(写真:福島県内の下校中の中学生たち © Christian Åslund / Greenpeace)

こんにちは、気候変動・エネルギー担当の高田です。

子どもたちを深刻な被ばくから守るために、国会議員にFAXを送ってくださいませんか?

政府の官房参与をしていた小佐古敏荘氏が29日、福島第一原発事故をめぐる政府の対応を批判して辞任しました。
記者会見で小佐古氏は、文部科学省などが、福島県の小学校などの校庭での活動を制限する目安を、1年間の放射線量の累積で20ミリシーベルトとしたことについて、「これだけの被ばくをする人は、全国の原発業務の従事者の中でも極めて少なく、この数値を小学生らに求めるには、学問上の見地や私のヒューマニズムから受け入れがたい」と述べ、批判しました。

官房参与の原子力専門家が辞任 (29日、NHK)
小佐古氏の辞意表明文前文がNHKのブログに掲載されています。

子供たちに深刻な被ばくを強いる政府の方針は、常軌を逸しています(*)が、政府としては基準見直しのつもりはないと言っています。

これに対して、いくつかのNGOが協力してオンライン署名を実施しています(グリーンピースも呼びかけ団体のひとつです)。しかし呼びかけ団体が、全国会議員722名に対して、「20ミリシーベルト撤回」への賛同を呼びかけたのにもかかわらず、現在、賛同を表明した議員は、たったの14名(4月30日14:25現在)です。

子どもの健康を危機にさらすようなこの「20ミリシーベルト」基準を、政府に撤回させるには、私たちの代表として選ばれている国会議員の断固とした行動が必要です。

そこで、みなさまに呼びかけます。

1.オンライン署名に署名いただけませんか(個人でも団体でもOKです。ここをクリック。

2.ぜひ、あなたの地元選出の国会議員の事務所に電話をかけ、FAXを送りませんか。電話で本人と話せなくても、秘書に「20ミリシーベルト撤回要請に、ぜひ賛同署名を」「国会で質問を」と、あなたの声で伝えませんか。国会議員の名簿は、ウィキペディア衆議院のページに。 FAXを送るときのサンプル文は下記に。

いま、福島の子どもたちは非常に危険な状況にさらされています。一刻も早い、この決定の撤回が必要とされています。どうか、ご協力をお願いします。

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★↓↓ 国会議員へ送るファックスの例★

<日付>
<宛先の議員の名前>

私たちの代表として、福島の子どもたちを守ってください!
「学校等の校舎・校庭等の利用判断」=「年20ミリシーベルト」
撤回に向けて、国会議員として声を上げてください


<XXXX県>に居住する有権者の一人としてお願いがあり、ファックスをお送りいたします。

ご承知の通り、4月19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリシーベルトという基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知しました。年20ミリシーベルトは、ドイツやアメリカの原発労働者に適用される最大線量に相当するものです。また、原発労働者が白血病を発症し労災認定を受けている線量に匹敵するそうです。国際的にも、多くの専門家が憂慮の声をあげています。

しかし、多くの非難の声にも関わらず、日本政府は頑強に、この基準を維持しています。
福島の学校では、この基準が出る前には、自主的に、子どもたちを守るための防護を行っていたのですが、この基準のせいで、取り組みを行わなくなってしまっています。マスクさえつけずに、子どもたちが、場所によっては、放射線管理区域(0.6マイクロシーベルト/時以上)の6倍もの線量を計測しているような場所で、遊んでいるのです。

今の世代をいき、次世代の子どもたちを守り育む責任をもつ大人として、私はこの状況を看過することはできません。

あなたは私たちの代表です。ぜひ、福島の子どもたちを守るために、政府に対して、声をあげてください。

「政治主導」を唱えるならば、今こそ、それが発揮されるべきときではないでしょうか。

別添は、いくつかの市民団体が政府に対して出そうとしている緊急要請です。ぜひ、この要請書に連名をしてください。あるいは、国会でこの問題を質問してください。

よろしくお願いします。

<あなたのお名前>
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★↓↓ 国会議員へ送るファックスに添付する「NGO緊急要請文」★

 
中間提出:2011年4月27日
最終提出は5月2日予定

【緊急声明と要請】子どもに「年20ミリシーベルト」を強要する日本政府の非人道的な決定に抗議し、撤回を要求する

4月19日、文部科学省は、学校等の校舎・校庭等の利用判断における放射線量の目安として、年20ミリシーベルトという基準を、福島県教育委員会や関係機関に通知した。この年20ミリシーベルトは、屋外で3.8マイクロシーベルト/時に相当すると政府は示している。
3.8マイクロシーベルト/時は、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当する線量を子どもに強要する、きわめて非人道的な決定であり、私たちは強くこれに抗議する。

