2018/11/13 グリーンピース調査:「オレオ」製造メーカーとインドネシアにおけるオランウータンの生息地破壊のつながりが明らかに

プレスリリース - 2018-11-13
【ジャカルタ、11月13日(現地時間)】国際環境NGOグリーンピース・インターナショナル(本部)は、新たな地図分析の結果、アメリカの菓子メーカー大手モンデリーズ・インターナショナルと取引のあるパーム油供給企業が、わずか2年間でインドネシアにある約25,000ヘクタールものオランウータンの生息地である熱帯雨林を破壊していたと発表しました(注1)。同日、モンデリーズ ・インターナショナルのクッキー「オレオ」に対して、森を壊すパーム油の使用中止を求める国際キャンペーン『熱帯雨林の破壊をやめて』を開始しました。(注2)

世界最大のパーム油のバイヤーのひとつであるモンデリーズ・インターナショナルは、購入したパーム油を、チョコレート「キャドバリー」、クッキー「オレオ」、クラッカー「リッツ」など、世界でよく知られている商品に使用しています(注3)。グリーンピースの国際調査によると、2015年から2017年の間に(注4)、パームオイル供給企業の22社が、モンデリーズ・インターナショナルが拠点を置くシカゴの面積よりも大きい、70,000ヘクタール以上の熱帯雨林を破壊していた事が判明しました(注5)。

モンデリーズ・インターナショナルにパーム油を供給する企業は、児童労働、労働者の搾取、違法森林伐採、森林火災および土地収奪を行っていると非難されています。 モンデリーズ・インターナショナルは、これらの森を壊すパーム油の多くを、世界最大かつ最も問題のあるパーム供給企業、ウィルマー ・インターナショルから調達しています。

グリーンピース・インターナショナルのインドネシア森林キャンペーンのリーダー、キキ・タウフィックは、「約10年前に問題のあるパーム油を浄化すると約束したのにもかかわらず、モンデリーズ・インターナショナルが、依然として森を壊すパーム油を取引しているのは許しがたいことです。 パーム油は森を壊すことなく製造することが可能ですが、グリーンピースの調査で、モンデリーズ・インターナショナルが購入しているパーム油供給企業は、未だに森を壊し、オランウータンの生息地を台無しにし、これらの美しい野生の生き物を絶滅の危機に追いやっています。 彼らは文字通り、クッキーのために死んでいるといえるのです」と述べました。

科学者たちは、パーム油による森林伐採はオランウータンや他の絶滅危惧種にとって深刻な脅威であると警告しています。 昨年、包括的なメタ解析によって、ボルネオオランウータンの数が過去16年間で半減したと結論づけられました。 最近の研究では、スマトラオランウータンと、新しく発見されたタパヌリオランウータンの両方が、1985年から2007年の間に生息地の半分以上を失ったと明らかにされています。この3種はすべて、スマトラトラとスマトラサイと同様、 IUCN(国際自然保護連合)により絶滅危惧IA類に分類されています

キキ・タウフィックは、「モンデリーズ・インターナショナルの最高経営責任者であるDirk Van de Put氏は、『正しく作られたお菓子』を提供すると約束しました。 しかし、オランウータンを殺し、気候変動を加速することによって生産されるパーム油に、正しいことなどありません。 これを機に、モンデリーズ・インターナショナルやその他のよく知られたメーカーは行動を起こし、森を壊さないパーム油であることが証明されるまでウィルマー・インターナショナルとの取り引きをやめるべきです。究極をいえば、大手メーカーは商品を作るために、森を壊さないパーム油を充分に見つけられない場合は、使用量を減らす必要があります」と続けました。

熱帯雨林の伐採は、ヨーロッパ連合(EU)全体の年間排出量よりも多くの温室効果ガスを排出します。 これは米国と中国を除くすべての国よりも上位を占めています。今年10月、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、地球の気温上昇を1.5度未満に制限するために、森林破壊を即時終わらせるよう求めました。

先週、国連生物多様性条約(CBD)の事務局長であるクリスティアナ・パスカ・パルマ―は、生物多様性の喪失は「サイレントキラー」であり、気候変動と同様に深刻な脅威であると警告しました。

モンデリーズ・インターナショナルは、熱帯雨林の破壊や、人々を搾取していない栽培農家から得たパーム油を使用していることを証明しなければなりません。

地図:ボルネオ島(カリマンタン)のオランウータンの生息地と森林減少
赤色:2000年から2017年にかけて失われた森林
黄色:オランウータンの分布(2016年)
緑色:森林(2017年)

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参考
注1)レポート「Dying for a cookie: how Mondelēz is feeding the climate and extinction crisis」

注2)国際キャンペーン『熱帯雨林の破壊をやめて

注3)成分リストの分析に基づく。製造のばらつきは、パーム、キャノーラ、または大豆油が、異なる地域または工場で使用されている可能性があることを意味する。

注4)グリーンピース・インターナショナルは、25のパーム油生産者グループによる森林破壊を分析し、これらのグループを、モンデリーズ・インターナショナルや他のブランドによって発表されたサプライチェーン情報と相互参照した。パーム油取引の性質上(および企業による取り組み上)、生産者グループの一部は、現在はモンデリーズ・インターナショナルにパーム油を供給していない可能性がある。モンデリーズ・インターナショナルは、まず2010年にサプライチェーンを浄化すると約束し、2014年には「(森林破壊ゼロ、泥炭地ゼロ、搾取ゼロ)」というポリシーを発表した。

注5)レポート「The Final Countdown」(日本語サマリー)

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