こんにちは、海洋生態問題担当の花岡和佳男です。

みなさん、いつも食卓で食べるお魚、どこで購入していますか?

日本では食卓で消費する魚の約70%がスーパーマーケットで売られていますが、依然として店舗では放射能汚染された魚や、「獲りすぎ」により海から姿を消していっている魚が、広く売られています。いったいスーパー各社は、消費者に販売する魚介類商品をどのような基準をもとに調達しているのでしょうか。きちんとした調達基準を持ち、安全性や持続可能性を追求し、消費者の声に耳を傾けているお店で買い物をしたいですよね。

そこでこのたびグリーンピースは、国内5大スーパーマーケットの魚介類の調達方針についてアンケート調査を行い、その結果を「お魚スーパーマーケットランキング2」として発表しました。その結果は……

魚商品の安全性や持続可能性を追求し、消費者の声に最も耳を傾けているスーパーは?

  • 第1位は、前回のランキングに引き続き、国内業界最大手のイオン。イオンは大手スーパーで唯一、グリーンピースとの対話を通じて消費者の声に応え「放射能ゼロ目標宣言」を発表しています。また持続可能性については「持続可能性が担保された魚介類を優先的に仕入れる」と公言しており、「国の基準に基づき資源状態に問題があると認められたものを仕入れない」方針があります。ただし現状は「獲りすぎ」の状態にある魚も広く販売されており、消費者が選択購入できるだけの十分な情報も公表されていません。
  • 第2位は、前回のランキングで最下位だった西友。世界最大のスーパーマーケットである米国ウォールマート・ストアーズ・インクの傘下にある西友が、国内業界最大手のイオンを追いかける形になりました。トレーサビリティーの確保や持続可能な魚介類の調達方針の策定に取り組み始めているものの、その対象商品はまだ限定的で、実際は「獲りすぎ」な魚がまだ全国規模で販売されています。
  • 同率3位は、ダイエーとユニー。安全性においては自社による対策は限定的なままで、持続可能性についても調達方針が事実上ない状態です。消費者への情報提供に関しても消極的。
  • 今回最下位となったのは、前回のランキングで2位だったイトーヨーカドー。イトーヨーカドーは対象企業の中で唯一、今回のアンケート調査において詳細情報の提示を拒否したスーパーです。魚介類の安全性や持続可能性、そして消費者への情報公開に関して後ろ向きだと判断せざるを得ず、今回の調査ではゼロポイントとなりました。子ども達の世代の食卓にも美味しい豊富な魚介類を提供するために、グリーンピースや消費者などの声に耳を傾け、安全性と持続可能性の確保に積極的に取り組む必要があります。

スーパーマーケットは何をしたらいいの?

グリーンピースは大手スーパーマーケットに対して、以下4点を要請しています。

1: 持続可能な魚介類の調達方針の策定

  • まずは政府や国際機関などが発表している魚の資源状態に関する情報を集め、「獲りすぎ」な魚の取扱いをやめる必要があります。その代わりにきちんと資源管理されている魚を積極的に販売することで、子ども達の食卓にも美味しい魚料理を残すことに繋がります。

2: トレーサビリティーの確立

  • 自社が消費者に提供する魚商品が、違法に獲られたり流通されたりしたものでないか、そして消費しても安全なものかを、責任を持って保障することが求められています。

3: 消費者への十分な情報提供

  • 店舗で販売する魚商品がいつどこで獲られたものなのか、どのような資源状態のものなのか、どれほど汚染されているものなのか、などといった十分な情報を積極的に公開し、消費者が選択購入できる体制を作る必要があります。

4: 放射能汚染問題への取り組みの強化

  • 検査体制の強化、検査結果の積極的な公開、政府基準よりも厳しい自社基準の策定、政府への働きかけなど、放射能汚染問題への取り組みを強化することが求められます。

スーパーが動く原動力は「お客様のニーズ」

激しい競争の中にあるスーパーマーケットは、消費者が作り出すニーズを敏感に察知して、それに合った商品を調達します。スーパーにお金を落とす私たち消費者が「持続可能な魚だけを売ってほしい」「きちんと資源管理できている魚なのかを店頭で知りたい」「情報公開をきちんとしたお店を利用したい」「放射能検査もっとして」などと伝えることが、スーパーを動かすカギ。クレームではなくあくまでも「応援する」スタンスでニーズを伝えることがポイントです。

実際、前述のイオンは2011年11月に「放射能ゼロ目標」を宣言した際に、6000件の消費者の声に応えたと発表しています。「消費者の声」でスーパーは動きます!

グリーンピースは「消費者の声」をスーパー各社に届けるオンライン署名「一週間、魚が食べずに過ごせる?」を開始しました。安全でおいしい魚料理を子どもたちの食卓に残したいみなさん、ぜひご参加ください!そして拡散してください!