年20ミリシーベルトは、原発労働者が白血病を発症し労災認定を受けている線量に匹敵する。また、ドイツの原発労働者に適用される最大線量に相当する。
さらにこの基準は、大人よりはるかに高い子どもの感受性を考慮にいれておらず、また、内部被曝を考慮していない。
現在、福島県によって県内の小・中学校等において実施された放射線モニタリングによれば、「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)に相当する学校が75%以上存在する。さらに「個別被ばく管理区域」(2.3マイクロシーベルト/時以上)に相当する学校が約20%も存在し、きわめて危険な状況にある。

今回、日本政府が示した数値は、この危険な状況を子どもに強要するとともに、子どもの被曝量をおさえようという学校側の自主的な防護措置を妨げることにもなる。
文科省は、20ミリシーベルトは、国際放射線防護委員会(ICRP)勧告Pub.109およびICRP3月21日付声明の「非常事態収束後」の基準、参考レベルの1-20ミリシーベルトに基づくとしているが、その上限を採用することとなる。
21日現在、日本政府からは、本基準の決定プロセスに関しては、何一つ具体的な情報が開示されていない。また、子どもの感受性や内部被曝が考慮されなかった理由も説明されていない。文科省、原子力安全委員会において、どのような協議が行われたのかは不明であり、極めてあいまいな状況にある(注)。

私たちは、日本政府に対して、下記を要求する。
・    子どもに対する「年20ミリシーベルト」という基準を撤回すること
・    子どもに対する「20ミリシーベルト」という基準で安全とした専門家の氏名を公表すること

(注)4月21日の政府交渉で、原子力安全委員会は正式な会議を開かずに、子どもに年20ミリシーベルトを適用することを「差支えなし」としたことが明らかになった。また、4月22日、5人の原子力安全委員の意見とりまとめについて議事録は無かったと、福島瑞穂議員事務所に回答している。

(参考)
4月21日付ドイツシュピーゲル誌の20ミリシーベルト設定に関する記事(「文部科学省、子どもたちに対してドイツの原発労働者と同様の被曝限度基準を設定」)より、専門家のコメント
エドムント・レンクフェルダー(オットーハーグ放射線研究所)
「明らかにがん発症の確率が高まる。基準設定により政府は法的には責任を逃れるが、道徳的には全くそうではない。」

国会議員の方で、この「NGO緊急声明」に連名いただける場合は、下記までご連絡ください。
国際環境NGO FoE Japan 
Tel: 03-6907-7217  Fax.03-6907-7219
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★★ ↑↑ ここまで、国会議員に送るファックスの例★★

☆☆ ↓↓ 以下、ブログ本文の注釈☆☆

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(*ブログ本文の注釈)
年間20ミリシーベルトは、屋外で3.8マイクロシーベルト/時に相当するとしていますが、これは、労働基準法で18歳未満の作業を禁止している「放射線管理区域」(0.6マイクロシーベルト/時以上)の約6倍に相当。

基準が甘いと批判がある国際放射線防護委員会(ICRP)においても、すべての放射線被曝はできるかぎり低く抑えられるべきであり、一般人については自然放射線と医療措置によるものを含めても年間1mSvを超過すべきではない、とは勧告している。また原子力産業で働く労働者については5年間の平均線量として年間最大20mSvまでとし、かつ年間50mSvを超える年があってはならない、としている。

ノーベル賞も受賞した国際的な医師の団体Physicians for Social Responsibility(本部:ワシントン)は会見を開き、20ミリシーベルトという基準を日本政府が採用したことに憂慮を表明、許容される被曝量の基準を引き下げるように要請した。

ドイツのオットーハーグ放射線研究所のエドムント・レンクフェルダー氏は「明らかにがん発症の確率が高まる。基準設定により政府は法的には責任を逃れるが、道徳的には全くそうではない」とコメントしている(4月21日付ドイツシュピーゲル誌)。

さらに、豪メルボルン大准教授 ティルマン・ラフ氏は、広く認められた科学的知見として健康への放射線のリスクは線量に比例することを指摘した上で、「親として、また医師として、福島の子供たちに、このような有害なレベルの放射線被ばくをさせることを許す決定は、われわれの子供と将来の世代を守る責任の放棄であり、受け入れられない」としている(共同通信4月26日付)
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