みなさん、こんにちは。

小型飛行機が農薬をまいて飛ぶ様子を見たことありますか?

これはブラジルの大豆畑の写真ですが、日本でも、飛行機やラジコンの小型のヘリコプターで森林や農地への農薬散布が行われています。

最近は、ネオニコチノイド系農薬を山に空中散布するケースも増えてきているそうです。

7月16日、長野県庁で、松枯れ対策のための農薬(殺虫剤)の空中散布と農薬被害について、長野県の住民の方たちの行政との集会(交渉)があり、グリーンピースも参加してきました。

 県庁の担当者は、林務部、農政部、環境部、健康福祉部、から併せて11人。

県内各地から集まった住民の方々は、医師や幼稚園の先生や有機農家さん、地元で環境を守る地域づくり活動をしている方や森林組合の方、市会議員など30人です。

 

  【目次】
1. 農薬中毒の一歩手前
2. 予防原則を優先し、中止した長野県上田市
3. 空中散布って効果あるの?
4. 空中散布の代わりになるものは?
5. 最後のまとめ
___________________

1. 農薬中毒の一歩手前

農薬の空中散布のあった日やその後から、気分や体調が悪くなったりした人は数多くいるそうです。

こうした被害は、因果関係のわかりやすい「中毒」よりも、一歩手前。検査しても影響が検出されにくく、「気のせい」とか「別の原因では?」とされ、農薬の空中散布との関連を認められにくく、そのため、長いこと農薬の空中散布にさらされて、化学物質過敏症になってしまった方々もいる、と住民からは具体的な被害が挙げられていました。

被害を防ぐことはできないのでしょうか?

 

2. 予防原則を優先し、中止した長野県上田市

「子どもの未来を守る会」の会長、田口さんも、化学物質過敏症を発症してしまった一人です。田口さんは地元の長野県上田市に健康被害を訴え交渉を続けてきました。

そして2011年、上田市は、「(疫学調査結果等も尊重し)、因果関係が否定できない以上、市民の健康を重視し、空中散布を見合わせる」という判断をしました。

ネオニコチノイド系農薬は、これまで考えていたよりも毒性が強いかもしれないし、環境のいろいろなところに残留して、生態系に影響を与える恐れがあるということが、最近の研究からわかってきました注1)。

予防原則を非科学的だという人がまだいますが、因果関係が「わからない」ことを、「ない」とみなすことこそ非科学的です。「わからない」という現実にしっかり向き合って、因果関係がないとはいえる証拠がないから人の健康を重視しよう、というこの上田市の決定はとても画期的です。全国の自治体も、これに続いてほしいと思います。


3. 空中散布って効果あるの?

この日の、重要な争点は、「農薬の空中散布の効果が客観的に検証されていない」という問題でした。

長野県では30年間、森林の松枯れを防ぐという目的のもとで農薬(殺虫剤)散布が行われてきましたが、これまでに、空中散布をしたエリアでの松くい虫(マツノザイセンチュウ)の見つかる数や密度といった調査の結果が全く公表されていないのです。

それどころか、松くい虫がついた木を切り倒すことで虫を駆除してきたエリアを含む写真を「空中散布によって効果があった」として報告してきたそうです。

農産物にまく農薬もそうですが、効果がどれくらいなのかさえ検証しないで使い続けることは許されません。一方で健康を害したり、影響がでるリスクが高くなる人たちがいるのですから。

その日に県から配られた資料も不思議なものでした。国の資料のコピーだそうです。

 

表の非特別防除区(特別防除をしていない区域)でも、被害が深刻だった「激害」区域が31.8%もあったのに、翌年にはゼロになっているのです。特別防除をしなかった区域でも害が減っているのに、「特別防除による防除効果が確認された」と説明されていました。これをどう見ているのか、グリーンピースからも質問しましたが、「国の資料なので農林水産省のホームページを見てください」というだけで、答えがありませんでした。

 

4. 空中散布の代わりになるものは?

この日、松本広域森林組合の方も参加されていました。理事の遠藤さんは、安曇野市では、松くい虫の被害を受けやすいアカマツを、枯れる前に伐採して木材として利用し、あとに広葉樹を植えるという「更新伐(こうしんばつ)」で松くい虫被害を防いでいる実績を紹介してくれました注2)。空中散布以外にも方法はあるのです。

実は、予防原則のルールのひとつに

「他により安全な代替方法が使える場合にはそれを選ぶ」

というのがあります。

「空中散布ありき」で考えるのをやめれば、農薬以外の方法を試す余地も生まれますね。

効果のある方法が、他にもあるかもしれません。

 

5. 最後のまとめ

長野県で、住民の方たちは、効果も検証せず「空中散布ありき」な県の方針に対し、地域で森(環境)を守りながら安全に暮らすために何が必要なのか、という立場から議論をすすめています。

グリーンピースも、各地の現場で環境を守ろうとする住民の方々の取り組みや成果を、他の地域の方々と共有できるよう情報発信したり、行政が住民に発表してくれない情報(ネオニコチノイド系農薬の最近の研究結果など)を共有していきたいと思います。そして、みんながつながって力になっていけるよう一緒に進んでいきたいと思います。

 

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注1)国際自然保護連合 浸透性農薬タスクフォースの報告(英語)

       一部日本語になっている文書がこちらで見られます。

 注2) 安曇野市全体としては、空中散布をやめたわけではなく、今年もネオニコチノイド系の空中散布を行っています

 

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