こんにちは。海洋生態系担当の花岡和佳男です。フィリピン・マニラで、第9回WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)年次会合に参加しています。

グリーンピースの活動を受けての、フィリピン政府の約束

第9回WCPFC年次会合が昨日の午後から始まりました。今回の開催国であるフィリピンは、WCPFCルールの一部例外が適応されているこの海域の主要漁業国。フィリピン政府は初日、開催前にグリーンピースのキャンペーン船エスペランサ号が太平洋パトロール中にフィリピン船籍などによる大規模な違法漁業の現場を発見しその詳細をWCPFCや政府などに届けたことを受けて、年次会合開幕の挨拶をした後に国内テレビ局のカメラ数台の前に立ち「グリーンピースのパトロール活動に感謝する。管理を強化する」旨を発言。彼の言葉は約束として広く報道されました。

今年もずるずる感……

二日目。マグロ類の保全管理措置案を巡っての、東アジア諸国などの遠洋漁業国と、島しょ国などのマグロ資源保有国とのやり取りは、昨日も今日も平行線。遠洋漁業国同士でも同意ができない点も多く、なかなか方向性すら見えてきません。私はこれでWCPFC年次会合への参加は4度目ですが、これまでも度々感じた、ずるずると引き伸ばされているような嫌な感じが、今年も漂っています。

この会場を一歩外に出れば、今日も太平洋中で漁業が行われています。監視の目が行き届いていない公海ポケットでは、また違法漁船がマグロ資源を乱暴に獲り漁っているかもしれません。先日訪れたジェネラル・サントスには、今日もアジ程のサイズしかないマグロの幼魚が大量に水揚げされているでしょう。南の海でこのまま乱獲が進めば、日本近海に北上してくる魚の群れは一層減り、日本の漁業者は次々と職を失ってしまいます。海から魚が減れば、私たち消費者の日々の食卓にのぼる魚も、当然なくなってしまいます。マニラでいま話し合われていることは、遠い無縁な海の向こうの話ではなく、日本に住む私たちの日々の暮らしに具体的に直結した問題です。

マグロの世界最大の消費国である日本に住む消費者だからこそできること

各国政府やグリーンピースなどは、このWCPFC等の場で、マグロ漁業を持続可能なものにするための国際的枠組みを作ろうとしていますが、その枠組みができるのをただ待っているだけでは、その間、漁業は規模をますます拡大し、マグロは減っていくばかりです。いま国際的な漁業管理の枠組み作りと並行して進めていくべきは、消費者が明確な需要を作り市場をシフトさせていくこと。消費者が「持続的に獲られた魚を選んで購入したい」「未来の魚まで私たちに売らないでほしい」という需要を、普段行く大手量販店や回転寿司チェーン等にきちんと伝わるまで伝え続け、違法や過剰に獲られた魚を市場から排除することです。世界最大のマグロ消費国である日本に住む私たちだからこそできる、太平洋の生態系と漁業、そしてマグロ料理を次の世代に残すためのとても影響力のある活動です。小売や外食産業は需要によって大きく動きますし、ビジネス存続・発展のために最新の需要が何なのかを知りたがっています。美味しく魚を食べ続けられるために、ぜひ店頭にある「お客様の声」フォームにリクエストを書いて、設置されている箱に投函してください。何を売ればビジネスになるかを伝え続け、お気に入りのお店を応援してください。

第9回WCPFC年次会合、閉幕まで残された時間は、あと3日です。