こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。
世界遺産に登録され、観光地やダイビング・スポットとしても名高い世界最大のサンゴ礁、グレートバリアリーフが、今まさにこの瞬間、過去最悪の危機にさらされています。
私もオーストラリア留学時代には訪れたいと思っていた場所の一つですが、近い将来、たくさんの生きものたちを育む美しい海は消えてなくなってしまうかもしれません。
グレートバリアリーフ南部のラグーンを空から撮った様子
2000キロに広がる生きものたちの楽園
グレートバリアリーフは、オーストラリアのクイーンズランド州に位置し、約2000キロにわたって広がっています。日本列島が約3000キロですから、その大きさにはビックリ！
サンゴ礁は、300から400種類の色とりどりのサンゴたちが長い年月をかけ、ようやく創り上げたもので、1500種以上もの海の生き物たちのすみかとなっています。
タカサゴ科のお魚の群れ（グレートバリアリーフ）
魚だけでなく、ウミガメや渡り鳥などが休める島々が存在し、まさに野生動物にとっての楽園です。オーストラリアに住む人々にとっても、観光やレクリエーションなどの生活のより所としてだけでなく、海岸線を襲う嵐から命を守ってくれる、生きるために欠かせない存在です。
絶滅危惧種に指定されているアオウミガメも（グレートバリアリーフ）
30年間でサンゴ礁が半減、過去最悪の白化が進行
過去30年の間に、およそ半分ものサンゴ礁がすでに失われたと言われています。その原因は、海の酸性化や気候変動による海水温度の上昇による白化現象です。
今年の３月末にオーストラリアの研究チームが、空中からグレート・バリア・リーフを撮影し、ほとんどのサンゴが白化現象を避けれられていない過去最悪の状況となっていることを確認しました。特に全体の半分の北側のサンゴ礁では、95%もが影響を受けているといいます。
(c)ARC Centre of Excellence for Coral Reef Studies / Terry Hughes
白化現象は、海水温度や酸性レベルが上がると、サンゴの栄養源である藻類が失われることによって起こります。つまり、サンゴは栄養を補うことができなくなって、餓死してしまうのです。
サンゴを危機に追いやっている他の原因に、オーストラリアの主要産業である石炭や天然ガス輸出のための港湾開発があげられます。つい先日も、クイーンズランド州政府は新たにカーマイケル（Carmichael）の炭鉱開発を正式に承認しました。グレートバリアリーフという素晴らしい自然遺産をもちながら、それを危機に追いやる石炭産業を推し進めているのです。
サンゴを危機から守るためにあなたにできること
政府がしなければならないのは、気候変動を加速している石炭を推し進めるのではなく、「脱石炭」をすること。そして湾岸の開発などを行わせないよう、グレートバリアリーフを海洋保護区に登録することです。グリーンピース・オーストラリアでは、グレートバリアリーフを守る最後の闘いに挑んでいます。その様子を今後もお伝えしていきますね。
海にもぐれば竜宮城のような世界が広がります。
実は、オーストラリア産の石炭の一番の輸出先は日本です。
私たちが使う電気をつくるために、知らず知らずのうちにサンゴとサンゴが育む生き物たちを危機的状況に追いやってしまっています。かくいう私も例外ではありません。
国連や生物多様性条約をはじめとして、いま世界中で脅かされるサンゴを守ろうという動きが高まっている中、日本でも、健康な状態のサンゴが生息する希少な海が破壊されようとしています。
まずは、海で起こっていることを知り、1人でも多くの人にシェアしてもらうことが大きな力になります！
グリーンピース・ジャパンのオーシャンチームは、まったり楽しく海について語る、オーシャン・カフェを毎月開催しています。ぜひ、いらしてください！
次回は4月27日（水）19:00にオープンします。
オーシャン・カフェについて、詳しくはこちら。
オーシャン・キャンペーナー募集中！
私と一緒に働いてくれる方を探しています！詳しくはこちら。
オーシャンチームの活動にご支援ください
関連ブログ
うちのネコ缶だいじょうぶ？
世論調査のレポート発表！ オーガニック野菜をめぐる消費者ニーズとスーパーに求められること
電力自由化スタート！あなたの電力会社、もう決めた？
あなたのスーパーだいじょうぶ？
新しいネオニコの解禁が、みんなの声で初めて止まりました！