シリーズ第1回:海の現状について

シリーズ第2回:漁業現場で起きていること

シリーズ第3回:資源管理

シリーズ第4回:ラベル表示でどこまで分かる?①

シリーズ第5回:ラベル表示でどこまで分かる?②

シリーズ第6回:私たちにできること

 

こんにちは、海洋生態系担当の田中です。

これまで「海・漁業・流通のいま」シリーズでは、海から魚がどんどん姿を消してしまっている現状と、その最も大きな原因は魚の獲り過ぎであることについてお話をしてきました。

 

今回は、この問題を解決するための手段の1つ「資源管理」についてお話しします。

魚の資源管理を考えて、船一隻が獲る量を控えようと思っても、そのぶんを他の船が獲ってしまうのでは問題は解決しません。限られた資源である魚を、みんなで協力して守っていく方法として「資源管理」があります。

資源管理とは、“卵からかえる→成長→産卵”という魚の再生産のサイクルに見合った「獲ってもよい魚の量」を決め、そのルールをみんなで守る合意をすることです。広く世界を回遊する魚を管理するためには、取り決めを世界中で守っていく仕組みが必要です。たとえばマグロの場合、現在5つの国際機関があり、地域ごとに適正な管理を目指して動いています。

ところが、ルールに合意しない・合意したふりをしてルールの網の目をくぐる船や水産企業が後を絶ちません。国際機関の管理ルールは加盟国にしか適用されないため、非加盟国による無規制な漁業や、実際の持ち主がいる国とは異なる国に船籍を置くことによって(登録国の法律が適用されるため)、法の抜け道を利用した不法な漁業が行われたり、違法に獲った魚を洋上で別の船に転載し、合法な魚に見せかけるといったことも起きています。持続可能な資源利用のためのルールを無視する、これらの漁業はIUU(Illegal(違法)・Unreported(無報告)・Unregulated(無規制))漁業と呼ばれています。グリーンピースの船は、違法漁業や過剰漁業を監視するパトロールを行っています。アジアに船籍のある船においては、2009年に中西部太平洋で日本船籍のマグロはえ縄船による違法操業を発見。そして昨年末には、南太平洋でカンボジア船籍の冷凍運搬船、フィリピン船籍の漁船、そして2隻のインドネシア船籍の漁船による、マグロやカツオの大規模な違法洋上転載の現場を発見し、通報しています。IUU漁業は、海からだけでなく私たちの食卓からも魚を奪う行為です。

 じつはIUU漁業によって獲られた魚は、世界有数のシーフードマーケットである日本でも流通している可能性が高く、私たち消費者は知らずにそれを買って食べているかもしれないのです。

破壊的に獲られた魚と持続可能な漁業で獲られた魚だったら、持続可能な漁業で獲られた魚を食べたいと思う人は多いはず。では、実際に私たちは、持続可能に獲られている魚を選んで購入することはできるのでしょうか。魚を買うときに、情報を得る唯一の手がかりである商品ラベルは、どれだけの情報を私たちに教えてくれているでしょうか。

 

次回は、流通やラベルについてのお話です。

 

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