こんにちは、海洋生態系担当の田中です。

先週は、消費者の声が届いて西友の調達方針が強化されたことをご報告しました。

良いニュースはそれだけではありません!ユニーとダイエーが、ヨーロッパウナギの取り扱いを中止する決定をしたことが、公表されました。

  •    ヨーロッパウナギって食べられなくなるの?

ヨーロッパウナギはニホンウナギに次いで日本で最も消費されているウナギですが、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストで絶滅危険性が最も高い種に指定され、ワシントン条約の対象種にもなっています。皆さん、ご存知でしたか? 

  •  ユニー、ダイエーがヨーロッパウナギの取扱いを中止!

これまで国内のスーパーマーケット大手5社を対象としたウナギの調達方針や取扱いについての調査を行ってきたグリーンピースは、魚々の日の前日である10月9日に、その調査結果を発表しました。この調査の過程で、ユニーがヨーロッパウナギを「今後取り扱わない」、ダイエーが「ヨーロッパウナギは在庫終了以降仕入中止」する旨を、グリーンピースに表明しました。

  • 他のスーパーは?

グリーンピースは2か月前の7月にも、土用の丑の日に合わせて同調査の途中結果を発表しましたが、その際は対象スーパー5社の中で唯一、ワシントン条約対象種を取り扱わないことを調達方針として持つ西友が、ヨーロッパウナギを取り扱わないことを示していました。また業界トップのイオンは、方針こそないもののヨーロッパウナギの取扱いが実質ない状態が続いています。

ヨーロッパウナギについて、「次年度の取扱いは未定」としているイトーヨーカドーは、来年の丑の日に大手5社中唯一「ヨーロッパウナギを販売する」スーパーマーケットになるのでしょうか。

  •  スーパーマーケットの調達方針を変えたのは消費者の声 

今年、日本で最もウナギが消費される土用の丑の日前、ボランティアさんたちが中心となり、「絶滅が危惧されているウナギを、次の世代に残してほしい」というメッセージをスーパーマーケットに届けるために街頭で署名活動を行いました、沢山の方が参加してくださり、スーパーマーケットの「お客様の声ボックス」に直接300通のメッセージが投かんされました。

また、放射能汚染、乱獲、違法漁業された魚を売らないこと、消費者に情報公開をすることを求めたオンライン署名「一週間、魚食べずに過ごせる?」では、10月現在8000筆を超える署名が集まっています。 

今回、2社の調達方針が持続可能なものへ一歩前進したのは、「ウナギを未来へ残したい」消費者の声がスーパーマーケットに届いたからです。消費者の声で、スーパーマーケットは変わります。

  •  もっともっと持続可能な調達を! 

日本のウナギ市場で大きなシェアを占め、現在最も一般的に流通しているニホンウナギも、2013年2月に環境省が絶滅危惧種に指定し、IUCNのレッドリスト入りも検討されています。 

今回のアンケート調査では、西友が「ニホンウナギ以外の販売を検討」し、アメリカウナギを原料とする商品を新しく導入したことが分かっています。

ニホンウナギの資源減少を問題視する姿勢は前向きです。でも、ニホンウナギがいなくなったら、次は違うウナギ種へ・・何の対策もないままに代替を繰り返せば、絶滅の連鎖が続くだけです。

絶滅させることなく利用し続けるためには、持続可能な調達方針とルール作りが必要です。大きな仕入力・販売力によって生産から消費まで大きな影響力を持つスーパーマーケットは、販売の場だけでなく、生産の場にも責任を持つべきです。

 ウナギだけではありません。世界の海洋漁業資源のうち「まだ開発の余地があるもの」は全体の13%しかないといわれています。1

1: 『世界漁業・養殖業白書 2012年』

 次の世代に食文化、漁業、豊かな海を引き継いでいくために、ぜひあなたの声をスーパーマーケットに届けてください。

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