食と農業の未来像 〜エコロジカル農業(生態系農業)〜

記事 - 2015-10-16
私たちに、健康的な農業と豊かな食生活を約束してくれるのは、有機農業や自然農法などの”生態系農業”です。自然と生物多様性を大切にし、古くからの知恵と最先端の農業技術をかけあわせた農法です。巨大企業ではなく、人々と農家、つまり消費者と生産者を中心におき、コミュニティのつながりを深めます。

食と農業の未来像 〜エコロジカル農業(生態系農業)〜

いま私たちの食は、矛盾を抱えています。

  • 世界人口70億人のうち、10億人が肥満に悩み、10億人が飢えに直面している
  • 食料の30%が収穫後のロスや流通の途中、購入された後に廃棄されている
  • 農業は地球の淡水資源の70%を使用し、世界各地で水不足や水質汚染の原因となっている

私たちに、健康的な農業と豊かな食生活を約束してくれるのは、有機農業や自然農法などの”生態系農業”です。 自然と生物多様性を大切にし、古くからの知恵と最先端の農業技術をかけあわせた農法です。 巨大企業を中心とした”工業型農業”ではなく、人々と農家、つまり消費者と生産者を中心におき、コミュニティのつながりを深めます。

 

生態系農業が叶える7つのこと

1 食料の自己決定権:
生産者と消費者が巨大企業にコントロールされずに、自分たちの食べ物を自由に作り、手に入れられること。

ここ日本でも、生態系農業を実践している農園があります。農家と消費者が、単に野菜を売る・買うだけの関係ではなく、一緒に育てて収穫する農園です。
色とりどりの美しい畑には、化学肥料を使わず、より自然に近い状態でさまざまな農産物を育てています。

 

2 農家と農村地域社会へ利益:
食べ物を作り出してくれる農家や漁師のコミュニティが、労働に見合う安定した生活を送れること。

 

3 経験と科学を活かした生産方法と持続的な食:
農家の培ってきた経験と科学に基づく方法で、必要なところで持続可能な生産をし、穀物を大量に消費する家畜の大量生産や食料廃棄物を減らすこと。

 

 

4 生物多様性と多様な種子のシステム:
単一の作物栽培=モノカルチャーをやめ、多種多様な作物を育てることで、自然本来の生物多様性や景観を守り、私たちの食卓の彩りや栄養バランスを守ること。

 

5 持続的な土壌の健全性ときれいな水:
今日、淡水汚染の最大の原因は農業。化学物質で水や土壌を汚染することなく、土の豊かさを保つこと。

 

6 生態系の力を活用した無農薬の害虫防除:
植物や益虫を使って雑草や害虫をおさえ、化学農薬の使用をカットすること。 例えばイチゴ栽培。ニンニクを混植することによってニンニクの匂いを嫌ってイチゴに害虫が寄りにくくなる。

 

7 気候変動に対応できる食料生産:
気候変動によって世界中で干ばつや洪水が起きている。生態系農業が育てる有機的な土は、自然災害に負けず、食料を生産し続けること、そして食料システムを再デザインすれば、気候変動の影響を和らげることができる。

 

レポート「生態系農業 人を中心とした食と農業の未来像ー7つの原則」

現在、多くの国で実施されている化学農薬や肥料を大量に投入する農業モデル(工業型農業)は、地球の環境に大きな脅威を与えています。
このレポートの目的は、現状の農業モデルとは別の、有機農業や自然農法などの生態系と調和した農業は、環境を守りかつ世界の需要を満たすことが可能であると立証することです。
生態系農業に関して世界の科学的証拠について考察し、めざすべき食と農業の未来像について7つの原則を導いています。

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今こそ均衡的食物連鎖農業を

一般社団法人日本はちみつマイスター協会 代表理事


地球が誕生して40億年。現在200万種程度生存していると言われる生物種は、緑色植物を底辺としたピラミッドを形成し均衡の取れた食物連鎖を繰り返してきました。
けれど現在はどうでしょう。微生物がいなくなった田畑、薬漬けになった家畜…ミツバチは神経毒の農薬が混ざった花蜜や花粉を知らずに採って帰巣本能にダメージを受けました。
その結果起こった蜂群崩壊症候群はいまだに解決していません。さらに私たちが食べている約70%の作物はミツバチの受粉なしには生産することができないと言われています。
今までの生産性を重視した農業から、偏りのない食物連鎖を作り出す農業へ変えない限り、子孫に残していける地球環境はありません。もちろん美味しい蜂蜜だってなくなることでしょう。

 

あなたがいつもお買い物をしているスーパーマーケットでも、いつでもオーガニック食品を買うことができるよう、あなたの声を届けましょう。

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生態系農業を実践する農家から食べ物を手に入れよう。
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©の付いていない写真は、全て神奈川県座間市で消費者参加型の有機農業を営む、なないろ畑で撮影。

©KayoSawaguchi/Greenpeace

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