こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。

7月26日、食品安全委員会が「放射性物質の食品健康影響評価(案)」を発表しました。

3月11日に起きた原発事故後につくられた食品の「暫定規制値」を見直して、新たな規制値をつくるための「評価」です。


ところが、この「評価(案)」には、

- 浴びた放射線が100ミリシーベルトより少ない場合の健康影響について認めていない

- 生涯の追加線量を「100ミリシーベルト」としているが、生涯が何年か書かれていない
そのため 法律で定められている公衆被ばく限度年1ミリが守られない可能性がでる

- 放射線の影響を受けやすい子どもについて評価せず、妊婦については言及すらない

という問題があります。

現在、食品安全委員会事務局では、この「評価(案)」に対するパブリックコメントを募集しています。

現在の暫定規制値は、チェルノブイリ周辺国などに比べると非常に高く、とくに赤ちゃんや妊婦さんの健康が心配です。
締切(8月27日午後5時)真近ですが、少しでも厳しい規制値となるよう、みなさんも意見を送ってください。

こちらから https://form.cao.go.jp/shokuhin/opinion-0316.html


---グリーンピースから送った意見---

「食品中に含まれる放射性物質の食品健康影響評価(案)」への意見

― 放射線には、「これ以下なら安全」という「閾値」はありません。

評価書案では、「累積線量100mSv未満の健康影響について言及することは現在得られている知見からは困難」としています。

しかし、放射線については、「これ以下なら安全」という「閾値」はありません。これは、日本政府の立場でもあります。100mSv未満の被ばく量であっても、原発労働者の方々に放射線由来の疾病例があり、労災の認定もされていること、チェルノブイリ原発事故では、100mSv未満の被ばく量の子どもたちに白血病その他の病気のリスクが増加しているという報告があること(参考資料*)、広島・長崎の被爆者についても、裁判で、100ミリ以下の被ばくによる原爆症が認定されていることからも、「現在得られている知見からは困難」とするのは不適切です。

 

― 公衆の被ばく限度法定年1ミリを遵守すべきです。

評価書案では、「生涯における追加の累積の実効線量がおおよそ100mSv」を目安としています。しかし、生涯とは何年かは書いていません。生涯の年数や、その生涯における線量の振り分けは、基準を設定する厚生労働省が決めることとしています。振り分けに必要なリスク評価こそ、食品安全委員会が行ってください。また、チェルノブイリ周辺国の食品基準では、年単位での被ばくが、外部・内部被ばく併せて1ミリシーベルトを超えないように設定されています。日本でも公衆の被ばく限度は1ミリと法律で定められています。食品基準も、年1ミリを遵守できるよう設定されるべきです。

 

― より放射線の影響を受けやすい子ども・妊婦に対する正当な評価をしてください

評価書案では、「小児に関しては、より放射線の影響を受けやすい可能性(甲状腺ガンや白血病)がある」としながら、評価はしませんでした。子ども・胎児は細胞分裂が大人に比べ盛んなため、放射線に対する感受性が高くなります。飲料水に関しては、日本の暫定基準でも、乳児は大人の三分の一という値が採用されていました。チェルノブイリ周辺国でも、幼児食品については、別基準となっています。評価書では、「小児に関しては、より放射線の影響を受けやすい」と明記し、評価すべきです。さらに、妊婦に関しても評価すべきです。

*参考資料 The Chernobyl Catastrophe Consequences on Human Health

http://www.greenpeace.org/raw/content/international/press/reports/chernobylhealthreport.pdf

以上