こんにちは、食と農業担当の石原です。

アメリカやフランス、オランダなど、同じくらいの所得の国と比べて、日本のオーガニック食品購入金額は最低レベル同じアジアの韓国や中国と比べてもオーガニックの作付面積が少ない

数値で見てもやっぱり伸び悩んでいる日本のオーガニック業界。

どうして日本のオーガニックは伸び悩んでいるんでしょう?問題はどこにあって、どうしたら加速していくんでしょう?

野菜
昨日20日、スーパーや生協などの販売店、さらには農水省や農家のみなさんと一緒に考えるセミナーを開催しました。


「オーガニックで目指す地域に根ざした販売戦略とは」と題して、オーガニック農業や販売のプロから、ノウハウをシェアする会です。

会議

写真:小売店から農水省、農家さんまで、さまざまな人が来てくださいました

 

ゲストとして登壇してくれたのは、イオンアグリ創造(株)の南埜幸信(みなみのゆきのぶ)さん。
学生時代から、日本中の有機農家さんをまわって畑で修行し、さまざまな場でオーガニックの普及に携わってきた南埜さん。イトーヨーカドーや東急ストアなど、現在オーガニックコーナーを設けているスーパーに、オーガニック専門コーナーを導入するよう働きかけるなど、小売の立場も農家さんの立場も熟知した方です。


今回のセミナーでは、「なぜ日本ではまだオーガニックが広まっていないのか?」「どうしてオーガニックを選ぶ消費者が少ないのか?」など、今の課題を分析した上で、日本でもオーガニックを増やすために、小売店ができることを具体的に提言をしてくれました。

写真

写真:前列のイスに座っている男性が南埜さん。その隣の女性がグリーンピース本部のレイエス。

そして、グリーンピース本部の科学者で、自身も南スペインで自然の力をそのまま生かした”生態系農業”を実践しているレイエス・ティラドも、なぜいま、オーガニックが必要なのか、専門家の視点からお話ししました。

オーガニック拡大のエネルギーが動きだす

まず登壇した南埜さんが強調していたのは、マーケット(スーパーや生協などの販売側)が動けば、必ず生産者の農家さんたちが動きだす、ということ。というのも、「オーガニックにはまだまだ十分に伸びしろがある」から。


オーガニック生産者の平均年齢は59歳で、日本全体の生産者の平均年齢と比べて7歳も若く、40歳未満の若い生産者さんも9%いるそうです。(ちなみに日本全体の40歳未満の生産者さんは5%)

さらに、新規就農希望者に対する意識調査によると、93%が、オーガニックに関心を持っているのだそう。


「オーガニック農産物の出口戦略(販売経路)が決まれば、オーガニック拡大のエネルギーが動きだす。多くの生産者が待ち望んでいます」と、南埜さん。

流通コストが下がれば価格も下がる

一方、わたしたち消費者の知らないところで、お店側もやはり、課題を抱えているようです。例えば…

・オーガニック専門の中間流通業者が乱立したことで、少量で値段設定の高い流通構造ができあがってしまった
・一般のクール便を使わなければいけないなど、産地からの流通費がかかりすぎる
・お店と生産者さんのネットワーク不足で、生産者さんの経営が安定しない
・栽培や収穫の量が不安定
・除草人件費など、栽培コストが高い

特に、オーガニックの流通システムが整っていないことは大きな課題のようです。私たちが使うようなクール便を使って配送しているというのは、驚きました。
流通や栽培にお金がかかることで値段が高くなったり、産地からの時間がかかることで鮮度が落ちたりすると、消費者も選びにくくなってしまいますよね。
有機農産物を増やしてほしい!と思う私たち消費者にとっても、ぜひ解決して欲しい重要な課題です。
「生産者さんと販売店さんでネットワークをつくって、流通の仕組みさえ整えば、オーガニックも、他と変わらないくらいの価格にできると思っています」南埜さんは、力強くそう話していました。

人を感動させる野菜

「食べ物はすべて生命のあるもの。殺伐とした農業現場、つまり愛情が十分注がれずに育てられた野菜は、人を感動させることができません。
生命を育てる農業が、あらゆる生命を尊ぶ場になってこそ、社会に平和と健康がもたらされる。オーガニックの生産者は、このことに気がついています」

食卓の安全・安心を守り、心も養うような食のあり方。生産者、販売、消費者が一体になって、広めていきたいですね。

「売り上げ構成比の10%をめざす」

出席したスーパーや生協の担当者さんからも、とても前向きな言葉が!
「さらにオーガニックの良さを理解してもらう努力をして、売り上げの構成比を10%にしたい」
「生産者や流通との直の取引が必要」
生産者も、消費者も、お店も。オーガニックにとても前向きな、いい流れができている気がします。日本でもオーガニックが加速するのに、あと、一息なんじゃないでしょうか?

あなたからも伝えてください「オーガニックを増やして」

多くのスーパーや生協は、オーガニックを増やす必要性に気づいています。あとは動きだすだけ。お店の一歩を消費者が後押しするために、あなたも力を貸してください。署名して、スーパーや生協に「有機の野菜やくだもの、お米を増やして」と伝えましょう。

「有機を増やして!」いますぐ署名で伝える >

 

グリーンピースの科学者レイエスのお話しは、また別の機会に詳しくお届けしますので楽しみにしていてください。


グリーンピースは、政府や企業からお金をもらっていません。独立した立場だからこそできる活動で、私たちの知らないところで進む食の安全性や生態系への影響を明らかにしています。安全なものを求めている一人ひとりの消費者の手元に、きちんと届くような仕組みをつくっていくため、寄付という形でも一緒にグリーンピースを応援していただけませんか?

寄付する

グリーンピース・ジャパン

ライターについて

グリーンピース・ジャパン
グリーンピースは、環境保護と平和を願う市民の立場で活動する国際環境NGOです。世界中の300万人以上の人々からの寄付に支えられ、企業や政府、一般の人々により良い代替策を求める活動を行っています。ぜひ私たちと一緒に、行動してください。

Comments

あなたの返答を残す