こんにちは。食と農業問題担当の関根です。

みなさんは健康のために日頃からどんなことに気をつけていますか?

がん、発達障害、免疫疾患、ホルモンの異常…。

これは日本でもごく普通に使用されている農薬と関連する病気の例です。

グリーンピースでは、私たちの健康と農薬汚染の関係について「確定した既知の影響」と「不確実な影響」の両面から世界で発表されている研究を総合的に考察し、レポート『農薬と健康:高まる懸念』(注1)をまとめました。

そこでみえてきたものとは...

(レポートを読むには[Click to read]をクリックしてください)

1.ちいさい子どもに大きなリスク

胎児や小さい子どもの脳や神経は発達の途中で、神経毒性のある農薬の影響を特に受けやすいことが懸念されています。また、がんの発生率や免疫が弱くなる、流産の確率が高くなるなどの可能性も指摘されています。 

-発達障害

知的発達障害、行動、運動の速さや協調性、全般的な精神機能への悪影響が警告されています。 

妊娠中や子ども時代に有機リンの汚染を受けた子ほどADHD(注意欠如多動性障害)と診断される可能性が高いなど、小さい子どもの農薬汚染と、発達障害の関連性が報告されています。

ネオニコチノイド系農薬(注2)が子どもの脳と神経の発達を害する可能性があるという証拠も日本の研究者によって警告されています。

農薬が脳や神経に影響するのは、もともと「害虫」の神経に作用して退治するようにつくられているから。そうした農薬には、ミツバチの大量死にも関連しているとしてヨーロッパで禁止されている※ネオニコチノイド系農薬をはじめ、有機リン系やピレスロイド系農薬などがあります。

※アメリカでも新規の許可が凍結され、使用禁止が提案されています。

>農薬の影響からこどもを守る署名

>こどもたちにこそ、安全な食べ物を。そのためには

– 白血病その他のがん発生率が高くなる

殺虫剤や除草剤を妊娠中に庭で使用している場合、その子どもが白血病にかかるリスクが高くなることも示唆されています(例えば、家庭で母親が殺虫剤の汚染を受けた場合、子どもが白血病にかかる確率が2倍以上など) 

2.大人も要注意

大人は安心というわけではありません。

各種のがん、神経系の障害、免疫系への悪影響、ホルモンの異常などと農薬の関連が指摘されています。アルツハイマー病やパーキンソン病の主なリスク要因は加齢や遺伝とみられていますが、農薬も環境要因として関連づける研究がでてきています。

農薬を散布する業務に従事する人たちは、作業で使う農薬の汚染を受ける度合いが高く、リスクも高くなっています。また、農薬の汚染を受けやすい地域に住む一般の人たちも、発がんリスクが上昇する可能性が示唆されています。

有機リン系農薬のクロルピリホスは、シックハウス症候群を起こす疑いがあり建材には使えなくなった農薬ですが、農業には今でも使われています。リンパ腫、肺がん、結腸がん、脳腫瘍との関連が示唆されています。 

日本人が日常的に多種類の農薬曝露を受けていることは環境省の調査(注3)からも明らかとなっていますが、混合した複数の化学物質がどんな影響を与えるのか、現在それを予測するすべはありません。

 

3.生態系農業へのシフトを

健康と生態系に悪影響を及ぼす農薬は多種多様。いくつかの農薬を選んで、使用量や使用条件をちょっと制限するだけでは人の健康を守ったことになりません。化学農薬に頼った従来の農業(工業型農業)から、有機・無農薬栽培など農薬にたよらず、生態系と共生する農業(生態系農業)へ移行するという長期的な方針のもとで、化学農薬の使用を段階的に全廃していくことこそが、根本的なただ一つの道です。

そのため、グリーンピースでは次の2つを国会議員にもとめる署名を実施中!

下のバナーをクリックしてぜひ署名にご参加ください。

● 私たちの食べ物や子どもの健康、ミツバチなどの花粉媒介生物を、農薬の影響から守る法律を作ってください。
● 有機農業や自然農法など、生態系に調和した農業の価値を評価し、支援を強化してください。

注1:レポート「農薬と健康—高まる懸念」日本語版 2015年6月3日グリーンピース・ジャパン発行

注2:特にイミダクロプリド

注3:「日本人における化学物質のばく露量について」化学物質の人へのばく露量モニタリング調査(2011〜)  

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
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