こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。

高浜廃炉訴訟HPより

イラスト：４０年廃炉訴訟市民の会より

関西電力高浜原発4号機が再稼働してしまいました。

これで動いている原発は4基になりましたが、東電福島原発事故直前には38基の原発が動いていました。

今、全国の市民が、がんばってたくさんの原発を止めているんだと改めて思います。

そのうちの一人になりたい！　そんな思いで、高浜原発1,2号機、美浜原発３号機の廃炉を求める裁判（名古屋地裁）に関わらせていただいています。

5月17日、その裁判の口頭弁論の傍聴をしてきたので聞いてください。

自力で避難できない人が取り残される

美浜3号機の裁判では、はじめに、原告からの意見陳述がありました。
今回は、愛知県重度障害者の生活をよくする会会長の平山晶士さんが、原発事故では「自力で避難できない人が取り残される」と陳述しました。

原告陳述者

写真：平山さん。裁判所前で

「原発事故では、障がいのある人たちは容易に避難できません」

JDF(日本障害フォーラム）の災害総合支援本部は以下のように報告しているそうです。

ー　自力で避難できない人たちは事前避難が求められたが、実際には多くの障害者が避難しなかった。「どこにも逃げられなかった」という理由で。

ー　放射能汚染を恐れて、市外からの物流が途絶え、屋内待機の家族には、食料、ガソリン、医薬品等が入らない状況に陥った。

車イスで法廷に立った平山さんの陳述は、弁護士によって代読されました。

「寝たきりの人は、起き上がるだけでもリスクが高いのに、点滴をはずされ、観光バスの座席にぐるぐる巻にされて、温度管理などできない場所で長時間過ごすことになります」

双葉病院では338人が入院、避難中に1人、避難先で3月中に40人が亡くなった例をあげ、障がい者にとって、避難は「命がけ」であり、「再稼働には反対です」と訴えました。（全文はこちら）

福井の原発、岐阜は被害地

次に美浜原発から70キロの岐阜県岐阜市に住んでいる兼松秀代さんが、2012年9月に公表した岐阜県による敦賀原発事故放射能拡散予測で、岐阜県でも75万人以上が避難必要（年20ミリシーベルト以上となる）となった例をあげ（下図参照）、「福井の原発で岐阜は被害地となる」と訴えました。（全文はこちら）

岐阜ネットチラシ

チラシ：放射能のゴミはいらない！市民ネット・岐阜

高浜原発3,4号の運転禁止決定取り消しの大阪高裁　司法の責任はどこに

裁判官であったときに、石川県志賀原発２号機の運転訴差し止めの判決を出した経験のある井戸弁護士が、大津地裁の高浜3,4号運転禁止決定を、大阪高裁が取り消した決定について、
「文面のどこからも、福島原発事故を防ぐことができなかった司法の責任の自覚を感じ取ることができない」
「400頁を超える決定文中に、福島原発事故の被害に関する事実認定や言及が全く存在しない。福島原発事故を経験した今の時代に原発差し止め訴訟に関わる裁判所としては、福島原発事故のような事態を二度と起こしてはならないという覚悟をもって審理判断するべきことは社会的・歴史的要請であるべきであり、その要請を果たすためには、福島原発事故被害についての事実認定は欠かすことができないはず」と述べました

そして、原子力規制委員会、関西電力の主張の引き写しをしたと厳しく批判し、この裁判を担当している名古屋地裁には、これを他山の石として審理してほしいと結びました。

（この他、原発に求められる安全性や立証責任論についてもお話されました→準備書面はこちら）