(提出される署名用紙を前に・・・)





2006年4月から、遺伝子組み換え食品表示を知って選べる食品表示をするために始まった署名運動は、『トゥルーフード・ガイド』の浸透もあって署名数はみるみる増え、登録賛同団体数も一気に100近くに上りました。




総数16万8716筆の国民の声を政府に届けることができた事実と、その署名の重みとを感じながら、これまでの3年間を振り返っていました。





2009年4月、3年越しで集められた署名の提出までの3年間に、日本では食の根底を揺るがすたくさんの問題が起こりましたね。結局、未解決のままの冷凍ギョーザ中毒事件(少しさかのぼりますが、BSE狂牛病の問題も米国側のチェック態勢が甘いまま見切り発車で輸入再開になりました)や汚染米――。汚染米問題は、最終的に三笠フーズの元社長が不正競争防止法違反(虚偽表示)罪に問われ、国の責任は表向き、当時の大臣が辞任したことで幕が引かれています。そんな中、日米間ではMA(ミニマムアクセス米=そもそも「汚染米」事件の発端となった)制度の見直しが進められています。



去年のG8洞爺湖サミットでは、地球を冷やす農業「クールファーミング」レポートを発表し、今後の農業セクターが目指すべき方向をグリーンピース・インターナショナルが発表しました。この3年で世界が「遺伝子組み換え作物」を見る目は徐々に変化しています。



遺伝子組み換え作物が人体と環境におよぼす危険性は10年前と比べ増えていますし、ヨーロッパ地域だけ取り上げれば、去年から今年の最新レポートでは作付け総面積は減少にあります。また、遺伝子組み換え作物がもたらす利益が過大評価されていたとする、世界農業報告書としても知られるIAASTD(開発のための農業科学技術の国際的評価)の評価は重要な世界的知見です(参考:食糧安全保障と気候変動:答えは生物多様性 レポート)。




それに加え、「種の保存」をめぐって裁判沙汰になるケースが後を絶たず、約束された収量が上がらないとか、農薬とのセット購入の仕組み、農薬に頼りきった単一栽培方法などは、農業の根本にかかわる問題も抱えています。さらに、遺伝子組み換え種子の90%は農薬大手企業モンサント社1社が牛耳っている現状があり、そのビジネスモデルは映画やドキュメンタリーで批判されています。


☆ドキュメント:モンサント社7つの大罪


☆映画:「食の未来」「The Future of Food」(米LilyFilm,2004年)


☆ドキュメンタリー:モンサント社の世界戦略(The World According to Monsanto 仏,2008)



遺伝子組み換え作物や研究に関する日本国内と世界での報道には温度差があります。これは否定できない事実です。モンサント社の殺虫性遺伝子組み換えトウモロコシ(MON810)が欧州で問題になり、数カ国で作付けが禁止になったニュース、動物実験によれば不妊症になりうる可能性を示唆する政府の研究データ発表(英文)など、国内では耳にしない情報ばかりです。



「食の安全・安心をとても大切にする日本が、どうして遺伝子組み換え作物には寛大な姿勢なの?」と海外のキャンペーナーに質問されることを思い出していました。


その答えは、適切な表示がないから――


「表示がないので遺伝子組み換え食品とは知らずに購入しているの。それを求めているわけでは、全然ないのよ!」




今回の署名提出では、油に加工されるとDNAが壊れてしまって検出不可能なため表示できないとか、「遺伝子組み換えでないものと同等と見なしています」とか、無責任な回答がありました。どこから輸入され、だれが育てたかの情報を共有するトレーサビリティを強化すれば、問題が解決することは明らかです。現に、他の国はトレーサビリティを強化することで、遺伝子組み換え作物由来の原料にはすべて表示義務を課し、実現しています。日本の食品メーカーでもヨーロッパで同じ商品を販売する場合には、すべての原料にGMO-FREE(遺伝子組み換えでない)原料を使用しているのですから、日本だけできないなんて議論は通用しません。通用しないのなら、国は変える必要があります。



「17万人近くの国民の声の重みです。しっかり感じてください」









そういって、署名を手渡ししました。





すでに消費者は他に答えを探し、変わりつつあります。



安心できる新鮮な食材、また国内の農業を盛り上げる国産のものを求める消費者はいままで以上に増えていますし、生産者の顔が見える「宅配」のマーケットは実に9%の成長率です。



「不況、不況」と大型スーパーが格安競争時代にはいったと大きく報道されていますが、私たちが耳を澄ませば、解決策は以外に近くにあるものです。



国産に遺伝子組み換え作物はありません。遺伝子組み換えに関して、現行の表示は頼れませんので、裏に記載されている「お客様センター」に電話して「遺伝子組み換え原料がその商品に使われていますか?」と訊ねましょう。また、使っているのなら、使わない原料で商品をつくってもらえるようお願いしましょう。



そして、私たちNGOやNPOはまず実現可能な目標として、遺伝子組み換え食品を食べたくない消費者がきちんと自分たちで選べる表示にするため、法改正要求などの活動を続けていきます。