こんばんは。
海洋生態系の広報担当、まいにち猫の写真に癒されている土屋です。みなさんは、マグロ産業に重大な人権問題が存在することを知っていますか?例えば、あなたのペットの猫のキャットフードはどうでしょう?

つい先日、世界企業である『ネスレ』が、奴隷労働に由来する魚と知りながら、キャットフードとして製造・販売したとして、アメリカの消費者グループが訴訟を起こしたとAFP通信が報じました。(ニュース記事

ツナ缶に隠された、現代の悲劇

ほんとうに現代の話なの?と耳を疑ってしまうほど、ありえないストーリーです。

それは、普段私たちが何気なく食べているツナ缶の背景で行われているのです。
主人公は、ミャンマー、インドネシア、タイ、ベトナム、台湾などの海が近い国々で、仕事を探している普通の若者たちです。
良い条件で稼げる仕事があると話を持ちかけられた若者たちは、生計を立てるために愛しい家族をあとに残して船に乗り込んでゆきます。
そこで待っていたのは、食事も十分に与えられず、睡眠時間も少なく長時間こき使われる奴隷のような日々。
支払われる給料は契約よりもはるかに安く、タダ同然のこともあります。

防寒着もなく魚を保存するための冷凍庫で長時間作業したために、凍傷になってしまう人も少なくありません。

口答えをしたり、集合に遅れたりするだけで、船長から暴力を受け、骨が折れるまで殴られ続けることもあります。

最悪の場合、命すら奪われてしまうことも…。

何もしなければ、太平洋のだだ広い海の真ん中から、おいしいマグロを食べているわたしたちに彼らの叫びが届くことはありません。

ここで一本のビデオを紹介します。マグロ漁船での過酷な日々を経験をした元漁師の証言です。

ビデオ:太平洋マグロ漁船の悲劇。元漁師の証言

※この映像には、暴力に関する表現が含まれます。

>動画を見る

どうしてこんなことが起こってしまうの?

「不当に利益をあげられるから」──労働者を長時間タダ働きさせることで、企業はそれにかかるはずのコストを浮かせることができます。
「モニタリングシステムが弱いから」──中西部太平洋のはえ縄漁船では、独立したオブザーバーが乗船し立ち会いのもと行われる漁業活動は、全体の1%にとどまります。

タイ・ユニオン・フローズン・プロダクツというタイのツナ缶最大手の会社は、米メディア(ニューヨークタイムス、AP通信)の調査で、マグロの調達のために強制労働など人権侵害に大きく関わっていると指摘を受けています。

アメリカのツナ缶第三位のブランド、チキン・オブ・ザ・シーも、このタイ・ユニオンの傘下にあり、そのツナを上流まで遡れば、人権侵害に加担していないクリーンなツナだと言い切ることは難しいでしょう。

企業としては、サプライチェーンの上流まで遡り、徹底的に調査をするのはお金や時間のコストが発生し、できればやりたくない作業です。

しかし、こんなとんでもない人権侵害を、マグロの最大の消費者であるわたしたちが知らないままでいいのでしょうか。

企業の重い腰を動かせるのは、私たち消費者の力。

普段のお買い物の際、このツナ缶はどうなのか。自分の中で問いかけてみてください。
もう一歩進んで。スーパーやツナ缶を製造している会社に聞いてみてください。
「このツナ缶が、強制労働により生産されたものではないと言い切れますか?」
なんども繰り返していますが、日本のマグロ漁が抱えている問題のひとつが、絶滅危惧種である太平洋クロマグロの獲りすぎです。

どんな生き物にも、繁殖がなければ未来はないのです。

有効な規制もなくあたかも取り放題のような中で、絶滅の危機にさらされている太平洋クロマグロを守るため、グリーンピースでは、資源の回復に大事な役割をもつ産卵期のマグロの保護を求めています。

企業が見られたくない、人々があえて目を背けている問題を調査し、問題を明るみに出すというグリーンピースの活動はすべて、問題解決を願う個人の方からのご寄付のみに支えられています。

マグロ産業から悲劇をなくしていくためには、私たちスタッフの力だけでは負の連鎖を止められません。皆様のご理解を、寄付という形でのご支援をお願いします。

参考資料:http://tuna.greenpeace.org/en/stories/these-are-the-videos-the-tuna-industry-doesnt-want-you-to-see/

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マグロ漁船のイメージだけで適当に書いただろ(笑)