こんにちは、海洋生態系担当の花岡和佳男です。

これまでグリーンピースのウェブページ上等で展開してきた署名「一週間、魚食べずに過ごせる? ――未来に魚を残すため、放射能汚染、乱獲、違法漁業の魚を売らないで――」にご参加いただいた皆様、有難うございました。お預かりしていた「消費者の声」を冊子にしてまとめ、10月15日から17日にかけて、対象スーパーマーケット5社(イオン、西友、ダイエー、ユニー、イトーヨーカドー)の本社を訪れ担当者に手渡しし、また全国にある多くのスーパーマーケットが加盟する「日本チェーンストア協会」及び「新日本スーパーマーケット協会」に郵送しました。

 

「一週間、魚食べずに過ごせる? ――未来に魚を残すため、放射能汚染、乱獲、違法漁業の魚を売らないで――」って?

今回対象スーパーマーケット及び業界団体に届けたのは、2013年2月7日から10月9日までに寄せられた7968筆の「消費者の声」です。署名文章は、スーパーに対して豊富な食材を食卓に提供してくれることに感謝し、家族と共にいつまでも美味しく魚をいただきたい希望を記し、そのために違法や過剰に獲られた魚は売らないでほしい旨、また持続可能な魚や放射能汚染されていない魚を自分たちで選んで購入できるよう十分な情報を提供してほしい旨を要請し、「どのスーパーマーケットが私たちの声を聞き入れいち早く対策を取ってくれるか、私たち消費者は注目しています。」としめています。これに加え、参加者の半分以上の方々が、スーパーマーケットに向けて独自のメッセージを寄せてくださいました。グリーンピースはこのメッセージを全て冊子にまとめて、対象先に届けました。

 7968筆って?

2011年に国内スーパーマーケット最大手のイオンが「放射能ゼロ目標宣言」を記者発表した際に、その理由としたのが、「会社に寄せられた6000筆の消費者の声に真摯に対応した」としていました。今回集まったその署名数7968筆は、イオンが調達方針を変えた大きな意思決定をさせた6000筆を大きく上回った数字です。もちろん、同一人物が複数回署名することができないようにしてあります。

 何故このタイミングで提出?

グリーンピースは今年2月に対象各社の魚介類の調達方針を評価した「お魚スーパーマーケットランキング2」を発表しました。現在、この続編「お魚スーパーマーケットランキング3」を作成中で、そのために対象各社に魚介類の調達方針や持続可能性の担保へ受けた取り組みについてアンケート調査を始めたところです。このタイミングで「消費者の声」を届けたのは、各社がその声をどのように調達方針の強化に反映させていくのかが、ランキング3で目に見える形になるからです。年内公開予定のランキング3で、消費者の声に最も耳を傾け真摯に対応する、持続可能性や安全性への意識の高いスーパーはどこでしょうか。消費者の声よりも短期利益を優先するスーパーはどこでしょうか。

 

「消費者の声」を受け取った各社の対応は?

イオン(前回のランキング2で第1位):

これまでも私と直接やり取りをしてきた水産調達を統括する部長に受け取っていただきました。持続可能性への追求に向けて様々な努力をしているが、関連企業が多いこともありなかなか発表に至れないものがあるとのこと。ランキング3でどのような発表をしてくるのか、期待大です。

 

 

西友(前回のランキング2で第2位):

これまで私と直接やり取りをしてきた執行役員が指揮を執るコミュニケーション部サステナビリティ課の担当者に受け取っていただきました。ここ数カ月で、ヨーロッパウナギの調達中止や、種の特定及びトレースバック可能な魚介類商品しか取り扱わないとする調達方針を相次いで打ち出してきた西友、たくさんの貴重な「消費者の声」をじっくりと読んだ後に口にしたのは、「次のランキングでは目指すところは1位しかありません」。

ダイエー(前回のランキング2で第3位タイ):

魚介類調達、品質管理、環境社会貢献等を担当される部長クラスがズラリと揃い「消費者の声」を「とても貴重な情報」として受け取ってくださいました。メジマグロやヨーロッパウナギの取扱い中止を表明するなど、ここ数か月間で過剰漁業への貢献を極力減らす取り組みを強化してきているダイエー。意見交換をしましたが、実際に高い意識をお持ちでした。ランキング3で順位をどの程度上げてくるか、注目です。

ユニー(前回のランキングで第3位タイ):

ヨーロッパウナギの取扱い中止を表明したばかりのユニーも、「消費者の声」をしっかり読ませていただくと、受け取ってくださいました。水産チーフバイヤーはランキング用の調査票への回答に難しさを抱えていましたが、しっかり取り組むとの言葉をいただきました。

 

 

イトーヨーカドー(前回のランキングで最下位):

窓口となったお客様相談室のマネジャーは、お渡しした「消費者の声」と共に面会内容は各担当部署に伝えると仰っていました。イトーヨーカドーは毎回、水産調達や商品管理やCSRの担当者が出てきません。クレーム処理をしてその場を丸く収めることを重視するお客様相談室とはどうしても、持続可能性についての議論で歯車が合わず話がなかなか前進しません。ランキングでも最下位、ヨーロッパウナギも調達継続を示唆、このような交渉の場にも5社中最も消極的……乱獲の後押しとなる薄利多売を続け次世代の海と食卓から魚を奪うことに対する問題意識や責任感を持つことが、最もできていないのがこのスーパーです。

 もっと多くの「消費者の声」を!

「消費者の声」は今でもまだ参加できます。消費者の声が大きければ、スーパーマーケットはそれをビジネスチャンスと捉え動きます。次世代の海と食卓に魚を残すため、ぜひ一人でも多くの声を届け、スーパーマーケットの成長に貢献しましょう。参加はこちらから