こんにちは。エネルギーチームの鈴木かずえです。
フランスで建設中の原発の部品に強度不足が発覚した問題。
まだ、続いています。(これまでの話はこちら
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(写真:フランスのフラマンビル原発へ搬入される蒸気発生器 ©Greenpeace) 

フランスを襲った原子力史上前代未聞の危機

強度不足が疑われた原発はフランスの18の原発。そのうちの12基には、日本鋳鍛鋼社製の蒸気発生器部品が使われており、現物の検査(非破壊検査など)で、それらの部品の炭素濃度が基準を満たしていないことがわかっています。
フランスの原子力安全局は、さらなる調査のために12基すべての停止を命じ、そのうち、10基が2016年後半に止まりました。
去年は、定期点検やそのほかの問題で、それ以外の原発の多くも止まり、フランス原子力史上、前代未聞の危機となりました。

フランス全土の原発を運営しているフランス電力会社(EDF)の負債は、すでに300億ユーロ以上となっています。

 

フランスでは原発が再稼動。しかし、問題は解決していない。GP0STQEDV_Low_res_with_credit_line のコピー.jpg

(2016年12月、EDFに抗議するグリーンピース・フランス)

実は、2017年1月16日現在、日本鋳鍛鋼社製の蒸気発生器部品が使用されている原発12基のうち、8基がすでに再稼働しました。まだ4基は再稼働していませんが、今月末までにはもう1基が再稼働する見込みです。

日本国内でも、強度不足問題が終わったと言わんばかりの報道もあります。

2016年11月に、EDFは、蒸気発生器部品の炭素濃度が基準よりも高くても、安全に運転できると、規制当局に向けて主張しました。

フランスの原子力規制当局は、中央政府からの圧力に屈した形でこれを受け入れました。しかし、それにはリスクを減らすための以下の「要求」をつけました。

   要求1 冷却材喪失事故時の、とくに熱衝撃のリスク評価をすること
   要求2 実物大レプリカを作らせて検査すること
  (注:これは日本鋳鍛鋼に作らせるということです)
   要求3 温度の変化に対する老朽化の影響評価
   要求4 蒸気発生器のノズルの周辺の亀裂のリスク評価
   要求5 すべての検査についての計画を2カ月以内に提出すること
   要求6 より詳細な原子炉内の温度の変化に対するリスク評価 
   要求7 冷却時の熱衝撃、特に事故時に冷却水停止の場合のリスク評価   
   要求8 熱衝撃に関し、特に冷却水用パイプの温度差へのリスク評価
   要求9 出力を上昇に伴う温度変化に対するリスク評価
   要求10 一般運営ルールに、上記評価を反映させ原子力安全局に提出
   要求11 非破壊検査で機器中の炭素濃度が0.4%以下であることを確認
   要求12 非破壊検査により亀裂がないか確認すること
•    要求13 未検査のサンローラン B1原発についても以上を実施
(以上グリーンピースによる仮訳:正式にはこちらのサイトの「letter to EDF」をごらんください)
EDFはこれらの「要求」を6カ月以内に満たさなければなりません。
その中には、日本鋳鍛鋼社に試作品を作らせて破壊検査をすることも含まれていますが、まだ、その結果は、得られていません。

これらで要求されている検査などの結果が明らかになれば、同じ日本鋳鍛鋼社製の部品を使っている日本の原発にも影響を及ぼすでしょう。

 

今、あなたにできること

日本の原子力規制委員会は、書類の検査で「問題なし」と判断してしまいましたが、フランスのように現物の検査(非破壊検査、破壊検査など)が必要です。

グリーンピースは、日本の原発の現物の検査を求めて活動しています。
ぜひ、署名にご協力ください。
すでに署名してくださった方は、ぜひ、この続報を広めてください。

日本でも、強度不足が疑われる部品の、現物の検査を!

ぜひ、「いますぐ検査を」署名にご参加ください。

「いますぐ検査を!」署名する >

 


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日刊SPA! 記事:日本の原発17基の「重大欠陥部品」疑惑。放置すれば破局的事故の可能性も!? 

衆議院 原子力問題特別調査委員会 2016年12月9日 民進党初鹿明博議員 原発部品強度不足問題について質問 議事録 

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