こんにちは。広報の柏木です。
今、国際環境NGOグリーンピース・ジャパンでは「エネルギー・キャンペーナー」を募集しています。

8月23日追記:、キャンペーナーの一日ってどんななの?の声にこたえて、「高田の一日」をインタビューの後に追加しました。ぜひご覧ください!)

あまり聞きなれない「キャンペーナー」の仕事の魅力や、やりがいとは? ライターの小林みちたかさんによる、現在、気候変動・エネルギーを担当する高田久代へのインタビュー、ぜひご覧ください。

先送りにできない、気候変動とエネルギー問題

—グリーンピース・ジャパンの活動は主に、「気候変動・エネルギー」、「海洋生態系」、「食と農業」の環境問題に取り組むこととのことですが、高田さんが担当する気候変動・エネルギーはどんな分野なのでしょうか?

「グリーンピースでは、日本のみならず、グローバルに重要視しているテーマです。気候変動には国境がありません。また、全世界、世代を超えて関わりのあることで、政治・経済・文化などあらゆる分野に大きく影響します。実際、私たちも2050年の地球をイメージしながら議論していますし、話題の規模も時には宇宙にも及びます」

—確かに生態系や食にも影響しますし、先送りできないテーマでもありますね。

「気候変動を引き起こす要因はいくつもありますが、なかでも影響の大きいのが多くの二酸化炭素を排出する石炭による火力発電など、エネルギーの問題です。また、原発による発電の問題点は、東京電力の福島原発事故をみれば明らかです。一方で、現在の私たちの生活は膨大なエネルギーを享受することで成り立っていますから、明日からエネルギーをゼロにしましょうというわけにはいきませんよね」

—いち生活者のレベルでは、何をするのが効果的なのか、なかなか実感しにくい面もあります。

「例えば、パソコンの消費電力はここ数年で飛躍的に効率があがったことは実感できるのではないでしょうか。いまやパソコンに限らず、あらゆる分野で省エネの技術は進化しています。また、日本の電気消費の2/3は、工場などの産業部門とオフィスビルなどの業務部門です。エネルギー問題解決にもっと取り組んでもらえるよう、市民の皆さんと一緒に企業に働きかけていくのも、私たちの重要なミッションの1つです」

世界のIT企業を動かしたキャンペーン

—グーグルや日本の富士通などを巻き込んだ"COOL IT(クール・アイティ)キャンペーン"は、気候変動のキャンペーンの事例の1つですね。

「グーグルやアップルなどIT企業が持つデータセンターなどのグローバル消費電力量はとても多く、2007年時点でドイツやフランス1国を上回っているんです。 急成長を続けるIT企業の影響力とイノベーションを生み出すリーダーシップに着目して、気候変動・エネルギー問題の解決をスピードアップするために、グ リーンピース・アメリカが中心となって2009年にこのキャンペーンを開始しました。日本企業も関わってくるため、私もチームの一員になっています。このキャンペーンをきっかけに、アップルは自社データセンターを自然エネルギー100%にすると発表するなど変化を巻き起こしています」(COOL ITキャンペーンについてはこちらをどうぞ)


写真:ニューヨークにて、黒い風船を石炭のススで真っ黒な「クラウド」(雲)に見立て、Apple社の使う電気を変えようと呼びかけました。

—いまでこそサーバーの膨大な電力消費の問題が顕在化し、企業も取り組んでいますが、当時はほとんど語られていませんでしたね。

「IT企業は、省エネには早くから取り組んでいましたが、自らが消費する電力の源(電源)については、あまり関心を払っていませんでした。世界中で急成長を続けるIT企業が電源を自然エネルギーに切り替えていくことは、エネルギー問題はもちろん、気候変動にも大きな効果を生み出していくはずです。その意味でも、グリーンピースは、おそらく世界で最も早くITと気候変動を関連づけたNGO団体だと思います」

—エネルギー・キャンペーナーは、そういった環境保護につながるような「芽」を見つける視点が求められるということでしょうか。

「そうですね。社会がよくなるアイデアを生み出し、その変化を巻き起こすために、誰がどのようにそれを実践していくのか、というストーリーを描いていきます。実際に変化を起こせるかどうか、という点はいつも真剣に考えています」

