みなさん、こんにちは。事務局長の佐藤です。

3か月前に育児休暇を兼ねたサバティカル休暇に入らせていただきましたが、9月24日から事務所に戻りました。あっと言う間の3ヶ月でしたが、その間の出来事をいくつかのブログにわけて書かせていただこうと思います。

まずは、早く伝えたい自然を破壊するダムのこと。


貴重なサンル川が破壊されている

9月14日、北海道の北部にある下川町を訪れました。下川町を流れるサンル川が今回の訪問先です。この時期のサンル川では、海から天塩川、名寄川、サンル川と200キロ以上も川をのぼってくる「サクラマス」という魚に出会えるのです。

(出典:サンル川を守る会

今回、この下川町で「サンル川自然観察委員会」が主催した自然観察会に参加させていただき、サンル川の自然と、そしてそこに建設が進むサンル川ダムの状況を視察させていただきました。観察会では、サンル川で生まれたサクラマスが川に戻って産卵するところや、川に生息する珍しいカワシンジュ貝などを観察することができました。体長30cm以上もあるサクラマスが、200km以上も川をのぼってきて産卵する様子が見られる河川は日本にはここサンル川だけともいわれています。

 

 

>動画はこちらからご覧ください

 

ちなみに下川町はスキーのジャンプが有名でレジェンドと呼ばれる葛西紀明選手もこの下川町出身だそうです。さらには、下川町は森林資源を使ってバイオマス発電を積極的に行うなど、バイオマスの町として知られます。数か月前の報道ステーションで、特集されていたのを私もたまたま見たことがあります。町を歩くと、この写真のような木質ペレットボイラーを使った集中暖房施設つきのアパートも存在していました。

そんな自然にやさしい方針を持つ下川町。しかし、貴重なサンル川の自然を破壊してダム建設を進めているのです。

ダムの背景などの詳しい情報は、ぜひこちらの「サンル川を守る会」のページをご覧ください。


本格工事が進むサンルダム

昨年から、サンル川のダム建設が本格的にはじまってしまいました。ダム建設の工事現場にも連れていっていただきましたが、そこにはそれはそれは無惨な光景が広がっていました。山肌はえぐられ、森は切られ、川の水は無理やり流れを変えられ、川底にはゴミと泥が溜まっていました。

 

そのダム建設も、河川環境への影響がないように“配慮”しているそうです。どうやって配慮しているのかというと、その一つが、こちらの“魚道。”

つまり、サクラマスが川をのぼるときにダムが邪魔になるから、魚の道を別に造ってそちらをサクラマスにのぼってもらおうというのです。

下の魚道の建設現場をみて、驚愕。

サクラマスが泳ぐと想定されている幅数メートルの溝がダム建設予定地の横を永遠と続きます。その距離ナント9キロ(後に7キロに変更されたとのこと)。

サクラマスにとっては全く嬉しくない人工物が、“サクラマスのため”として堂々と建設されているのです。

 

ムダなダム建設を止めるための署名にご参加を

そもそもこのダムはお隣の名寄市を洪水から守るという目的。しかし、洪水対策は、護岸工事などで十分に行えると言われています。また、このダム建設には528億円もの税金が使われます。しかも、その半分がすでに道路工事などで使用されてしまいました。


(出典:サンル川を守る会

ムダなものが、貴重な自然を壊すほど憤りを感じることはありません。

今回の観察では数匹のサクラマスしか見ることができませんでした。このままダムが完成してしまったら、どうなるのでしょうか?

このダムの工事中止を求めての活動が始まりました。Change.orgにてサンル川をまもるための署名活動がスタートしています。ぜひみなさんも、ご参加ください。

 

次回は、土砂で埋まってしまい使い物にならなくなった北海道の二風谷ダムと、ダムを壊して自然に戻すことを実現した米国市民たちのドキュメンタリー映画「ダムネーション」をご紹介します。