エスペランサ号は4週間にわたる北極海での海底調査を終え、7月5日、スバールバル諸島最北の町ロングヤーベンに戻りました。スバールバル諸島ではここが唯一、インターネットの通じる場所。4週間ぶりにインターネットに接続できることに数日前からワクワクしていました。ニュースを読めること、写真を送れること、家族と話せること……。次の出航までのわずかな時間を、インターネット接続と陸上を歩くことの2つの楽しみに費やしました。

そしてここで中国、ドイツ、日本、ブラジルからのジャーナリストが乗り込み、翌日、今度は海洋の酸性化調査を行っているニーオールセンへ10日間の旅に出航しました。

ニーオールセンでは、ドイツで最大の海洋研究機関のひとつ、IFM-GEOMAR(ライプニッツ海洋研究所)の科学者数十人が滞在し、5月末から酸性化調査を続けています。エスペランサ号によってドイツから運ばれて設置された9つのメソコスム(Mesocosms)と呼ばれる装置で、二酸化炭素を現在の濃度(~385ppm)から来世紀中盤に予測される濃度(~2500ppm)までさまざまなレベルで送り込んで酸性度の違う海水を作り出し、さまざまな生物の変化を観察して、二酸化炭素の濃度上昇と海水の酸性化によりどのような影響が現れるかを調査しています。

ニーオールセンに到着したその日の朝、さっそく調査最終日のメソコムスへゴムボートで訪問しました。先方もゴムボートで、実験中のIFM-GEOMARの科学者たちが笑顔で迎えてくれ、調査が非常にうまくいったことを話してくれました。33日間におよぶ調査が終わり、明日はエスペランサ号で高さ8メートル、重さ2トンのメソコスムを引き上げて船上に移します。

写真:メソコスム(Mesocosms)とデータを収集する科学者たち

(c) Nick Cobbing /
Greenpeace 2010年6月北極海


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