(C)Jeremy-Sutton Hibbert/Greenpeace

みなさん、こんにちは。

「海洋調査サポート」として虹の戦士号に乗船している宮地です。

海洋調査2日目の今日は、いわき沖東約40Kmの海域からスタートしました。

波が穏やかだったので、機動性のあるゴムボートを使用して海水と海藻の採取を行い、同時に虹の戦士号からも流されてくる海藻を採取しました。

この日の三陸の海は静まり返ったまま。

ゴムボートから見渡す三陸の海は、海上保安庁の船と虹の戦士号が見えるのみで、静けさに包まれていました。その中で、津波で破壊されたと思われる家屋の一部が漂っているのを見つけた時は、東日本大震災の衝撃が思い出されてきました。

あの震災とその後まだ収束していない原発事故に突き動かされ、この調査活動に参加している「虹の戦士号」のクルーは多いですが、その中の一人がボートドライバーのトーマス・ヘイキッラ(写真左)です。

フィンランド出身の彼は、普段はとても寡黙で読書をこよなく愛しています。そして、人一倍真面目な人間で、船外の甲板作業はもちろんの事、朝も早くから活動し船内の掃除を率先して丁寧に行っています。

トーマスは、10年前よりボランティアとして様々なグリーンピースの活動に参加したのち船の乗組員として活動しています。

この活動については、「グリーンピースの船で働くことは自分自身にとって信念を持つことであり、とても大きな挑戦です。10か国以上の人が乗船し一緒に活動することによって、様々な文化に対しての理解が深まります。私はこの活動を通じより良い地球環境を実現していきたいと思います。」と言います。

フィンランドは、日本と同じように原子力発電所を保有している国でもあります。この点についてトーマスはこう語っています。

「私たちの国でも、4つの原子力発電所が稼働しており、5つ目の原子力発電所は建設の為工事中です。この工事中の発電所は予算の関係と安全面の理由により予定が大幅に遅れています。これらの環境を脅かす可能性がある技術は日本と同様にフィンランドも厳しい現実に直面しています。しかし、フィンランドでも風力発電の技術を開発している会社がいくつもあります。これらの会社を支援して、私たちの将来の発展の為にも、エネルギー政策を自然エネルギーにシフトすべきだと強く感じます。」

最後にトーマスは今回の東日本震災と福島第一原発の事故をこう振り返っています。

「私が、今回の地震と津波のニュースを聞いたのは虹の戦士号乗船中でした。その時には日本人のクルーも虹の戦士号に乗船しており、この瞬間、私は大切な国・友人たちが傷ついていると深い悲しみに陥りました。私は、原子力発電所の状況を危惧し注視していましたが、懸念は実際に起こってしまいました。これまでも、長く核/原子力の廃絶に繋がる活動を行いたいと思い、いつも全力で勉強し活動してきました。今回の活動も、私の持てる限りの力を振り絞って協力したいと思っています。日本のみなさんが困難な状況に直面しているこの時に私に出来ることは小さなことかもしれません。しかし、この調査活動がみなさんのお役にたてることが出来ればとても光栄に思います。」

 

【写真上】調査活動終了後、放射能チェックを受ける「虹の戦士号」乗組員

【写真下】「虹の戦士号」の上空を飛行する海上保安庁のセスナ機