2016/08/29 絶滅に瀕する「太平洋クロマグロ」救済のため 共同声明をWCPFC北小委員会に提出 〜グリーンピースとピュー・チャリタブル・トラスト、2年間の漁獲停止を提言〜

プレスリリース - 2016-08-29
国連の総合協議資格を有する国際環境NGOグリーンピースは、米民間助成団体のピュー・チャリタブル・トラストと共に、本日8月29日(月)より開催されるWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)第12回北小委員会(注1)に対し、共同声明を発表しました。2014年に絶滅危惧種に指定された「太平洋クロマグロ」の乱獲を終わらせるため、全ての商業的漁獲を2年間停止する措置を直ちに実施するよう要請しました。

今年4月にISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)が発表した最新の資源評価(注2)では、「太平洋クロマグロ」は、漁業が開始される以前の資源量である初期資源量の2.6%にまで減っていることが発表されました。また、WCPFCが設定した「2024年までに『太平洋クロマグロ』資源を60%以上の見込みで42,592トンまで回復する」という目標に対して、科学者らの予測によると、現行の管理かつ加入状況ではその目標が達成しないばかりか、2034年までに健全なレベルに個体数を回復する見込みはわずか1パーセントにも届かないことが分かっています。

グリーンピースは、このような状況下において、WCPFCが設定した目標を達成させ、「太平洋クロマグロ」を絶滅から守るために至急必要と考えられる「2年間の『太平洋クロマグロ』の漁獲停止」を提言しました。この禁漁措置は、「太平洋クロマグロ」資源が健全かつ持続的な水準に回復するための資源回復計画が太平洋全域において採択されるまで実施されるべきです。禁漁措置および適切な管理措置が2018年までに施行されない場合には、ワシントン条約に登録し、国際的な貿易の禁止をすることでのみ「太平洋クロマグロ」の種の保存が実現されると考えています。

<コメント>
グリーンピース・ジャパン海洋生態系担当の小松原和恵は「本年の北小委員会はまさに正念場です。これまでに保護管理措置の強化の必要性を幾度も訴えてきましたが、『太平洋クロマグロ』の資源量はわずか2.6%と、資源崩壊を意味する10%を大きく下回っています。国内では、漁業者らが産卵期に自主的に禁漁をせざるをえない状況にまで追い込まれています。日本政府の提案する『緊急措置』は、加入量が3年間継続して過去最低レベルになって初めて発動するという条件つきのため、今まさに起きている危機的状況を解決するものではありません。『太平洋クロマグロ』の最大の消費国であり、産卵場を有する日本が主導して保護措置の強化をはかるとともに、北小委員会がWCPFCに2年間の漁獲停止を含む施策を提言することを望みます」と述べました。

注1:WCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)第12回北小委員会
中西部太平洋における高度回遊性魚類(マグロ、カツオ、カジキ類)資源の長期的な保存及び持続可能な利用を目的とした地域漁業管理機関です。  
WCPFC: Western and Central Pacific Fisheries Commission 

注2:ISC(北太平洋まぐろ類国際科学委員会)による太平洋クロマグロの資源評価(2016年度)
http://isc.fra.go.jp/pdf/ISC16/ISC16_Annex_09_2016%20Pacific%20Bluefin%20Tuna%20Stock%20Assessment.pdf

中西部太平洋まぐろ類委員会・ステートメント

第12回北小委員会

2016年8月29日~9月2日:日本・福岡市

ピュー・チャリタブル・トラストと国際環境NGOグリーンピースは、第12回中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)北小委員会(NC12)への参加の機会が得られたことを歓迎する。持続的な管理措置を採択及び実施する最終的な責任は委員会メンバーにある一方、北小委員会は北部資源に対する適切な管理措置を決定し委員会に対しこれら管理措置の採択を勧告する重要かつ不可欠な役割を有している。

残念ながら太平洋クロマグロに関する現行の管理措置は、そのような責任を果たすに満たない。数十年にわたる乱獲の末、太平洋クロマグロの資源量は歴史的最低水準にある。太平洋クロマグロ資源が著しく減少した状態にあることは明白であったにもかかわらず、資源を健全な水準に回復させる方策を実施すべきであるとの度重なる声は退けられ続けてきた。以上のことから、わたしたちはWCPFCに対し、乱獲を直ちに終わらせるため、太平洋クロマグロの全ての商業的漁獲を2年間停止する措置を直ちに実施するよう求める。この停止措置は、太平洋クロマグロ資源が健全かつ持続的な水準に回復するための資源回復計画が太平洋全域において採択されるまで実施されるべきである。

2016年に公表された最新の資源評価によると、太平洋クロマグロは百年近くにわたり現在も行われている乱獲の結果、資源量は初期資源量比2.6%に激減している。科学者の予測によると、現行の管理措置と加入状況の下では、資源量を60%以上の確率で2024年までに42,592トンに回復させるというWCPFCで決定された目標を達成することはできず、2034年までに資源が健全な水準に回復する可能性は1%に満たない。近年の加入量推定値は記録された過去最低水準に近く、このことは太平洋クロマグロ資源の状況をさらに脅かすものとなっている。

資源がかつてないほどの水準に減少していることから、将来に向けての資源回復プロセスを開始するため、北小委員会はWCPFC及びそのメンバーが全ての商業漁獲の2年停止を実施するよう勧告すべきである。必要な場合、そのような停止措置はWCPFCが以下を行うまで延長されるものとする。

  • 8年(最善事例に即し2世代)以内に資源量を20%SSBcurrent, F=0に回復させ、少なくとも2030年までに資源量を40% SBcurrent, F=0の目標基準値に回復させる太平洋全域での資源回復計画の実施。
  • 太平洋クロマグロに対する少なくとも20%SBcurrent, F=0 及び これに関する Flimitに設定した限界基準値の採択。限界基準値は、この基準値を下回った場合、資源量が同基準値に回復するまで漁獲は停止され科学モニタリングが実施されるものとして規定されるべきである。
  • 資源が限界基準値を下回ることを回避するに十分な余裕を確保するため、太平洋クロマグロに対する少なくとも40%SBcurrent, F=0 及び これに関する Flimitに設定した目標基準値の採択。
  • 資源が限界基準値を下回る可能性が5%未満となり、目標基準値の達成確率が90%以上となる漁獲管理ルールの採択。

さらなる措置が実施されない限り、太平洋クロマグロ資源が回復することはない。以上に述べた措置が2018年までに実施されない場合、ワシントン条約(CITES)附属書掲載を通じた国際取引禁止が、太平洋クロマグロを救う唯一の残された選択肢として追求されるべきである。

太平洋クロマグロに関し今年もまた何らの行動も実施されないという時間的な余裕は残されていない。わたしたちは本年の会合において、北小委員会が科学的知見に基づく持続的な管理措置を本委員会に勧告し、以て本委員会にその責務を果たさせ、太平洋クロマグロ資源が健全な水準に回復させるよう、北小委員会のメンバーに対し求める。

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国際環境NGOグリーンピース・ジャパン

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