こんにちは。核・エネルギー担当の鈴木かずえです。
 
事実上避難の権利を認め、被災者への医療の提供を定めた子ども・被災者支援法案が、19日、衆議院、東日本大震災復興特別委員会で審議され可決、21日にも、本会議が開かれれば、可決・成立する運びです。

19日の審議メモです。

・支援対象地域については、自治体、避難者、残っている方の考えを聞きながら。政府には丁寧にやってもらいたい


・家族と離れてくらす子どもへの支援としては、再会費用、通信費用の軽減、カウンセリング、催しものの実施、住環境の改善が重要

・この法案での具体的施策は、全体的な調整、統括は復興庁が担当する

・支援対象地域については、福島は全域、他県の放射線の高い地域も含まれていくべき

・子ども・妊婦のほか、大人の医療もこの法律で減免する施策を講じることができる

・治療の減免を受ける際、原発事故に起因するかどうかを被害者は立証しなくてよい、立証責任は国が負う

・福島県が10月から始める十八歳未満の医療の無料化を、この法律が後退させることはありえない

・被災地の病院の経営支援も視野に入っている

・健康調査については、健康調査事業を法定受託事務として実施する実施法を参議院に提出しており、審議したい

・被災者支援の基本方針を復興庁が中心となってつくる

・いわれなき差別防止のためには、放射線等について国民の理解を深めるための施策、たとえば学校での放射線教育の推進などが考えられる

・放射線教育については、現状では健康不安への対策として、アクションプランがある

・基本方針については、閣議決定を得る

・六条の汚染調査は文部科学省、七条の除染は環境省、九・十条の住居の確保は国土交通省、同じく九・十条の就業支援は厚労省、四条・十八条の放射線と国民の理解については文科省と法務省人権擁護局が所管すると考える、それを国会がチェックする

・発議者は、議員連盟的なものをつくってきちんと運用をみていきたい

・医療費の減免については、放射線に起因する、しないとガイドラインをつくっていくのが一つのやり方だが、被爆者援護法で指定されている疾病、障害はカバー、事故による生活の激変によるもの、この事故を機にして悪化・重篤化したものをできるだけ広く可能な限り広くとって救済したく、ガイドラインはその上にたってできるもの

・ガンマ線を中心とする空間線量だけでなく、ストロンチウム、プルトニウムももっと細かいメッシュで切って調査する必要がある、土壌の汚染も一層しっかりしたモニタリングが必要

 

国はいまだに20ミリシーベルトを堅持
傍聴をして感じたのは、立法提案議員のみなさんの思いと、平野復興大臣、北神大臣政務官など国側の方の答弁との乖離でした。
この法律の出発点は、低線量被ばくの影響というのは解明されていない、だから、避難するも残るも自己決定する権利を、というところです。
ところが、国のみなさんの答弁はあいかわらず、20ミリシーベルト以下のリスクは十分低いというものでした。

放射線に、これ以上低ければ安全というしきい値はありません。
また、チェルノブイリでは、甲状腺ガン以外の障害も報告されています。(ステパノワ博士のプレゼンテーション資料参照)

国際基準でも、一般人の被ばく限度は年1ミリシーベルトです。
1ミリシーベルト以上は避難の権利を。

大きな声をあげていきましょう。


参考

法案名:東京電力原子力事故により被災した子どもをはじめとする住民等の生活を守り支えるための被災者の生活支援等に関する施策の推進に関する法律案

提案者
谷岡郁子議員、金子恵美議員、益子輝彦議員、徳永エリ議員、森まさこ議員、佐藤正久議員、藤井孝男議員、加藤修一議員、谷合正明議員、川田龍平議員、紙智子議員、吉田忠智議員、荒井広幸議員


法案要綱
法案
法案概要(ポンチ絵)



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