—絵に描いた餅に終わらせるのではなく、ということですね。

「はい。特にキャンペーナーは変化を起こすためにはどうしたらよいか?ということを常に考えています。そのためにも、現場に行くことを重要視しています。鹿児島県にある川内原発の再稼働の問題では、私も何度か鹿児島に足を運びました。自分の目で現場を見て、そこで暮らす方々と直接お話しなければ、わからない現実はたくさんあります」

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川内原発のある薩摩川内市にて、地元の方と一緒に原発事故時の避難経路を検証。

川内原発、一時避難場所が津波危険区域に

—川内原発は、原子力規制委員会によって再稼働に向けた審査が行なわれ、事実上の「合格」が出たと報道されています。

「地元の方と一緒に、地元を歩き、住んでいる方々のお話を伺いなら、原発避難に詳しい有識者と避難計画の実地検証を行なったところ、原発事故発生時の一時集合場所が津波危険区域になっていることがわかりました。同じ市が作成したにもかかわらず、避難計画と津波ハザードマップの整合性がなかったんです。この結果は、地元メディアでも大きく取り上げられました」(川内原発の活動についてはこちら

—福島第一原発では地震と津波によって、事故が発生しました。地元の自治体は原発事故と津波とを連動して避難計画を立てていないということですか?

「はい。また、川内原発の周辺で暮らす住民の方への意識調査では、川内原発で深刻な事故が起きた場合、被ばくせずに避難できると思う方は1割もいませんでし た。果たして、現在の避難計画で市民の方々の安全を守れるでしょうか。そこで、避難計画の実地検証の結果や意識調査、オンラインで集めた再稼働反対の署名 14,360筆とメッセージを県に提出し、地元の議員さんにも内容を説明しました」

—自治体の反応はどうだったのでしょうか?

「財政がひっ迫している地方の議員さんは、詳細な調査を行なうだけの予算が厳しい場合が多く、結果をお渡した議員さんからは『貴重な資料だ』という反応があり ました。実際、議会で報告してくださった議員さんや自治体計画の判断材料にするという方もいます。とくに問題意識を持っている議員の方々にとって、市民の声は大きな後押しになったようです」

—一方で、原発は地元経済を潤しているという側面もあります。

「それは鹿児島や福井に行った際に痛感しました。毎日住んでいる場所ですから、すぐに避難したり、不安という理由だけでNOの声を上げることに戸惑う方もいます。いくら私たちが現地を訪れても、100%お気持ちを理解することは難しいですが、現地に足を運び、複雑な感情や置かれている状況を理解しようと努力することは大切だと思っています」

—机上の論理だけでは、変わらないのが現実なのですね。

「そうですね。想いをもつことも大切ですが、それに加えて、地に足のついた取り組みをするために、現実に即した客観的なデータや科学的な根拠が必要です。私たちは、2050年までに世界中のすべての国で自然エネルギー100%を目指しています。その難しさは実感していますが、状況は差し迫ってもいます。現実的に石油や石炭などの化石燃料や原発のウラン燃料は、いつかは枯れてしまうわけです。実際、2010年に世界中で新設された発電所のうち、半分は自然エネルギー。原発の市場シェアはわずか2%なんです」

いかに自然エネルギーにシフトしていくか

—世界の潮流として、太陽や風といった無限の燃料を活かした自然エネルギーへのシフトが求められています。

「今も世界では、何億人もの人たちが無電化地域に暮らしています。その地域に使用済み核燃料の保管方法も未解決な原発をつくるのか、自然エネルギーの発電所をつくるのか。答えは明らかです。クリーンで安全なエネルギーのもと、電力をスマートに使いながら、快適な生活を送るにはどうすればいいかを1人ひとりが考え、協力しながら実践していかなければならないと思います」

—原発は嫌、自然エネルギーがいいと考えても、実際、何をすればいいかわからない方も多いと思います。何をすべきか、その道しるべをつくっていくのが、今回募集する「エネルギー・キャンペーナー」とも言えそうですね。

