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大きな道をそれて、山道を進んだ先のさらに奥。

やんばるの豊かな森に囲まれ、きれいな沢が流れる場所に、その家族が暮らすお家はあります。

自然の中で子ども達を育てたい、という思いで、やんばるへやってきたという安次嶺さんご一家。

家も、少し離れたところでご夫婦が経営する宿もカフェも、家族の手作り。3年かけて自分の足で見つけた理想の場所だったというこの森は、まさに家族の楽園のようです。 

「子どもたちは、沢で泳いだり、今の時期だとクワガタとかカブトムシとかとったり、海行って遊んだり。自分たちで遊ぶものを探してますね。遊ぶところはいっぱいあるから、ここは」

私たち、沖縄プロジェクトチームが安次嶺さんのお宅におじゃました時に会った3兄弟も、家の周りの森を走り回ったり、始めたばかりだというサーフボードを見せてくれたり、飼っているニワトリが産んだ卵を見せてくれたりと元気いっぱい。

安次嶺さんがこの場所に出会った14年前、この家のすぐそばにヘリパッドができ、家の真上を轟音を立てながらオスプレイが飛ぶことになるとは、誰も想像もしていなかったでしょう。 

今回は、家族の穏やかな暮らしとやんばるの森をまもるために、高江で声を上げ続ける安次嶺現達さんに伺ったお話を、お伝えします。(文:沖縄プロジェクトチーム 林)

安次嶺現達さん一家(2008年撮影)

オスプレイパッドはわずか400m先

やんばるの森に穴を開けるように、6つのヘリパッドを建設する計画が強行される、沖縄本島の北部、東村高江。

2年前に完成した2つのヘリパッドは、安次嶺さんの家からたった400m先にあります。そこから、オスプレイが安次嶺さんのお家を囲む森の上スレスレを飛んで、離着陸していきます。安次嶺さんご夫婦は、今年の夏、子どもたちを一時避難させました。

「この数年間、オスプレイは飛び続けているんだけど、2週間くらい毎日夜遅くまで飛んでる時期があって。2週間ずっと飛んでると、子どもたちが寝られなかったり、ちょっと精神的にも疲れてね。

騒音ももちろんだけど、ずっと低周波を浴び続けてたら何が起こるか、全然調べてないし、人間にどういう影響があるのかもわからない。なにかがあってからじゃ遅いだろうっていうことで、子どもたちだけでも避難させました」

現在、沖縄には24機のオスプレイが配備されています。将来的には100機配備するという報道も。

騒音や振動で、寝られない、いらいらする、不安になるなどの、住民の暮らしへの影響が出はじめ、最高214度にものぼる排気熱が草木を焦がしています。さらに、オスプレイの安定しづらい飛行構造から、海外で事故が相次ぎ、住民のみなさんは事故のリスクと隣り合わせで暮らすことを強いられています。

安次嶺さんは、9年前からヘリパッドの建設に反対の声を上げ続けています。忙しくても、1日に必ず一度は、座り込みの現場に足を運ぶそうです。 

「もし本当に、ここに建設しなければいけないちゃんとした理由があるんだったら言ってくれと、話し合いを求めているのに、ちっとも言わない。

オスプレイは来ませんとか、嘘をずっと言い続けて来たわけだよ。森も木は一切伐採しないなんていったけど、今でもどんどん伐採されている。

10年前から、オスプレイのことを言い続けてきているけれど、6つのヘリパッドが完成してオスプレイが何十機も高江を飛ぶようになったら、このやんばるの森自体にいろんな影響が出てくる。自然があるからこそ自分たちもこうやって生きているわけだから、シンプルに考えて、いやだからいやと言っているだけなんだよね」

安次嶺さんが反対しているのは、暮らしを守るためだけではありません。

「海も川も森もすべて豊かなのに、天国みたいなとこなんだけど、そこでは戦争のための訓練をしてるわけだよね。

ベトナム戦争の頃もここで訓練して、ベトナムの一般の人たちが犠牲になっていて、ベトナムでは、沖縄を『悪魔の島』って言う人もいるみたいなのね。結局みんな関係ないような顔してるけど、実際は自分たちも加害者になってるんだということを、ちゃんとわかってないといけない。結局は戦争に加担してるんだよっていうことをね」

全国からの応援に勇気付けられる

「活動している住民がいろんな人とつながって、ヘリパッド建設をとめたいなって思う人達が全国から来て、車の中で寝たり、テントで寝たりしていて、本当に勇気づけられる。

それでも、反対っていう人たちの声を権力で押しつぶそうとして、500人の機動隊を連れてきて。

数ではどうしても敵わないし、とにかく人が全然足りないから、一人でも多くの人たちに高江に来てもらいたい」

また行きたい場所

 「もうすぐホタルが出てくるから、見て行ったらいいよ」

夕方ごろ、安次嶺さんは私たちにこう声をかけてくださいました。

あたりが少しずつ暗くなってくると、子ども達が指差す先の森の中に、黄色とも緑とも言えない小さな光がゆらゆら動き出しました。 

「星かホタルかわからないくらい、たくさん見える日もあるよ」

子ども達が、ホタルを捕まえて私の手に乗せてくれました。何時間でも、見ていられる気がしました。

正直なところ、実際高江に行くまで、私にとって高江は「ヘリパッド建設とたたかう村」というイメージでした。

でも、安次嶺さんをはじめ、高江に暮らし、自然を愛し、やんばるを守りたいと強い願いで活動を続けるみなさんにお会いして、高江は「また行きたい場所、また話したい人がいる場所」になりました。

安次嶺さんがおっしゃいました。

「機動隊ともみあったり、ちょっともう疲れたなって思うときもあるけど、こういう自然が豊かな場所だからこそ、反対活動だってゆっくりやらないとね。

ああいうがちゃがちゃが毎日あるというのも現実なんだけど、たとえばこの蝉の声とか、沢にいるいろんな生きものとか、どれだけやんばるが、高江が、豊かなところかということを伝えたいと思ってね。機動隊とぶつかってんのを見たら、来たくても怖くて来れないと思うから。

こういう自然の中で、自分たちが抵抗して、声をあげて、それでも豊かに暮らしてるんだといういことを伝えたほうが、高江の自然の中へ行ってみようかって思ってもらえるんじゃないかって。一緒に座り込みすることもすごい大切ではあるんだけれど、いろんな方向からいろんなかたちで伝えていきたいと思ってね」

工事現場入り口前の座り込みテントでは、夜には満天の星空が広がります。 

高江の美しい自然に触れると、安次嶺さんはじめ、高江で反対の声を上げ続けるみなさんがどうして毎日、活動し続けられるのかがわかった気がします。

「絶対にまもりたい」その気持ちで、あなたも一緒に声を上げませんか?

「命の楽園をまもって」いますぐ署名で伝える >

そして、もしできるかたは、ぜひ高江に行ってみてください。高江の素晴らしい自然や、あたたかい人々の笑顔に、出会うことができます。

参考資料

映画『標的の村』

http://www.hyoteki.com/

ヘリパッドいらない高江住民の会「voice of takae」

http://nohelipadtakae.org/files/VOT-jp2015June28.pdf

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