こんにちは、エネルギー担当の高田です。 福島原発事故とその後の対応では、東京電力の経営の無責任さ、情報隠ぺい体質が繰り返し明らかになりました。事故から3年以上、経営陣がどのような考えを持っているのかを知るため、今日、東電の株主総会に出席してきました。

グリーンピースは、経営陣に直接、脱原発を働きかけるため東京電力、関西電力、日立の株主となっています。(※)

東京駅近くの国際フォーラムで開かれた東電の第90回株主総会では、壇上に20名の取締役ら役員がずらり勢ぞろい(ちなみに女性はゼロでした)。
議事は、

  • 事業報告の説明
  • 株主からの脱原発の議案について、提案株主からの補足説明
  • あらかじめ東電に株主から提出されていた178問の質問への東電回答
  • 会場の株主からの質疑
  • 採決(株主からの提案はすべて否決されてしまいました)

という流れで進行しました。

グリーンピースも質問 「原発メーカーの責任は?」

報道によると、今日の総会には約2,100名の株主が出席。
質疑では、たくさんの挙手があるなか、11名の株主が質問しました。ほぼすべてが原発についてのもので、内訳は以下のとおりです。
(なお、事前に株主から出された178問の質問の大半も、原発反対の立場)

  • 原発について:10人(推進反対7、推進賛成0、その他3)
  • 投資について:1人

私も、11人のうちの一人に指名されました。
発言者用のマイクに向かい、グリーンピースと告げたうえで、「福島原発事故の当事者である東電が、原発を再稼働するなど言語道断であり、事故収束と被害者への償いを最優先すべき」と伝えました。

そして「福島第一原発の原子炉メーカーらの製造者責任の観点から、原子炉メーカーらによる製品などが福島原発事故の原因や事故の深刻化になっていなかったか、メーカーらに違法な行為や過失がなかったかなどについて、どのような調査を行い、結果はどうだったか」を數土文夫会長に尋ねました。

製造者が責任を取ることは、事故再発防止のために非常に重要です。また、原発事故の被害者への賠償を進め、国民負担(たとえば、賠償のために4兆円以上の税金が投入されています)を最小限にする事にもつながります。

まず、原発担当の常務が、「事故の解明は、事故を起こした会社として重要な責務だと思っている。メーカーの責任を問う/問わないにかかわらず、事故の原因解明は進めている。いままでに明らかになっているなかで、メーカーの責を問うような部分はないと考えているのが現状」と回答しました。

会長「メーカーの責任も非常に重大であると思っている」

続いて數土会長が、「メーカーの責任も非常に重大であると思っている。再発防止のために、取締役会直属の原子力安全監視室を新設した。今質問された点についても、経営として相対していこうと思っている」と返答しました。

グリーンピースは昨年も株主総会に出席していましたが、「原子炉をつくったメーカーの責任も重大だ」というような発言は昨年はありませんでした。グリーンピースはこれまで、福島第一原発の原子炉メーカーである日立(GE・日立)および東芝に、福島原発事故におけるメーカー責任についてただしていますが、両社とも「責任はない」との回答を繰り返しています。

數土会長は製造業出身で、今年から会長に就任しています。製造者責任という当たり前の視点を持ち、上記回答を経営に反映してほしいと思います。

会長、株主の発言中に「係員はマイクを止めよ」

一方で、數土会長の議事進行にはがっかりでした。
數土会長は、原発事業からの撤退や、事故現場の作業員の処遇改善を求める声に対して、「質問は3分以内に」「時間厳守を」と繰り返し発言。
そうした議事進行に抗議する株主に対しても、數土会長は「(それはあなた)ひとりの思い込みだ」と言ったり、3分をこえる質問者に「係員はマイクを止めてください」などと何度も要求、 「退場」となる株主もいました。

そして、まだ質問したい株主たちが大勢挙手しているにもかかわらず、議案の採決が始まりました。会場からは強い非難の声が上がりました。


写真© Masaya Noda / Greenpeace

原発事故という取り返しのつかない惨事を招き、賠償すら満足にしていないにも関わらず、いまだに原発再稼働を進めようとする東京電力。壇上の経営陣からは、自社が起こした史上最悪の原発事故をどこか「他人事」のように扱っているという印象を受けました。

海洋に漏れ続ける汚染水など、深刻な原発事故は今もなお継続しています。その史上最悪の事故を起こした東電が行うべきは、一刻も早い事故原因の解明と事故の収束、被害者への償いであり、再稼働ではありません。

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日立や東芝との手紙のやり取りなど、グリーンピースの原発メーカーへの働きかけはこちら

(※)グリーンピース・ジャパンは、脱原発と自然エネルギーの飛躍的導入を求め、株主総会への参加・議決権行使などのために、東京電力に加え、関西電力、および日立製作所の株式を最小単位で購入しています。本日開催された関西電力の株主総会に対しては、インターネットを通じ、議決権を行使しています。また、6月20日(金)に開催された日立製作所の株主総会にも出席し、東原敏昭社長に対して原発から自然エネルギーへの経営戦略の転換を働きかける質問を行いました。(昨年の東京電力株主総会についてのブログはこちら

 

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グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

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