「そうですね。グリーンピースには、『IDEAL(英語で「理想」の意味)』という活動のサイクルがあります。川内原発の活動にあてはめると、
1)鹿児島県民 の方の意識調査と避難経路の検証=Investigation、
2)調査結果をわかりやすいレポートにまとめ る=Documentation、
3)メディアに調査結果を公表する=Exposure、
4)県議会の議員さんや県庁の方に調査結果と要望を伝える =Act/Lobbying
と活動を展開しました」

—それぞれの頭文字をとって、「IDEAL」となるわけですね。仕事の領域はかなり広いです。

「そうですね。もちろんチームメンバーと協力してキャンペーンを実施しています。私は、実際に現場で調査したり、交渉を行う中で、キャンペーンの意義を実感 し、成果の手応えを直に感じています。仕事の特性上、海外スタッフとのやり取りも多く、緊急を要する案件では、最短・最速で問題解決するために柔軟な対応も求められます。そういったことをやりがいに感じていただける方と、ぜひ一緒に働きたいですね」

世界の最先端で、地球の未来を変えていく

—40カ国以上に拠点を持つグローバルの強みはありますか?

「たとえば、原発ゼロを掲げたドイツの人たちがどんな生き方にシフトしたのかを知りたければ、すぐに現地のオフィスに連絡して情報を得ることができます。原発の経済的恩恵が議論されることがある日本でも、そういった情報は参考になるはずです。そんな世界中の人脈や最先端の情報に瞬時にアクセスし、連携しながら環境問題の解決に非営利の立場から取り組めるのは、世界に拠点を持つグリーンピースならでは、です。設立以来、企業や政府から一切資金援助を受けず、すべて個人の方からの寄付で活動していることも、グリーンピースの強みだと思います」

—最後に、応募される方へメッセージをお願いします。

「エネルギーに関しては、2016年には電力自由化が実施される予定です。原発の再稼働や気候変動の国際会議など、さまざまな外部要因もあります。今後、数年は日本のエネルギーシフトを実現できるような、うねりをつくりだすチャンスにあふれています。環境問題に関して、グリーンピースの専門性やメディアリレー ションは世界でも有数の力があると思います。世界280万人のサポーターの想いを背負って、一緒に社会を変えませんか。エネルギーの未来が、地球の未来を担っています。情熱にあふれる方のご応募をお待ちしています」⇒応募詳細は、こちらから


世界各国から集まった同僚とのミーティング風景。


【取材を終えて】
英語が飛び交うオフィスで、若いスタッフも多く、服装もカジュアル。「世界を変えよう」というチェンジメーカーたちが集まるスタートアップ企業のような雰囲気を感じました。まさに環境問題の最先端で戦うプロフェッショナル集団。地球規模のスケールで、エネルギーという人類喫緊の課題に取り組む仕事は、やりがいにあふれていると思いました。(ライター・小林みちたか)



【エネルギー担当キャンペーナーの一日】

06:30 起床、自宅近くに借りている市民農園の野菜畑へ
07:30 朝採りきゅうりで朝ごはん
08:20 出勤、電車の中で新聞をチェック
09:30 事務所到着、メール確認
10:00 月報を記入
10:45 朝礼
11:30 海外メディアの日本の自然エネルギーに関する質問にメール対応
13:00 同僚とカフェでランチ
14:30 プロジェクトの報告書類を作成
15:30 海外の同僚(香港、インド、フランスなど)とのTV会議①
16:30 海外の同僚(スイス、フィリピン)とのTV会議②
17:00 移動、電車の中でメール確認
18:30 消費者団体・他のNGO・弁護士さんらと電力自由化の勉強会参加
20:00 業務終了
21:00 家族と遅めの晩御飯

一日を振り返って・・・
この日は、午前中に急遽メディアからの問い合わせが入ったこともあり、慌ただしい一日でした。海外の同僚とは、原発や自然エネルギーについて、連携してキャンペーンを進めています。