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こんにちは!エネルギーチームの鈴木かずえです。

フラマンビル (フランスで問題が発覚したフラマンビル原発 2004年の抗議行動)

3分の1の原発が止まっているフランス

58基あるフランスの原発が、3分の1も止まっているのをご存知ですか?

重要な部品に、強度不足があったからです。

鋼材に含まれる炭素が多すぎるともろくなります。そうした部品を持つ原発が18基もありました。(これまでのお話はこちら

フランスの原子力エネルギー利用の歴史において、最大の危機です。

日本の原発は大丈夫?要請書を持って鹿児島へ

11月16日、17日と、鹿児島県に行ってきました。

その強度不足の部品を作った会社「日本鋳鍛鋼」が、今、稼働中の鹿児島の川内原発の部品も作っているからです。

2014年にフランスでこの問題が発覚して以来、この問題に取り組んできたグリーンピース・ドイツのショーン・バーニー(上写真右)とともに鹿児島に行きました。

鹿児島県の原子力安全対策課に、今、フランスでおこっていることを伝えて、日本の原発にも、フランスと同じような問題がある可能性を説明し、知事宛の要請書を渡しました。

要請したのは2つのこと。

—鹿児島県で、独自の検証をすること

—重要機器の健全性の確認がとれるまで再稼働を認めないこと

原子力安全対策課の方は、「知事に伝えます」といってくれました。

鹿児島県の原子力安全対策課にお話したことは以下の通り。

  • 仏政府の諮問機関委員も務めるグリーンピース

グリーンピース・フランスは、原子力問題についてのフランス政府の諮問機関「原子力安全情報・透明性高等委員会(HCTISN)のメンバーであり、フランス国原子力安全局(ASN)、フランス電力会社、アレバ社(強度不足の部品を供給したフランスの原発総合メーカー)などとの会合に定期的に参加し、情報を入手し、分析、提言をしている。

  • ASNは、日本鋳鍛鋼の部品を使っている原発を停止させて検査させている

フランスで強度不足の部品がある原発は18基。ASNはそのうち7基を停止させて検査をさせており、12月中にもさらに5基についても停止させて検査する予定である。その12基で、「日本鋳鍛鋼」の部品が使われている(ここで鹿児島県の方から、「停止は命令か、自主的か」と質問がありました→「命令」です!)。検査は、今後数ヶ月かかるだろう。

  • 部品メーカー、電力会社の報告書は不十分

日本の原子力規制委員会は、日本の原発について、部品のメーカーと電力会社に、同じような問題がないか報告させたが、製造当時の記録の抜粋であり、現物の非破壊検査などをしていない。

  • フランスでは、非破壊検査、破壊検査もさせている

ASNは、記録の調査以外に、非破壊検査(スパーク検査、超音波検査などの検査)。そして、問題のあった機器と同型の機器を切断して、内部の検査をする破壊検査もしている。

  • 破壊検査でわかった、奥深くの炭素の多い部分

破壊検査をし、奥深く炭素の多い部分があった。これは非破壊検査では知り得ないこと。しかし、まずは非破壊検査をするべきだ。フランスでは、業者の記録だけで問題を終わりにせず、非破壊検査をしたからこそ、規格を上回る欠陥品を見つけることができた。

 (ASNの資料より作成)

  • 同じ時期につくられた日本の部品

日本からフランスに輸出された強度不足の部材は、1989〜2007年に作られたもの。日本で使われている部品も同じ時期につくられている。

  • 県自身で検証をし、健全性の確認を

鹿児島県で、専門家の意見を聴取するなどし、また、部品メーカーや電力会社に資料を請求し、検査を求めるなどして、検証をしてほしい。川内原発1号機が止まっているこの機会に、検査ができると思う。

記者会見でもくわしく説明し、テレビや新聞が大きく報道

原子力安全対策課を訪れた後、記者会見を開き、くわしく説明しました。 翌日、地元の南日本新聞も大きく報道してくれました。

16日夜には、これまでも一緒に川内原発をとめる活動をさせていただいてきた鹿児島のみなさんに、この問題を共有しました。川内原発地元の薩摩川内市からも何人もきてくださいました。

翌日は、さらに地元記者さんからの個別の取材にこたえ、また、鹿児島県会議員の方々、鹿児島市議会議員、薩摩川内市議会議員の方にもお会いして、説明しました。次回の議会で質問してくれると思います。

メディアや議会でとりあげてもらうことは、「安全じゃないということであれば強い対応を取る」と明言している鹿児島県知事を応援することになると思います。

今すぐ検査を

製造当時の記録だけでなく、現物の検査をさせましょう。 フランスでは、現物の検査で初めて、強度不足とわかったのですから。

フランスでは検査が続行中です。できるだけ早く、情報をお伝えして、日本の原発の部品も検査が必要なことを引き続き訴えます。

あなたも、加わってください。

「いますぐ検査を!」署名する >

強度不足問題、こちらのブログでもご説明しています。

11/22(火) 勉強会のお知らせ

知ってください。フランスで起こっていること。 日本で起こるかもしれないこと。勉強会を開催します。

日時: 11月22日(火)13:00-14:30 ※12:30 より通行証配布

場所: 参議院議員会館 B101会議室 

講師: ショーン・バーニー(グリーンピース・ドイツ 核問題シニアスペシャリスト)

発言:井野博満氏(東京大学名誉教授 工学博士 金属材料学)、阪上武氏(原子力規制を監視する市民の会) 他

共催:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン/原子力規制を監視する市民の会

問い合わせ:国際環境NGOグリーンピース・ジャパン 鈴木かずえ 03-5338-9800(代表番号)

<定員36名:満員の場合、ご入場いただけないこともございます>

ご参考記事:ショーン・バーニー インタビュー記事 「日本製鋼材の強度不足でフランスの原発停止中! 日本の原子力規制委は何をすべきか?」 

*The Haut Comité pour la Transparence et l'Information sur la Sécurité Nucléaire(HCTISN)http://www.hctisn.fr/

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