日本政府は9月5日、茨城県日立市沖で採取されたエゾイソアイナメという海底にすむ魚から、国の暫定基準値を超える放射性セシウムが検出されたと発表しました。

福島第一原子力発電所から南におよそ100キロも離れた海で獲れた魚から国の暫定基準値を上回る放射性物質が確認されたことは、震災以降初めてのこと。また、茨城県沖の海底に棲む魚から国の暫定基準値を上回る放射性物質が確認されたことも、初めてのことです。

茨城県では、本来ならば9月から主要漁業である底引き網漁が解禁となります。しかし同県の漁業関係者は「あの事故以来、ここで獲れる魚は去年の半値以下しか値がつかない。採算が合わず漁に出られない船もたくさんある」「せっかく底引き網漁が解禁となっても、これじゃあ魚はますます売れないだろう……」と脱力した声。わずか半月前には隣の福島県で、政府がスクリーニングの不十分さを認める形で、沿岸漁業の試験操業の再開が直前になって延期されています。地域の漁業関係者は、「またか…この5か月間ずっと振り回されっぱなしだ」「俺たちの漁業を潰す気か、いい加減にしてくれ」などと怒りを表していました。

漁業が実質的に禁止されている福島県と違い、茨城県で漁獲された魚は広く流通されています。もちろん汚染海域は福島県沖や今回の茨城県日立沖だけでなく、広くあるいは局所的に点在していることが考えられます。政府が十分なスクリーニングを行っていない現状は、安全な魚も危険なものも分別されず混合している、消費者にとってはいわば確率すらわからないギャンブル状態。さらに政府も小売も消費者に十分な情報提供をしてくれていないのですから、これではスーパーに並ぶ魚介類に、消費者もなかなか手を伸ばしづらいですよね。

早く美味しいおさかなを安心して食べられるように、子供や孫にも食べさせられるように、そして地域の漁業復興を支えるためにも、皆さん、これからも一層「おさかなツイートプロジェクト」で、モニタリングの強化と消費者への情報提供の必要性を訴えてください。

またいつも行くスーパーに対しても、魚介類の自主検査の実施、汚染度に関する情報と漁獲海域の公開を求める「お客様の声」を届けてください

  • 「暫定基準値以下だから安全とは言い切れない。0ベクレル/kgか499ベクレル/kgかでは意味合いが全然違う。実際のベクレル値を商品のラベルに表示してほしい」
  • 「さかなロンダリングが行われている可能性があり、今の産地表示では魚を選ぶ基準にできない。水揚げ港ではなく、実際に魚が取れた海域を消費者に情報提供してほしい」
  • 「魚介類商品においてもぜひ自社検査をしてほしい」

スーパーは消費者からの要望を把握することで、売れる商品を開発することができます。実際、大手スーパーや飲食店は、消費者の声に耳を傾け、遅い政府対応にしびれを切らすように、牛肉、野菜、米などの自主検査を始めています。要望をきちんと届けることは、いまと未来の食卓と漁業と海をまもるだけでなく、お気に入りのスーパーの成長を応援することにもつながります。

次にお買い物に行くときに、ぜひ「お客様の声」を届けてください。

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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