こんにちは。サメも大好き、海洋生態系担当の小松原です。

海の生態系の頂点に立つサメ。今夏は、日本のビーチのすぐ近くまでいらしていたようで、ニュースに引っ張りだこでしたね。

そんな彼らも秩序のないマグロ漁にかかっては、ひとたまりもないようです。

 

なんと、サメやエイのおよそ4分の1が絶滅危惧種で、今のところ脅威にされされていないと考えられる種は、全体の23%だけ。

今、グリーンピースの虹の戦士号は、マグロ漁の闇を広く知ってもらうために、太平洋をパトロール中です。大海原で彼女が見たサメたちからの救助信号を、日本にもお届けします。 

シャークフィニングってなに?

中華料理の高級メニューと言えばフカヒレ。そうです。これ、サメのヒレです。

では、どうやってヒレを取っているか知っていますか?サメのヒレを取ることをシャークフィニング(shark finning)と呼びますが、サメのヒレを体から切り落として、残りの体を海に捨てることを指します。

漁の網にかかったサメは、多くの場合、船に揚げられた時にはまだ生きています。つまり、生きたまま、体からヒレを切り落とされ、そのまま海に投げ捨てられるのです。

想像してみてください。泳ぐためのヒレがなければ、いくら海の王者たるサメでも、たどる運命は死だけ。泳げずにもがき苦しみながら海底に沈んでゆくか、なす術もなく他の捕食者の餌食になるかです。考えただけで具合が悪くなってきちゃいました、私。

 

マグロ漁とサメの負のスパイラル

では、マグロ漁とサメはどう関係あるのでしょう?

実は、マグロ漁がシャークフィニングの隠れ蓑になってしまっているのです。

元マグロ漁船の乗組員が証言をしています。こちらの動画を御覧ください。https://youtu.be/fcgm_4w7k8Y

別のブログで紹介していますが、マグロ漁では時として、安い賃金で雇われ、過酷な状況での労働を強制されることもしばしばです。一方、1杯1万円にもなるフカヒレスープ。こういう状況で、サメが網にかかったらどうなるか、結末は想像に難くないですよね。

この残酷なシャークフィニングやフカヒレの扱いは、漁業管理機関や国・地域によっては規制があったり、禁止されていたります。

たとえば、太平洋を含む国際的な漁業管理機関では、シャークフィニングを禁止しています。でも、漁をすると避けられない「混獲」もあるわけです。このため、水揚げできるヒレの重量はサメの体に対して5%までというルールがありますが、報告されるサメの数と、市場に出回るサメのヒレの数には大きな大きなギャップがあります。

なぜか?監視する人もいない太平洋のど真ん中で、切り落としたヒレを他の船に積み替えたりして、シャークフィニングの実態を隠すのです。

 

サメが海からいなくなる日

世界のサメたちの4分の1を絶滅に追いやってしまった主な原因は、言わずもがなフカヒレとしての需要です。毎年1億匹ものサメがシャークフィニングの犠牲になっていると推定されています。

マグロ漁の手法の一つ、はえ縄漁を仕掛ければ、ほぼ毎回サメが網にかかります。それは、マグロはえ縄漁の漁獲のおよそ25%にも上ります。つまり、マグロ漁を改革しなければ、サメたちは絶滅してしまうということ。それは遠い将来の話じゃありません。

私たちの食卓にも無関係ではありません。あなたが手にしたツナ缶やまぐろのお刺身が、遠く離れた海で強制労働に苦しむ人や、ヒレを無残にも切り落とされてしまったサメたちの犠牲の上に成り立っているなんて、考えただけでも嫌ですよね。

幸いなことに、少しずつ残忍なフィニングに反対する声は高まってきています。

例えば、フィリピンのセブ島の学生たちがデモを行ったり、フランスでもショッキングな現実を伝える試みが行われています。最近では、グローバルな物流会社のUPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)が世界各国18万人の署名活動などにより、サメのヒレの輸送を禁止しました。

 

 

私たち人間も生き物。他の生き物の命を「食べ物」として頂戴しながら生きています。それは至って自然なこと。

でも、その方法をきちんと考えないと、今まさに私たちが直面している、資源の枯渇という問題にも繋がってしまいます。海の生態系を壊してしまうことは、結局はその恵を受けている私たちにも影響すること。海も人もハッピーな持続可能な漁業を目指して、今日も虹の戦士号は太平洋を航行中です。 

 

日本でおよそ80%が消費される、太平洋クロマグロも3.6%にまで減ってしまっています。彼らの産卵場所は日本の排他的経済水域内にあります。私たちが守らなくては。あなたがいつもお買い物をするスーパーやデパートは、これからの海や私たちのことを考えてくれていますか?海にも人にも優しい「調達方針」ありますか?あなたのメッセージを届けてください。

私たちオーシャンチームは、各国のオフィスと連携をし、過剰漁業の終焉を目指し活動しています。日本も例外ではありません。マグロやウナギだけでもありません。この、とてつもなく大きな問題に、みなさまのご支援で日々取り組んでいます。

 


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