グリーンピース・ジャパン 事務局長 佐藤潤一です。

いよいよ2011年。

2011年の環境問題を取り巻く状況を

漢字一文字で表現するならば「争」の年でしょうか。

 

これまでも、資源戦争という言葉がさまざまなところで使われてきましたが、

世界で資源をめぐる紛争がより顕著、かつ現実になってくるのが今年でしょう。

 

北極海における海底資源争い。

マグロに象徴される漁業資源争い。

レアアースなどの鉱物資源争い。

異常気象を引き金に起こる農産物、水源地争い。

 

これらのニュースを聞いているとあたかも資源争いは

国家間、企業間の争いに思えてきます。

 

しかし、資源をめぐる争いは、このような「地域間の争い」ではなく、

本来は、現世代と未来世代の「世代間の争い」であることを忘れてはいけません。

 

1992年、ブラジルで開催されたリオサミットで、

世界が未来世代のために持続可能な社会を形成しようと確認したのは、

大きな意味がありました。

 

来年はこのリオサミットから20年。

残念ながら、経済環境の著しい変化に伴い

国や企業は、当時よりも未来を考える余裕をなくしています。

 

この状況に方向転換を迫れるのは、

経済的な価値を越えて50年、100年先を考えられる私たち市民の声です。

 

このような状況だからこそ、グリーンピースは、この国家間、企業間の争いに堂々と割り込んで未来の利益のために主張していくつもりです。

 

考えてみれば、1980年代に南極大陸が資源開発競争に巻き込まれそうになったとき、

サポーターから寄付を集めて船で南極へわたり、

資源開発に使われる滑走路に居座り、

5年間にわたり観測基地を設営し

そこをワールドパーク(保護区)にすることを

提案したのもグリーンピースでした。

 

当時、馬鹿げていると思われた提案も今では現実となって実行されています。

 

資源を求めて国家や企業がせめぎ合う紛争地・紛争海域だからこそ、

それらを保護区として未来に残していくことが必要です。

 

最後に、グリーンピースの2010年の活動をビデオでご紹介します。

これらは、世界中のグリーンピース・スタッフだけではなく、

多くのボランティア、サポーターさんの「未来」のための意思表示です。


資源が「どの国に属するのか」という争いではなく、

「未来に属するもの」であるという活動に

皆さんにもぜひ参加していただけたら幸いです。

 

今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

グリーンピース・ジャパン

事務局長 佐藤潤一