みなさんこんにちは、食と農業担当の関根です。

ミツバチへのリスクが高い、という理由で各国で規制が導入されてきたネオニコチノイド系農薬。

これまでに世界中でたくさんの研究が行われ、養蜂用のミツバチだけでなくの野生の生き物や、環境への悪影響など新たな事実が次々とわかってきました。

 グリーンピースでは6月21日、イギリスのサセックス大学の専門家に委託して、2013年以降に出された世界の科学的知見をまとめたレポート「ネオニコチノイド系農薬の環境リスク:2013年以降明らかになった証拠のレビュー」の日本語版を発表しました [*1]。このレポートをまとめたサセックス大学のゴールソン博士(生物学教授、マルハナバチの生態学が専門)は、

「ネオニコチノイドが野生ハチの減少に寄与し、ミツバチの健康問題を悪化させるリスクは従来の認識よりも大きいことがわかった。さらに、ハチ以外にもチョウ、鳥、水生昆虫の減少につながる可能性がある。」

と指摘しています。

浮き彫りになってきた広範囲の影響。その中から特に大事なポイントをご紹介します。

 

 

まいた農薬の95%は環境へ流出してしまう

散布したネオニコ系農薬のうち作物などに吸収される割合はたった5%。残りは環境に蓄積したり拡散したりします。ネオニコチノイド系農薬の残留性は高く、数年から、条件によっては十年以上に及ぶものもあり、周辺環境にも水を通じて慢性的な汚染を広げていくおそれがあります。

ネオニコ系農薬をかけた農作物以外の野生の植物にも汚染がひろがっていて、その花粉や花蜜、葉にもネオニコチノイド系農薬が確認されています。これによって、葉っぱを食べる非標的昆虫(農薬で殺す対象にしていない昆虫など)や、野生のハチその他、花粉を運ぶ生き物たちもネオニコを摂取してしまう可能性があります。 

 

農薬をうけたハチは死ななくても、病気になりやすい

ネオニコ系農薬に触れてすぐに死ぬことはなくても、農薬によってハチが弱ってしまい、巣を維持できなくなることが以前よりもはっきりしてきました。はたらきバチの動きが悪くなって貯める蜜の量が減る、免疫が弱くなって病気や寄生虫の蔓延が深刻になる、女王バチの生まれる率が減る、など巣の中全体が病んだ状態になってしまうのです。

 

水中でくらす虫たちへの影響が充分考慮できていない

水中で生息する昆虫たちは、農薬の毒性評価試験に使われる生物と比べて、ネオニコチノイド系農薬に対して弱い場合が多いということも明らかになりました。(だから、試験結果に基づいて「安全」とみなされるレベルでも影響が出るおそれがある)

チョウや鳥も減ってしまう

ネオニコチノイドの使用と、チョウや、甲虫類および食虫性鳥類の個体群指標との間に負の相互関係(使用が増えると指標生物が減るという関係)が示唆されました。食物連鎖の上位の生物に影響が波及するおそれがあり、汚染された害虫を天敵が食べ、天敵の数が減るケースもあります。

 

 

EUは近く、ネオニコ系農薬3種を全面禁止へ

2013年にネオニコ系農薬3種(イミダクロプリド、クロチアニジン、チアメトキサム)とフィプロニルの部分的な使用禁止を決めたEUでは、今年の3月にネオニコ系農薬3種の全面禁止が提案されました。全面禁止するかどうか、今年の10月にも採決が予定されています。

上記のゴールソン博士は「このように広範な環境被害の証拠を目の当たりにすれば、EUも規制の範囲を拡大することが賢明といえるだろう」と言っています。

禁止に踏み切れない、日本

日本でも、農薬が環境にあたえる悪影響を防ぐために、魚や動物、植物に対して著しい被害のおそれがある農薬に対しては、使用(登録)を許可しないというしくみがあります。「著しい被害」に該当するかどうかを判断するのが「農薬登録保留基準」という基準なのですが、この農薬が「著しい被害」の原因となる科学的根拠を示さなければならず、条件が厳しいので、いままで使用(登録)不可になった農薬はないそうです。さらに、魚や水草など「水産動植物」ではない野生の草花や花粉を運ぶ生き虫や鳥を汚染や悪影響から守る基準はありません。こうした問題について、今日、環境省にレポートと一緒に要望書を提出してきました[*2]。

 

[写真:今月訪れた、ネオニコ系農薬を使わない「生きもの元気米」の田んぼ。石川県 河北潟] 

今、あなたにできることがあります!

〈1〉小売店にあなたの声を届ける

たとえば、小売店が「ネオニコチノイド系農薬を使わないお米を取り扱います」とか、「農薬にたよらない有機農産物をもっと売ります」といった方針を示すことは、有機農家やネオニコチノイド系農薬を使わない農家を応援したり、増やしたりすることにつながります。

このバナーをクリックして、スーパーに、国産オーガニックの野菜やの常設コーナーをつくるように伝える署名に参加してください。

「国産オーガニックを全国に!」いますぐ署名する >

〈2〉環境省に、新たなネオニコ系農薬を許可しないで、というパブコメを送る

いま、新規のネオニコチノイド系農薬のスルホキサフロルについて、こんどは環境省がパブリックコメントの募集がはじまりました。上記の、水産動植物の被害防止のための、「農薬登録保留基準」の案に対する意見をもとめています。

パブコメ募集のページはこちらです(←リンク先ページの下の方に案と解説資料があります)。

残留性が強く、水に溶けて拡散するネオニコ系農薬の生態系への深刻なリスクはわかってきたばかり。水性動植物以外の野生の生物への被害を防ぐしくみもありません。いま拙速に新たなネオニコ系農薬を導入しないよう、あなたも意見を伝えませんか?

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1:レポート「ネオニコチノイド系農薬の環境リスク:2013年以降明らかになった証拠のレビュー」のリンク。2017年1月に英語版発表、6月21日に日本語版を発表しました。

http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20170621NeonicoReport.pdf

*2:環境省への要望書のリンク

http://www.greenpeace.org/japan/Global/japan/pdf/20170621_DemandLetter.pdf

 

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