2018/11/12 グリーンピース声明:アイスランドから日本への絶滅危惧種ナガスクジラの違法取引に反対

プレスリリース - 2018-11-12
【アムステルダム、11月12日(現地時間)】国際環境NGOグリーンピース・インターナショナルは、各国間において絶滅危惧種の鯨肉の輸出入に関するワシントン条約(絶滅の恐れのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)に従わない国に対し、貿易制裁を制定するよう、各国に要請しています。アイスランドは今年捕獲した147頭のナガスクジラの肉1,500トンを現在日本へ海上輸送しており、これは、ワシントン条約の合意をないがしろにしていることになります。

グリーンピース・インターナショナルの海洋生態系シニアキャンペーナー、トム・アレンは「国がワシントン条約を無視することができるのであれば、保護メカニズムに深刻な問題があります。私たちは、クジラを含むすべての海洋生物と公海を確実に保護するために、実効性のある世界海洋条約を国連の場で早急に制定する必要があると考えます」と述べました。

ナガスクジラのような絶滅危惧種の国際商取引は、ワシントン条約によって禁じられています。

ナガスクジラはシロナガスクジラに次ぐ大型鯨類で、体長は25メートル以上になることもあり、商業捕鯨によってその数が激減して以来、絶滅危惧種とされています。これまで論争の的となってきたアイスランドによる日本への輸出用のナガスクジラの捕獲は、今年になって、ナガスクジラとシロナガスクジラの「交雑種」とみられる2頭を捕獲したことで、さらなる批判を受けています(注1)。

今年10月初旬に開かれたワシントン条約の常設委員会の会合において、日本が北太平洋で実施している調査捕鯨で、イワシクジラを公海から持ち込み、商業目的で流通させたのは条約違反で、日本がこれ以上国際法を破り続ければ、貿易制裁などの措置を取るべきとする決議がほぼ満場一致で採択されました。

ワシントン条約は、絶滅危惧種の商取引を行う国家間が「留保」という手段で選択的離脱をしても、制裁を受けずに済むことから、希少な生物に関する本来的な規制措置を逸脱し、無効にする行為であることは明白です。グリーンピース・インターナショナルは、気候変動やプラスチック汚染など、その他の多くの脅威に対して取り組んでいますが、クジラをはじめとする海洋生物が繁殖し、生存していくための安全な場所を緊急に確保する必要があります。

グリーンピースは、海洋保護区の設立と海洋生態系を守るためのキャンペーンを展開しており、国際的な協力が必要です。現在国連では、海洋条約制定に向けた国際的な合意形成が進められています。同条約が施行、遵守されれば、公海とそこに生きる動物たちを、強固に保護することが可能になります。


注1)Whale killing: DNA shows Iceland whale was rare hybrid

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