皆さんこんにちは。海洋生態系担当の小松原です。

10月25日(火)に、太平洋クロマグロをまもるキャンペーン「マグロがいる海がいい」に集まった3,757人の方の声を、水産庁に手渡してきました。
署名に参加いただいた皆様、どうもありがとうございました!署名でお願いしたのは、絶滅危惧種となり資源量が2.6%にまで低下している太平洋クロマグロの(1)産卵期の禁漁、(2)巻き網漁の規制です。

写真:署名を手渡している様子。

太平洋クロマグロをまもる署名を提出

皆様から水産庁にいただいたコメントも全てお届け

署名とともに集まったコメントは、日本の未来、日本の食文化を守りたいという熱い声。受け取った水産庁の担当者の方も、コメントに読み入っていましたよ。

持続可能 [な] 漁業をすることは、日本国の未来を守ることでもあります。産卵期のクロマグロを保護してください。産卵期のクロマグロの保護により、日本が世界から尊敬される国になれますように。(東京都 Iさん)

大好きなまぐろが絶滅危惧種などとは知らず、ぱくぱく食べていました。スーパー 、本マグロとあれば、皆、おいしいと飛びつきますが、それは、あまりに現状を知らされていないためです。マグロ以外の絶滅危惧種ならば、保護し繁殖の努力をしていることが多いのに、無知所以です。水産庁はもっとクロマグロを守るための努力をして、多くの人に危機的状況を知らせて欲しいです。やはり、行政が未来に向けて 、食物コントロールをしないと、やがて「昔は本マグロを食べたね 、おいしかった ね」になってしまいます。日本の食文化を守る具体的な取り組みを一刻も早く、お願いします。(神奈川県 Eさん)

寿司 グリーンピース

水産庁へ伝えたかったこと

私たちが、産卵期の禁漁をお願いしている理由はとってもシンプル。それは、世界中で消費されている太平洋クロマグロの8割を日本で消費しているから。そして、産卵場所のほとんどが日本の海にあるからです。

産卵期の成魚の保護が、資源量回復に意味がないとは思いません。

太平洋クロマグロの個体数回復をさらに促す一歩踏み込んだ措置として、私たちにしか守れない産卵場所での禁漁を求めているのです。

今の措置を続ければ、2024年までに初期資源量のおよそ7.6%に回復する想定なのですが、それでも資源崩壊の基準である10%にも満たない計算です。

本当にこのままでいいのかしら?

どうしたら太平洋クロマグロ保護をスピードアップできるの?

国内でのさらなる規制が進まない理由として、太平洋クロマグロ漁に関わる様々な立場の利害関係者の複雑に絡み合った思惑が見えます。

例えば、境港にとって巻き網による漁獲物は死活問題だし、乱獲によってまともに漁ができなくなってしまった小さな漁業者さんたちもいる、地元を基盤とする政治家は地元を守りたいし、水産に関わる国の予算は限られている。

でも、誰も太平洋クロマグロが絶滅すればいいなんて思ってないし(そう願いたい)、マグロだけでなく他の魚資源が枯渇して喜ぶ人はいない。

この一点に関しては、水産庁も私たちも同じ方向を見ていると思いました。

本来であれば、その利害関係を調整役をするのも国の仕事。でもそれが難しいのであれば、私たち市民の力で動かしましょう!

写真:署名を提出してきました、海洋生態系チームです。

署名を水産庁へ提出 太平洋クロマグロ グリーンピース

多様性豊かな海を次世代に引きつぐために

今回、3,757人の方の声を代弁し、水産庁を訪ねたことで、政府のあるべき姿を再度考える機会になりました。やはり政府には、日本の食文化を守り、「サステナブルシーフードと言えば日本」と世界中から羨ましがられるような漁業と市場になるために、利害関係者をまとめ、より長期的な視野にたって議論を進めていってほしい。

しかし、異なる立場にある利害関係者の思いが複雑に絡み合って膠着してしまった現状を動かすためには、やっぱり私たち一人ひとりがサステナブル・シーフードの必要性を声に出すことも大事。エコなお魚が買いたいと思っていても、そのニーズがあることを見えるようにしないと企業も政府も動かないってことを再確認しました。

グリーンピース海をまもる

太平洋クロマグロを絶滅させないために、そして多様性豊かな海を守るためには、世界で一、二を争う水産大国&輸入国である日本の漁業と市場がサステナブルに変わることが必要です。

グリーンピースは、環境保護を願う市民の皆さまと一緒に、海にも人にも優しいサステナブルシーフードがどこでも買える世の中を目指したキャンペーンを続けていきます。

サステナブルシーフードの情報をキャッチ

facebookグループ「OCEAN HOLIC」は、海にいなくても、24時間海を感じていたい!考えてたい!そんなOCEAN HOLICな人々のための交流と発信の場所として国際環境NGOグリーンピース・ジャパンがつくったグループ。サステナブル・シーフードの情報も定期的にシェアしています!

 

グリーンピースは、政府や企業から一切お金をもらっていません。独立した立場だからこそできるこうした活動で、緑豊かで平和な未来を実現するため、ぜひ、ご寄付で今後の活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。

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