【佐藤潤一の事務局長ブログ】

「紙一重で、5000万もの人が福島第一原発の250km圏内から逃げなければいけなくなるような、重大な危機に直面したのです。」

これが、今から5年前に発生した東京電力福島第一原発事故当時に日本の首相だった菅直人議員が、グリーンピースの船「虹の戦士号」から福島第一原発を見ながら語った言葉でした。そして以下のように続けています。

「それだけの大きなリスクのある原発を、これ以上使い続ける必要はありません。将来世代のために、原発ではなく、安全かつ安価でしかもビジネスチャンスのある再生可能エネルギーにシフトすべきだと考えています」

 

 

菅元首相、日本の首相経験者で初めて「虹の戦士号」に乗船

2月21日(土)の夕方、福島県の小名浜港に着岸していたグリーンピースの帆船「虹の戦士号」に、菅直人元首相が乗船しました。翌22日に福島第一原発沖を航行し、事故当時の状況と菅元首相が反原発に転じた心境をグリーンピーススタッフやクルー(乗組員)、そして同乗した国内外メディアを通じて多くの人に伝えるためです。

乗船した菅元首相を、国際色あふれる「虹の戦士号」のキャプテンやクルーがオーガニック食材を使ったカレー、サラダ、炒めものなどの船内食でおもてなし。ちなみに「虹の戦士号」では3カ月ごとに料理長が代わるのですが、今回の料理長はインド人でとても評判が高いです。

そしてこの日は、たまたまあるクルーの誕生日。菅元首相はこの誕生日クルーのためにみんなとHappy Birthday Songも歌ってくださいました。

「虹の戦士号」は2011年に航海をはじめた新しい船です。よって、船員室にはシャワーもついており、とても快適です。菅元首相にも、クルーと同じ船員室をお使いいただきました。

近年、「虹の戦士号」を訪れた国の代表としては、インドネシアのユドヨノ大統領(当時)がいます。この時は、多くの大臣を連れての表敬訪問でした。日本の首相経験者としては、菅元首相が「虹の戦士号」への初めての乗船です。

 

福島第一原発沖を航行し視察

22日は曇っていましたが強風も少しおさまり、「虹の戦士号」は小名浜港を菅元首相を乗せて出港しました。沖にでると、その波の高さにつかまっていても倒れるぐらいの揺れ。クルーにとってはなんともないこの揺れも、菅首相を含め私たちにとっては、かなりの試練でした。

それでも高さ56メートルもあるマストに真っ白の帆を張って、風を全面に受けて進む「虹の戦士号」のその姿は、菅元首相にとっても印象深かったようです。

船から海岸線を見ると、約25メートルの高さの絶壁が続いているのがよくわかります。その絶壁が突然人工的に切れる場所、それが福島第一原発の敷地でした。原発に必要な冷却水取得のため、わざわざこの高い絶壁を切り崩して10メートルの高さに原発を設置したことで、津波の被害を受けてしまったそうです。

福島第一原発沖を航行する際に、菅元首相が海外メディアやグリーンピースに語った言葉が冒頭に紹介したものです。

もちろん原発事故前には原発を推進し、海外にもトップセールスを行い、事故後の対応にも当たっていた当事者ですから、政治家として、そして元首相としてその責任は十分に問われるべきでしょう。

しかし、原発を設置してきた過去の政権や官僚の責任がさらに大きいのは間違いありません。

すべての政治家が、自分が原発事故当時の首相だったらどのように判断するかを一人の人間として考えてほしいと切に思います。

福島原発沖の海洋調査、そして自然エネルギーへの「iSwitch」キャンペーン開始

グリーンピース・ジャパンでは、「虹の戦士号」の福島県沖派遣に合わせて、2つのプロジェクトを行っています。一つは、福島原発沖の海洋の放射線調査。そして、もう一つが4月の電力自由化を前にして電力会社の選択を促す「iSwich」キャンペーンです

福島県沖での調査は、グリーンピース・ジャパンがチャーターした日本船籍の調査船で実施し、2月21日から3月12日まで、福島第一原発から20キロメートル圏内を含む福島県沖にて実施予定です。ガンマ線スペクトロメーターを使用して海底堆積物の放射線量の測定と放射性物質の核種を調査すると同時に、ROV(遠隔操作探査機)で海底土のサンプリングや写真及び映像の撮影も行います。

 

2つ目のプロジェクトが、4月1日からはじまる電力自由化のスタートを前に、電力会社の選択を促すオンラインアクション「iSwitch – 今だからクリーンな電気に”スイッチ”しよう」です。

「iSwtich」キャンペーンでは、これまで電力会社を選べなかった市民が、電気の発電方法などをもとに主体的に電力会社を選択することで、脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会につなげることを目的としています。

 

世界のメディアも虹の戦士号の活動を報道

すでにフランスのAFPやイタリアのLa Repubblicaなどの海外メディアがグリーンピースの「虹の戦士号」の福島県沖での活動を報道しています。

グリーンピースは、その国際的なネットワークを最大限に活用して科学調査をすすめるとともに、東電福島原発事故から5年目の節目の年に、もう一度原発の危険性と自然エネルギーへのシフトの重要性を訴えていきます。

このように独立した立場で活動を続けられるのは、企業や政府から支援を受けず、世界中の個人のサポーターの皆様のご支援で支えられているお陰です。

福島原発事故の教訓を日本、世界にもう一度広げ、自然エネルギーの社会を実現するためにぜひグリーンピースのサポーターになってください。

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