(12月2日正午よりグリーンピース・ジャパンのウェブサイトで表示される予定のイメージ)

 

11月26日、特定秘密保護法案が衆議院で可決されてしまいました。

政府が秘密を恣意的に特定し、情報を隠すことができる法案として多くの団体や個人が反対を表明しています。グリーンピースもこの法案が「知る権利」を侵害するとして廃案を求めています

昔も今も、政府が情報を隠すときには書類などを「黒塗り」にしてきました。特定秘密保護法案が成立すれば「さまざまな情報が真っ黒にされる時代」が来るかもしれません。

「なにを大げさな」という方もいるでしょう。

しかし、この法案が成立することで社会に広がる「萎縮効果(いしゅくこうか)」を考えれば大げさなことではないのです。


「萎縮効果」による「表現の自由」の侵害

「萎縮効果(チリング・エフェクト)」とは、国際的にも「表現の自由」を考える時にとても重要視されるキーワードです。

「萎縮効果」とは、刑罰や規制を定める法令の文言が曖昧だったり、過度に広範であることで起こる社会現象のことを指します。法令の適用を恐れて、表現活動に自主規制が行われることで、実質的に「表現の自由」が侵害されていくことです。

つまり、「これを言ってはダメかもしれない」という不安が社会に広がることが「萎縮効果」ということです。

戦時中の表現活動は、まさしく「萎縮効果」によって制限されました。

 

「萎縮効果」抜群の秘密保護法

秘密保護法案では、特定秘密に指定された情報を知ろうとする一般人の行為までもが罰せられます。しかし、具体的にどのような行為が罰せられるのかは曖昧で、過度に広範のままです。

例えば、原発の安全対策が「テロ対策」として秘密に指定されてしまえば、NGOや市民団体が安全対策の不備を指摘しようと「政府は、安全対策について公開すべきだ」と述べること自体が、違法行為とみなされる可能性を排除できないのです。

政府は「そんなことはありません」というかもしれません。

しかし、この法案の問題点は、何が規制の対象になるのかわからないことで広がりかねない「萎縮効果」なのです。

「萎縮効果」は、社会のなかでは「自主規制」として働き始めます。

すると、政府の情報が隠されるだけではなく、報道機関、NGOや市民が発する情報までもが当たり障りのないものになってしまいかねません。

こうやって「表現の自由」は「自主規制」され始め、「知る権利」は侵害され、市民が主体であるはずの民主主義が機能しなくなります。


世界人権宣言で保障される「情報を求める権利」

日本も批准した世界人権宣言の第19条には、「すべて人は、意見及び表現の自由に対する権利を有する。この権利は、干渉を受けることなく自己の意見をもつ自由並びにあらゆる手段により、また、国境を越えると否とにかかわりなく、情報及び思想を求め、受け、及び伝える自由を含む」とあります。

情報を「求めること」も「表現の自由」の重要な要素です。

グリーンピースは、特定秘密保護法案が、基本的人権の侵害にあたると考え、ただちに廃案にすべきだと考えます。

毎年12月4日~12月10日は世界人権宣言にちなんで、日本政府が定めた「人権週間」です。

この「人権週間」に、世界人権宣言に違反する法案を成立させるのでしょうか?


ウェブサイトを24時間真っ黒にして抗議

グリーンピースは、12月2日正午~12月3日正午までの24時間(予定)、グリーンピース・ジャパンのウェブサイトを真っ黒にし、この法案とその法案が生み出す可能性のある「萎縮効果」に抗議する予定です。

ぜひみなさんも、個人や団体で同様の抗議をしませんか?

(12月2日正午よりグリーンピース・ジャパンのウェブサイトで表示される予定のイメージ)

 

 参考) 国際環境NGOグリーンピースが2013年9月17日付で送ったパブリックコメント。グリーンピースが特定秘密保護法案に反対する理由を明記してある。