海洋生態系問題担当の花岡です。

グリーンピースが海洋調査の結果を発表し、放射能汚染が海面だけでなく海底にも広がっていることや、特に海藻から大量の放射性物質が検出されたことを示してから、1週間が過ぎました。この間、海への放射能汚染の問題を深刻視した複数のメディアが、私たちの調査結果や、サンプリングの際に受け取った地域の漁師さん方の切実な願いを紹介。また私たちの調査結果発表の翌日には文部科学省が、気仙沼沖から銚子沖まで約300キロにわたる海底の土から、最高で通常の数百倍にあたる濃度の放射性物質を検出したと発表し、「海産物に影響が及ぶ恐れがある」と警告しました。

そして私たちの調査結果発表から1週間が過ぎた6月1日、ついに、水産庁による海洋調査の強化が発表されました。ヨウ素とセシウムに加えストロンチウムの検査を新たに始めることと、海藻の検査を強化するとが、今回の強化の柱とのことです。

私たちはこれまで水産庁に対して、地域の水産業や消費者を海の放射能汚染から守るためのリーダーシップの発揮を求めてきました。今回の調査の強化が具体的にどのようなものであるかはまだ見えてきませんが、これまで「自治体の調査結果をまとめて発表しているだけ」と言っていた水産庁が、ようやく調査の主導に乗り出したことに、ひとつ前進を感じます。調査の目的は真実を隠すことではなく、水産関係者や消費者の安全性を確保することや、漁業再開の目途を立たせることであるべきことを常に意識して、調査の強化を行ってほしいです。

もちろん、これではまだまだ不十分。調査結果の発表と同時に私たちが政府へ要請したことは、海洋調査の強化と並行して、安全性が保障されるまでの海産物の流通や販売の一時中止と、水産関係者への損害賠償のセットです。これからも東京電力と政府に、実際に海に出ることで生計を成り立たせている漁師さん方の声をしっかり受け止めること、そして消費者の不安を解消すべく情報の公開と安全性の確保に注力することを、求めていきます。

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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