こんにちは

今日、国会でもネオニコチノイド系農薬の問題が議論されました。

参議院の厚生労働委員会で、福島みずほ議員(社民党)から質問があり、農林水産省や厚生労働省の答弁がありました。議論の中から主なやりとりをご紹介します。

     議     員      (福島みずほ参議院議員)
     農林水産省  (大臣官房審議官)
     厚生労働省  (医薬品食品局食品安全部長)

 

 

議員: EUでは規制が進んでいるのになぜ日本では抑制ではなく拡大に向かうのか、なぜ残留基準の緩和なのか。

農林水産省: 欧州ではミツバチへの影響がでたということで使用禁止になっているが、日本でも農水省が調査をしていてまだ結論がでていない。

議員:日本では2016年までにミツバチへの影響について調査するとしていて、調査中なのに規制緩和はおかしい予防原則にのっとり、使用制限するべき。調査の間に使用制限するなどすべきではないのか。

農林水産省:ミツバチについても試験研究を行っている。分析をして必要なら農薬の使用方法の変更などを検討する。

(グリーンピースのコメント)
福島議員の質問にもある「EUで厳しくしているのに日本でなぜ緩めるの?」という疑問は、1600を超えたパブコメの中でも最も多くでていた意 見の一つでした。でも、農林水産省は、答えていません。
それに、「調査中だ」といいながら緩めるのはおかしいですし、予防原則にのっとるべきでは、との質問に対しても、全く答えになって いません。

 

議員:ネオニコチノイド系農薬は神経系統に作用する。欧州食品安全委員会も、イミダクロプリドとアセタミプリドの子ども脳の発達への影響を重視した。日本でも具体的な規制が必要なのではないか。

発達毒性の評価根拠は2000年時点のもの。2012年までに新しい知見や論文はでている。

厚生労働省:厚生労働省から食品安全委員会に、毒性評価を依頼した際には、その論文は未発表だった。今、それも含めて今、パブコメででた新たな知見について精査している。

議員:問題があると指摘があったら、日本もきちんと規制するべき。農薬の残留基準が増えれば、消費者のリスクが増える。日本は農薬の投入量が他の国に比べて多い。 

厚生労働省:農薬の残留基準の変更にあたっては、農薬メーカーから農林水産省に登録申請がなされる。厚生労働省はADIに従って食品衛生法にもとづいて基準を定める。

議員:他の国、EUに比べ、今でさえ残留基準が高いと言われているのになぜ規制緩和? メーカーのいいなりになっているのではないか?どこに1700件のパブコメの危ないという意見が反映されるのか? 

厚生労働省:顕在化したリスクがないか、念入りにしており、事故情報の報告がないかということも消費者庁に確認している。

議員:事故情報が報告されたら大変なこと。

 

 (グリーンピースのコメント)
そうです。リスク管理機関が「事故が報告されるまで何もしない」と開き直ってしまったら、もう国民の健康は守れません。

 

議員:自分が消費者担当大臣のときEUで向こうの大臣に会った。ネオニコチノイド系農薬については、大変なことになるのではという指摘があり、EUでは禁止したと聞いた。人にも害があるのではないか。厚生労働省、もっと踏み込んで調べてください。

議員:ホウレンソウの残留基準は3ppmから40ppmに上がることになる。これだけ化学物質のあふれる中で、子どものアトピーも増えている。農薬の基準の緩和をすることは間違っている。知らない、事故情報がないからいいというのではない。子どもの摂取を減らすよう、大人が努力すべき。

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福島議員は、こんなふうに、消費者、とくに子どもの健康を重視して、追及をしてくれました。

今 日の議論を聞いていてよくわかったのは、農林水産省も厚生労働省も消費者の側に立っていないし、養蜂農家の側にも立っていないということ、そして 農薬メーカーの方を向いているということです。だから「調査中」といいながら、基準を緩めようなどということができてしまうのではないでしょうか。

「調査中」「まだよくわからない」ときに、人の健康や環境を守るためには「予防原則」が重要です。ヨーロッパ諸国も、ミツバチと共にある農を大切にすると同時に、化学物質管理のなかに予防原則を取り入れています。

安全な食と農業のために、予防原則にもとづいた基準やルールを、一緒に求めていきましょう。

今日のメモは、取り急ぎまとめたものですが、後日、参議院のウェブサイトに公式議事録が載ります。

 

★公式議事録(第186回国会 厚生労働委員会 第2号 平成26年3月13日)が公開されました(ネオニコチノイドの質疑は下の方にあります)。