こんにちは、海洋生態系担当の花岡和佳男です。

 

海から魚が消えれば、和食からも魚が消える

昨年は、獲りすぎによりいま海に残るクロマグロが初期資源の約4%しかないことや、日本で流通されるウナギの99%が絶滅危惧種に指定されていることが、広く報道されましたね。

問題はこれにとどまりません。マグロやウナギだけでなくアジサバイワシ等の大衆魚も資源量は減っていて、世界の海でも日本の周りの海でも「もっと獲っても大丈夫」な魚資源は、全体のわずか13%しか残っていないと報告されています。

マグロやウナギ等を取り巻く生態系だけでなく、寿司に中心にマグロがあることも、土用の丑の日にウナギを食べる日本独自の習慣も、脅かされているのですね。このままではユネスコ世界無形遺産登録されたばかりの「和食」からも魚介類が消え、「和食」が本当の遺産になってしまいかねません。

 

子どもたちの海と食卓に豊かな生態系と魚を残す!

 いま日本の食卓に並ぶ魚介類の約70%はスーパーマーケットを経由しています。スーパーの大量生産・大量消費型ビジネスが流通の主流となるに連れ、見る見るうちに様々な魚の資源量が激減してきました。

子どもたちの海と食卓に豊かな生態系と魚を残すため、私たちグリーンピースの「SUSTAINABLE SEAFOOD PROJECT」は、業界を代表する大手スーパーマーケット5社(イオン、イトーヨーカドー、ユニー、ダイエー、西友)に対して、食品放射能汚染問題への対応強化と共に、絶滅危惧種や乱獲された魚を取り扱わないよう、その代わりに十分に資源管理された魚を積極的に取り扱うよう、交渉を続けています。

 

最初は消極的だった大手スーパー…

もちろん、過剰漁業の問題意識がないスーパーマーケットにとっては、私たちの交渉内容は面倒くさい話です。当初は、私たちと面会してある程度実りある話をするのはほんの数社。大多数は、こちらからの再三にわたる面談の呼びかけに頑なに応じなかったり、面会しても表面的なことばかり言って上手く私たちをあしらおうとする企業ばかりでした。

そこで私たちは、交渉を充実させスーパーの動きに加速をつけるため、2013年中にこのような活動を行いました:

  • 年の始めと終わりに、持続可能性や環境負荷を考慮した魚介類の調達に関して、各社がどのような考えや活動をしているかを調べ、ランキングの形で発表しました。【ランキング2詳しくはこちら】【ランキング3詳しくはこちら
  • 年始に公開したランキングで最下位となったイトーヨーカドーに対して、取り組み強化を求めるオンライン・キャンペーンを行いました。【詳しくはこちら
  • 土用の丑の日のタイミングで、各社店舗で販売されているウナギ商品を購入しDNAテストを行って、会社側が販売商品の一部において、種を把握しないまま消費者に販売していたことを明らかにしました。【詳しくはこちら
  • クロマグロの乱獲についてまとめて発表しました。海で産卵する前の未成魚を大量に漁獲したら、海に魚は増えず、減る一方なのは当たり前ですよね。【詳しくはこちら
  • 安全性や持続性が確保された魚介類の販売をスーパーに求める約8000件の「消費者の声」を集め、各社及び業界団体に届けました。【詳しくはこちら
  • どれが乱獲されていてどれが今食べても次の世代に残せるのか、スーパーの店舗では手に入らない情報をサクッと検索できる便利アプリ「グリーンお買い物ガイドお魚編」をリリースしました。【詳しくはこちら

 

ティッピング・ポイント1:スーパーマーケット・ランキング

 スーパーマーケット・ランキングをベースとした活動や交渉は、各社が互いにプレッシャーを与え合う構図を作り出し、ランキングを更新するたびに業界トップ5社全体がボトムアップする形づくりに成功しています。ランキングはこれまで3回実施しましたが、最下位になったスーパーは次回のランキングで上位になる傾向が続いています。各社とも「最下位になりたくない」という考えの基、少しずつではありますが取り組みを強化するのです。

 

