今回の北極海でのトロール漁業による影響調査をリードしているフリーダ・ベンソン(Frida
Bengtsson)は、子どもの頃、原発を止めることが最大の関心事のひとつだったそうです。彼女の母親がグリーンピースのサポーターであったため、幼いころから環境問題に関心を持ち、16歳のときからボランティアとしてグリーンピースに参加。以来ずっと大学、大学院生のときも、グリーンピースの非暴力のアクションに参加してきました。2001年にはスウェーデンに新設された焼却炉の稼動直前に、7日間にわたって煙突の上で座り込み、ダイオキシンを発生させる焼却がゴミ処理の結論であっていいのかと世論に問いかける活動に参加したこともあります。政治学を学んでいた彼女は、ケニア、ウガンダ、ロシアでも学びました。

スウェーデンは、隣国のノルウェーと同じくよく魚を食べます。昔はタラが中心でしたが、タラが急激に減ったいまは養殖のサケが多くなりました。スウェーデンでも、5年ほど前までは破壊的な漁業の問題について市民が関心を持つことはあまりなかったといいます。「環境王国」と日本で紹介されるスウェーデンでも、つい最近までそうだったとは、ちょっと驚きでした。

2008年にグリーンピース・ノルディック(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマークの北欧4カ国にまたがる支部)が、違法・過剰漁業、混獲などの漁業問題や、EUの川に戻ってくるウナギは昔に比べてわずか1~3%になってしまったことなど、驚くべき水産資源の現状についてまとめた『魚――北欧の持続可能なマーケット・ランキング』というレポートで、主要なスーパーマーケットや生協を比較評価して発表しました。以来、有名なシェフやレストランが協力してくれて、売る側も買う側も海の持続可能性について関心が高くなり、商品の表示もより正確に行われるようになってきたそうです。 

混獲は海洋生物がムダに取られてムダに捨てられる大きな問題です。ヨーロッパのトロール(底引き)漁業では、網にかかった魚や生物の70~80%を混獲物として海に捨てているそうです。

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写真:Oceans
Bycatch Action E.U.Council (c) Greenpeace / Philip Reynaers

欧州理事会前に混獲された海洋生物をならべ海洋環境の危機を訴えた。 (Brussels, Belgium, 2004年12月)