかるようにしたいと思っています。

今回実施したアンケートも、そのために実施しました。あなたの政党・候補者選びに少しでも役立ったらうれしいです。

あなたは、どんな未来をつくりたいですか。

投票に、行きましょう。わたしはさっそく期日前投票で私の一票を投じてきました。あなたも、ぜひ。

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