こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。(映像はこちら)
11月28日、原子力規制庁に聞きました*。
「フランスの原発で、日本製部品の強度不足が発覚しました。フランスではその会社の部品を検査しています。日本では検査しないのですか?」
規制庁の答えは、まとめれば、以下のようなものでした。
「日本の部品には、強度不足のおそれはないと判断しましたので、検査の必要はありません」
けれど、その判断は、電力会社の報告書や、部品メーカーからの資料にもとづいています。
その部品は鋼材でできていますが、質疑応答に参加した金属材料学が専門の東京大学名誉教授の井野博満氏は、「メーカーの資料には信頼できない点がある」と言います。
電力会社の報告書も、製造時の記録に基づくもので、現物の検査をしたデータが掲載されているわけではありません。
フランスでこの問題が発覚して以来取り組んできたグリーンピース・ドイツ核問題シニアスペシャリストのショーン・バーニーは、日本鋳鍛鋼株式会社の部品に異常があったのにかかわらず、フランスの原発に導入されたが、今回、フランスの原子力規制機関の指示で検査が行われたことにより、異常を見つけることができた、だから、日本も記録の調査だけでなく、検査すべきだと訴えました。
なお、今回、検査(非破壊検査)をしたことで、フランスの規格を満たしていないことが確認されています。
原子力規制庁との質疑応答に参加した、元原子炉製造技術者の田中三彦さんは、「メーカーに勤めていたからわかるが、都合の悪いことは報告しない。だから、規制は市民の側にたって、メーカーを疑わなくてはならない」と言いました。
稼働中の九州電力川内原発から15キロのところに住んでいる高木さんは、「なんで、住民の安全安心を考えてくれないのか。なんで、とめて調べてくれないのか、というのが住民としての気持ちです。今、川内1号機は、今点検中で動いていないのだから、調べてくれないか。2号機は、とめて、調べてくれないか」と訴えました。
しかし、規制庁は「規制は安心という面ではなく、技術的に問題ないことを判断している」と述べ、検査については否定的でした。
前述の井野博満教授は、現在の調査が、過去の分析データや解析結果だけで、現物の検査をしていないことについて「超音波による非破壊検査や表面の組成分析は、現物ですぐにでもできるはず」とコメントしています。
>規制庁とのやりとりはグリーンピースのフェイスブックからご覧になれます。
ここで、お願いです。グリーンピースが始めた「検査を求める署名」の〆切は、11月23日でした。そして、この日、それまでに集まった12,650筆を提出しました。
この署名、継続させてください。
今日の原子力規制庁への質問の場に、国会議員もかけつけてくれ、「検査をすることを検討して」と求めてくれました。
報道関係者も来てくれました。
声は確実に広がっています。規制庁にどうしても検査を検討してほしいです。
どうか、この署名を多くの人に知らせてください。
このブログを広めてください。
*原子力規制庁への公開質問は、「原子力規制を監視する市民の会」との共催です。また、福島みずほ参議院議員、山本太郎参議院議員のご尽力で実現しました。
【参考資料】
グリーンピース・フランスは、原子力問題についてのフランス政府の諮問機関「原子力安全情報・透明性高等委員会」(HCTISN)のメンバーであり、仏国原子力安全局、フランス電力会社、アレバ社、IRSNなどとの会合に定期的に参加し、情報を入手し、分析、提言をしています。そこで得た情報、および個別にフランス原子力安全局(ASN)から得た情報、そして、原子力規制庁からの公表資料(9月まで)の分析を、国際原子力機関(IAEA)や、英国の原子力規制機関にも在籍していたエンジニアであるジョン・ラージ博士に委託しました。その委託報告書「⽇本の原⼦炉に導⼊された⼀次冷却系部材、炭素異常に関するレビュー 第⼀部 フランスの炭素異常と⽇本の原⼦⼒発電プラントの相互関係」をぜひ、御覧ください。>概要(日本語)
>全文(英語)
まさのあつこさんによるショーン・バーニー インタビュー記事 「日本製鋼材の強度不足でフランスの原発停止中! 日本の原子力規制委は何をすべきか?」
グリーンピースは、政府や企業から一切お金をもらっていません。独立した立場だからこそできるこうした活動で、緑豊かで平和な未来を実現するため、ぜひ、ご寄付で今後の活動へのご支援・ご協力をお願いいたします。
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