ティッピング・ポイント2:たくさんの「消費者の声」

 

 スーパー各社は、店舗に「お客様の声」投函箱を設置していることからも見られる通り、今後どのような商品やサービスを消費者に提供すればビジネスになるかを知りたくて、消費者が何を求めているかの情報を集めています。一通の「消費者の声」の裏に10~100件の需要があると捉えるそうです。今回、多くの「消費者の声」が集まったことで、各社は持続可能性や環境負荷を考慮した魚介類の調達に少しずつ注力するようになりました。

 

ティッピング・ポイント3:継続的な直接交渉

 

様々な活動を続けながら各社と交渉をしていくと、次第に、スーパーマーケットの魚介類調達担当者は魚の持続可能性や環境負荷について考え始め、広報やCSR担当者はブランドイメージを気にし始め、店長やリージョナルマネージャーは消費者の需要に気づき始めてきました。「過剰漁業の問題なんて知らなかった。グリーンピースさんの働きかけで問題に気づき、いま猛勉強している」「このままでは自分たちが売るものがなくなってしまう、自分で自分の首を絞めている」「ランキングで最下位はキツイ。今のままでは自社のブランドイメージが低下してしまう」と考えるスーパーマーケットが増えてきました。さらに、私たちが対象とする5社以外の中堅スーパーからも「このままではうちもまずい。グリーンピースが来る前に考え始めなくてはいけない」という声が聞こえるようになってきました。

 

2013年、大手スーパーマーケットの魚の取り扱いはこう変わった!

魚を食べ続けたい、次世代にも残したいと願う多くの方々と共に行った活動や交渉の結果、各社は2013年内に以下のような取り組みを始めました。

   
イオン、イトーヨーカドー、ユニー、ダイエー、西友 絶滅危惧種ヨーロッパウナギの取り扱いを中止(西友は当初からワシントン条約該当種を取扱わない方針があるためヨーロッパウナギの取り扱いは無い)。【詳しくはこちら
イオン、ダイエー メジマグロ(過剰漁獲されているクロマグロの未成魚)の取り扱いを中止。【詳しくはこちら
西友 種の特定ができて流通経路を追跡できる魚介類を原料とした商品のみを取扱うと約束。【詳しくはこちら
複数のスーパー グリーンピースと積極的に意見交換を行い、持続可能性や環境負荷に考慮した魚介類の調達方針の策定に着手。

 

2014年、消費者の力でスーパーが変わる!

私たちが囲む食卓に並ぶ魚の約70%を販売するスーパーマーケットが、持続可能性や環境負荷を考えた魚介類調達を行ってくれたら、とても安心ですね。私たちグリーンピースの「SUSTAINABLE SEAFOOD PROJECT」は、子どもたちの海と食卓に豊かな生態系と魚を残すことを目標に、これからもスーパーマーケット業界のキープレイヤーに対して、食品放射能汚染問題への対応強化と共に、絶滅危惧種や乱獲された魚を取り扱わないよう、その代わりに十分に資源管理された魚を積極的に取り扱うよう求め、様々な活動や交渉を続けていきます。

実際にスーパーを変えるのは、魚を食べ続けたい、次世代にも残したいと願う多くの方々の力です!

  • みなさんが普段使うスーパーや変わってほしいスーパーに、需要を伝えてください。グリーンピースは大手スーパーや業界団体に「安全で持続可能な魚を売ってほしい」という「消費者の声」を届けるプロジェクトを行っています。ぜひこちらからオンライン署名に参加してください
  • 価格や鮮度だけでなく、「絶滅危惧種や乱獲された魚は買わない」「きちんと資源管理された魚を買う」等の項目を、ご自身の魚の選択基準に加えてください。スーパーで魚を選ぶときに悩んだら、日本初の、持続可能性や環境負荷を考慮したお魚選びができる「グリーンお買い物ガイドお魚編」を使ってください。ダウンロードはこちらから

スーパーマーケット・ランキングの続編は、2014年末に作成・発表する予定です。この1年間で各社は消費者の声にどのように応え、どのような取り組み強化をしてくるでしょうか、みなさん、ご注目ください!