“「駆け込み天下り」大日本水産会の補助金比率は驚愕の91.6%!!”



事故米の不正転売事件で昨年9月に更迭された農林水産省の白須敏朗前事務次官が社団法人大日本水産会の会長に就任したことがわかり、民主党による改革直前の「駆け込み天下り」として批判されています。

この白須敏朗氏、事故米の不正転売発覚時に農林水産省の事務次官だったという経歴が注目されがちですが、その天下り先からも想像できるように、元水産庁のトップ、水産庁長官だった人物です。水産庁長官を経て農林水産庁の事務次官に昇格し、事故米の不正転売事件で更迭されたにもかかわらず、大日本水産会の会長に今回「駆け込み天下り」就任したというわけです。

大日本水産会は、まさしく日本の水産業界の集合体。そして、なぜか突然会長の座を白須氏に明け渡した同会の前会長である中須勇雄氏は、大日本水産会のHPでは最終官職が林野庁長官となっていますが、元水産庁長官でもあり、天下りの先輩です。
(大日本水産会のHPより、http://www.suisankai.or.jp/daisui/zaimu/new_pdf/yakuin.pdf


ようするに、この大日本水産会の会長は歴代水産庁の長官の天下り指定席。そして会長職の給与が年間1860万円というから驚きです。厳しい生活を強いられている漁師からの冷たい視線を感じないはずがありません。

そして、今回もう少し調べてもっとも驚いたのが、その大日本水産会が水産庁から受けている補助金の額とその収入に占める割合です。平成19年度は水産庁からの補助金が、182.9億円。そして、それが同会の収入に占める割合がなんと91.6%! もちろん、燃油高騰緊急対策費というものが入っているのが比率の高い理由という言い訳は分かりますが、どちらにしても、補助金がなければ存在意義がないという補助金にどっぷりと依存する団体です。
(農水省HPより、http://www.maff.go.jp/j/corp/koueki/suisan/pdf/138-12.pdf

そこに元水産庁長官の官僚たちが「天下り」するわけですから、典型的な天下りの弊害があるといえるでしょう。現役時代に補助金を潤沢に確保してあげることで、天下りの席を確保するというもたれ合いの状況が長く続いてきているのです。

先日お話しする機会があった記者が、「水産庁は農水省の中でもメディアの死角です」と語っていました。注目されないぶん、自浄作用がなく古い癒着体質が化石のように残っているようです。化石発掘を願っている記者は水産庁の発掘をお勧めします。

ちなみに、今回話題の中心である白須氏は、農水省事務次官時代に私の告発した鯨肉横領でも、記者の質問に鯨研と共同船舶に有利な発言を繰り返していました。それもそのはず、共同船舶や鯨研は大日本水産会の主要な会員で、共同船舶の社長である山村氏、鯨研の中山博文氏が常任理事に名を連ねています。白須氏は私たちが告発した疑惑について問われた際に、すでに将来の大日本水産会の会長としての発言を意識していたのかもしれません。