残暑お見舞い申し上げます。食と農業担当の関根です。
台風がまだ続いて来そうですね。こんなとき、野生のハチたちも巣をまもるために懸命なのだろう、と想像します。
そんな野生のミツバチたちも、畑や果樹園を訪れ、花粉を運んで実りを助けてくれる、私たちの心強い味方です。
ところが先週、気がかりなニュースが飛び込んできました。
野生のミツバチも、ネオニコチノイド系農薬が使われるようになってから数が減ってきたというのです。

今回発表されたのは、イギリスの研究機関が18年間にわたり62種類の野生のハチたちを研究したもの。ネオニコチノイド系農薬の使用とともに野生のハチの数が減ってきている、と科学誌『ネイチャー』に発表しました（注1)。

その記事によると、

ナタネへのネオニコ系農薬使用と、野生のハチたちの個体数の減少傾向には、関連性がみられる
ネオニコ系農薬で処理したナタネから蜜や花粉を集めている野生ミツバチは、他の植物から餌をあつめている種類とくらべて平均3倍も悪影響をうけていた
ネオニコ系農薬で死ぬほか、ハチが神経系に打撃をうけたり、免疫が弱まったりすることで（亜致死影響）、野生のハチの多様性の減少に拍車がかかるおそれがある

ということです。
気候変動や土地利用の変化などハチの生息にとって過酷な条件とあいまって、ネオニコ系農薬によってハチたちの減少が著しくなっていることが指摘されています。

野生のミツバチも守ってほしい

実は、野生のハチたちは飼われているミツバチ以上に花粉の交配に貢献しています。
日本でも農業環境技術研究所が今年発表した試算によると、花粉を運ぶ生物たちが授粉で生み出している経済価値（4700億円／年）のうち70％は野生の生物による（チョウや小鳥などハチ以外も含む）と推定されています（注2）。
花粉を運ぶ野生の生き物たちを守ることは、私たちの豊かな食卓を守ることとつながっているんですね。

でも、日本の農林水産省が、ミツバチの大量死に対してとっている対策の中心は“養蜂家が巣箱をどかす”こと。これでは、野生のハチたちを守れませんよね。
だから、ネオニコチノイド系などミツバチに有害な農薬を使わないよう、日本でも規制をかけることが不可欠です。
上記のイギリスの研究でも、「ネオニコ系農薬使用の規制によって、個体数減少に歯止めをかけられるかもしれない」と言っています。

毎日お買い物にいくスーパーで、できることがあります

ネオニコ系農薬を使わないようにしていくためには、私たち消費者が、ネオニコを使わない商品がほしい、という思いを小売店に伝えることも大きな意味があります。

新米の季節、もし近所のお店になければ、ネオニコフリーのお米を入れてほしい、ネオニコフリーの商品を増やして、など、あなたの声を届けてみませんか？
まだごく一部ですが、スーパーのライフ（近畿圏のみ）や、コープネット事業連合（関東信越圏のコープ商品）はネオニコ系農薬を使わない（ネオニコフリー）のお米をすでに扱っています。
「ネオニコを使っていないお米や野菜を増やしてください」と消費者がお店に働きかけることで、一緒にオーガニックの未来をつくることができます。
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「有機を増やして！」いますぐ署名で伝える >