こんにちは。エネルギー担当の柏木です。

ここのところ、日本全国で自然エネルギーに取り組む市民グループの方にお会いする機会が多くあります。その特徴はみなさん、「とにかく元気」なこと。これまで、大手の電力会社に頼っていた電気の発電を、自分たちの手で行うということは、文字通り「パワー」を自らの手に取り戻すこと。だから、楽しいし、元気が出る。そういうことなのかな、と思っています。

東電福島原発事故後の太陽光発電の成長は、目を見張るものがあります。その速度は、グリーンピースの予測よりもはるかに上をいくものでした。

実際に、わたしも工場の跡地を利用したメガソーラー発電所(なんと22,000世帯分の電力を供給!)を取材して、その大きさに圧倒されてきました。

今日は、REN21*という国際団体が発表した最新のレポートから、2015年のグローバルな自然エネルギーの成長についてご紹介します。

*自然エネルギー政策等について幅広い関係者をつなぐ国際ネットワーク

世界的に見ても、2015 年は自然エネルギーの新規導入量で記録的な年となりました。自然エネルギーの発電設備容量は、過去最大の147ギガワット(GW)も増えています!(原発1基を1GWなので、147基と同じ容量)

自然エネルギーがこれだけ増えてきた理由は、世界各国で化石燃料をつかった発電と同じか、より安く発電できるようになってきているからです。

クリスティン・リンREN21 事務局長は、こう語っています。

「もっとも注目すべき点は、化石燃料の価格が歴史的に低かった時期にもかかわらず、こうした成果が達成されたことです。しかも政府の補助金が、自然エネルギー促進への支援 1 ドルに対して、化石燃料に約 4 ドル使われており、自然エネルギーは大いに不利な状況にも関わらずです」

世界の電気の24%が自然エネルギー

まず、電気全体を見てみると、世界の発電のうち、すでに23.7%が自然エネルギーから発電されています。(↑の図の黄色いところです)

すでに4分の1が、自然エネルギーから発電されているんですね。

着々と伸びる太陽光、日本の成長は世界2位

2015年の新規追加容量は50GWで、過去最大。下のグラフは、太陽光発電の伸びをしめしています。濃いオレンジ色となっているのが、その年に追加された設備容量です。うなぎのぼりで伸びているのが見ただけでわかりますね。

新しい太陽光発電のトップ10の国を見てみると(下の図)、日本の追加量(濃いオレンジ)は11GWと中国についで世界第2位となっています。黄色の部分をあわせたトータルの設備容量でも、日本は世界で3位です。

風力の伸びも過去最大に

風力発電も、世界中で毎年増加を続けており、2015年の追加の設備容量は63GWと過去最大になっています。

世界では自然エネルギーの成長の立役者となっている風力発電ですが、残念ながら、日本は風力発電を建設する際の環境アセスメントが厳しく、開発に時間がかかるため、風力発電はあまり伸びていません。

自然エネルギー = ビジネスチャンス!

2015 年は新規導入量に加えて、投資でも記録的な年となりました。世界全体で自然エネルギーに 2860 億ドル(約 31 兆円)!が投資されています。

投資の拡大は、ビジネスの拡大を意味しています。技術も発展しますし、雇用も増えていきます。その結果、自然エネルギー分野は世界中で810 万人の雇用を生み出しました。 これは、エネルギー分野全般の労働市場が落ち込んでいる状況と対照的です。

下記の図では、自然エネルギー源ごとの雇用の数を示しています。一番多いのは、黄色く示されている太陽光発電や太陽熱に関する雇用です。

あなたも、「エネレボ」の一員に!

自然エネルギーへの転換は、世界中で次々に起こっています。

政府が自然エネルギーを推進するだけではなく、世界各地の都市や地域コミュニティが、自然エネルギーに力を入れたり、企業が100%自然エネルギーで電気をまかなうようになったりして、実際に自然エネルギーを増やす行動を起こしていることが、エネルギーレボリューション(エネレボ)を強力に進めています。

実は、電力会社の乗り換え(スイッチ)もその一歩。電気代が、原発の再稼働に使われないように、原発を持つ電力会社から、クリーンなエネルギーを供給している・しようとしている電力会社に乗り換えませんか?

iSwitchに参加して、「電力会社クリーン乗り換えガイド」をぜひ参考にしてみてください!よくある質問をまとめたQ&Aも好評です。

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グリーンピースが発表した『自然エネルギー革命シナリオ』では、電気だけではなく、熱(おうちの空調など)や交通(ほとんどの車、トラックは石油をつかっています)も含めて、2050年までにすべてのエネルギーは自然エネルギー100%でまかなえる道筋を示しています。詳しくはこちらを!

(『自然エネルギー革命シナリオ』要約版の翻訳にはボランティアさんの多大なご協力をいただきました。ご協力ほんとうにどうもありがとうございます!)

【参考ウェブサイト】
REN21 プレスリリース

REN21 『自然エネルギー世界白書』フルレポート


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