こんにちは、海洋生態系問題を担当しています、花岡和佳男です。
市民が挙げた声が政府に1つ届きました!
水産庁が、ようやく東日本沖の太平洋側で獲られる魚介類商品のラベル上の産地表示について、「水揚げ港」ではなく「漁獲海域」の表示を徹底するよう求める通知を出しました (水産庁発表・読売新聞・朝日新聞・日経新聞)。
これまで鮮魚商品の表示は、実際の漁獲海域の表示が困難な場合、水揚げ港や曖昧な海域(「太平洋」など)の表示でも良しとされていました。これでは、たとえば汚染海域で魚を獲った漁船が西日本や日本海側の漁港に水揚げをした場合、その魚の表示ラベルにはその漁港や漁港のある県の名前が記載されることとなり、その魚が実際にどこの海域を泳いでいた魚かを購入現場で見分けることができません。つまり、消費者にとっては、選択購入をすることが現実不可能な状態が続いていたのです。
今回の水産庁による通知は、放射能汚染された魚が産地偽装を経て広く流通される可能性を減少させるもので、消費者にとっては良い方向に進んだことになります。。
同時に講演会やツイッター企画などを通じ、子どもや家族の健康を心配する多くの消費者と共に、政府や大手スーパーに対して安心を求める声を届けてきました。
グリーンピースは今回の水産庁の方針を、市民の声に応えた大きな第一歩だとして、歓迎します。
もちろん、まだまだ問題点は山積みです。
- そもそもこの通知には強制力がないため、産地偽装をしても罰則がありません。
- この通知は本来、東日本沖の太平洋側だけでなく、日本で消費する全ての魚介類に適応させるべきものです。
- 地域の漁業復興を支援し消費者の安全を確保するためには、今回の産地表示の徹底に加え、魚介類のスクリーニングの強化と、その分析結果の詳細を消費者に伝える体制作りとセットで行うことが欠かせません。
- 国の安全基準である暫定規制値についても、震災から7か月が過ぎようとしている今、暫定ではない基準の策定も急がれます。
- 消費者に一番身近な大手スーパーも、より消費者側に立ち、積極的にこの問題に取り組むべきです。
グリーンピースはこれからも、多くの消費者と共にこの問題に取り組んでいきます。