こんにちは、エネルギー担当の関根です。

いま、政府は、電力会社が原子力事業者防災業務計画をつくったり修正したりするときに、意見を聞くべき対象の自治体の範囲をどう変えるか(広げるか)、についてパブリックコメントを募集しています。締切は8月12日です。

もともとの、電力会社が協議するべき相手の範囲は、
a.原発の立地県、
b.原発の立地市町村、
c.立地市町村に接する自治体を含む府県
が対象でした。

これは緊急時計画区域が10㎞だったのを自治体に当てはめた範囲だったようですが、福島原発事故をうけて、これを30㎞に広げる(名前は緊急防護計画範囲)ことになったので、それに合わせて対象とする自治体も変える(多少広げる)という案について、今回パブリックコメントが募集されています。

エネルギー選択肢のパブコメの陰に隠れていますが、こちらも、次のような理由で重要だとグリーンピースは考えています。

1) この法律はSPEEDIの大元の根拠になる法律なので、シミュレーションの提供範囲にも間接的に影響がある

2) この法律と、安全協定や「地元」の範囲とは、直接関係ないと電力会社はいうけれど、この施行令で自治体との協議の範囲が広がれば、安全協定や地元同意の範囲も広げるべきという説得力が増す

グリーンピースでもパブコメをだしました。要点は:  

  • 30㎞でなく50kmを最低とし、さらにSPEEDIやWSPEEDIの試算によって放射性物質の拡散する範囲を協議対象とすること
  • 上記の範囲に入っていれば、原子力防災計画をつくっていなくても協議対象とすること

です。全文はこのページの下の方を見てください。

原発、エネルギーについては、政府に言いたいことがあって大変、というこの頃ですが、みなさまも是非パブコメをだしてください。

募集の詳細は以下です。

http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060120713&Mode=0

 

 

 原子力災害対策特別措置法施行令の一部改正案についてのグリーンピース・ジャパンの意見

 

意見1.

(該当箇所)

①  実用発電用原子炉(※1)を設置する原子力事業所から30kmの区域の全部又は一部をその区域に含むこと」について

(意見内容)

(1)     区域の範囲は、30㎞では不十分であり、①は「実用発電用原子炉(※1)を設置する原子力事業所から最低50kmとの区域の全部又は一部をその区域に含むこと」すべきである。

(2)     ①を区域の範囲を最低50kmとした上でさらに、「過酷事故が発生した場合を想定したSPEEDI/WSPEEDIによる試算を、し、その影響範囲の全部または一部をその地域に含むこと」とする項目を追加すべきである。

(理由)

(1)この改正の根拠とされている「原子力発電所に係る防災対策を重点的に充実すべき地域に関する考え方」(「原子力施設等の防災対策について」の見直しに関する考え方について中間とりまとめ)では、「UPZ の外においても、事故発生時の初期段階では放出された放射性核種のうちプルーム通過時の放射性ヨウ素の吸入等による甲状腺被ばくの影響が想定される。」「東京電力福島第一原子力発電所の事故においては、プルームの放射性ヨウ素の吸入による甲状腺等価線量は、IAEA の安定ヨウ素剤予防服用の新たな判断基準を用いると、その範囲が原子力施設から概ね50㎞に及んだ可能性がある」と記されている。また、東京電力福島第一発電所事故により計画的避難区域となった飯舘村も50km圏である。よって、30㎞では不十分であり、最低50kmの区域の全部又は一部をその区域に含むこと」とすべきである。

(2) 東京電力福島第一発電所事故では、被害は同心円に広がるわけではないことが確認された。よって、50km圏内を最低としたうえで、緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)またはWSPEEDIでシミュレーションを実施し、より地勢や気象に即した放射性物質の拡散範囲を把握し、その拡散範囲に一部または全部を含む都道府県も協議の対象に含めるべきである。

 

意見2.

(該当箇所)

都道府県が以下の二つの要件の両方に該当すること。

(意見内容)

   「都道府県が以下の要件のいずれかに該当すること。」  とすべきである。

(理由)

(1) 現在、国の防災対策指針も見直しの途中である

(2) 50㎞圏内およびSPEEDI/WSPEEDIの試算による放射性物質の拡散範囲に含まれる範囲を含む都道府県であれば、原子力防災計画がすでに策定されていなくても防災の当事者であることには変わりがない

以上の理由から、いずれかの要件を満たした都道府県を協議の対象に含めるべきである。