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人間が引き起こした最大級の環境破壊の事例、アラル海  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki 

 

グリーンピース・ジャパン広報担当の城野千里です。

大変お待たせいたしました! 

「ベテラン環境記者と、グリーンピース・ジャパン元事務局長が語る、日本の環境問題の本質!(前編)」に続きまして、後編をお届けします。

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「最近の記者はインターネットばかり見てて、現場に行かない傾向があるんですが、僕は環境破壊の現場をあちこち見にいくことを大切にしてきました。グリーンピースと同じです」

井田さんはそう言って、たくさんの現場からの写真を紹介してくれました。

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共同通信編集委員・論説委員の井田徹治さん(写真:井田氏提供)

 

3年間で日本列島1個分の森が消えている

急速に森林破壊が行われているカンボジアの森。

全部森だったところを、人間がアブラヤシの畑にしてしまったマレーシアの地域。

土地劣化がすごい勢いで進んでいるブラジル。

雪?と一瞬見間違える白い物質は、実は塩。灌漑農業を間違った方法でやってしまって、塩類化した土地が広がるパキスタン、ウズベキスタン。
 

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ウズベキスタンの塩類化した土地   ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki 

人間が引き起こした最大級の環境破壊の事例、アラル海。もとは世界3番目の大きさの湖だったけれど、綿花畑をつくるために、流れ込む川から取水しすぎて、湖はいまや十分の一の大きさに。昔は漁業でにぎわったのに、いまは不思議なほど生き物がまったくいないそう。

1年間で日本列島の1/3の大きさの森が、農地をつくるためになくなっています。

そして毎年、それと同じくらいの面積の農地がダメになっている。森林破壊も土地の劣化もどちらも同じくらい起こっているんです」

また、世界の環境破壊に日本がかかわっている事実も衝撃的でした。 

9割の森がなくなったマダガスカル、天国に一番近い国と言われるニューカレドニアで起こったニッケル鉱山を取り巻く環境破壊。大きく関わったのは日本企業だと。

日本のODA(政府開発援助)の教科書と言われるブラジルのあるプロジェクトでは、生物多様性が豊かだったサバンナが様変わりしたそう。食料生産を伸ばした反面、深刻な環境破壊が進み、ODAの負の側面といえます。


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マダガスカルで、ニッケル鉱山へのパイプラインを建設するために森が切り開かれる  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki

 

毎年800万〜1000万トンのプラごみが海へ

世界中で大変なことになっているごみ問題についてもご紹介いただきました。

セルビアの美しき青きドナウ川は、いまや美しくも青くもなく、ゴミだらけで、工場排水による汚染も起こっていると。

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工場排水のため茶色く濁るドナウ川上流  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki

美しいビーチで有名なモルディブでもごみが深刻。特にひどいのが使い捨てプラスチックに紙オムツ。最近、水深1万メートルの海の中でまで、レジ袋が見つかったそうです!

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モルジブのビーチのごみの山  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki

 

30年前は、プラスチックごみの問題も紙おむつもなかったと、会場の参加者の方々も口を揃えておっしゃっていました。

井田さん「紙オムツの問題は途上国、先進国どちらでも深刻ですね。あれは実は、紙じゃないんです。吸収剤だから燃やせない。ペットボトル、レジ袋についても大問題です。800万-1000万トンが毎年海に流れ込んでいます

そのような中、日本の対応が遅れているということも残念な事実でした。 

井田さん「ルワンダ、イギリス、台湾など多くの国がレジ袋を禁止にしています。一方、日本は、プラスチックを使い過ぎです。自然エネルギーの普及でも遅れていますね。この30年、グリーンピース・ジャパンの活動にもかかわらず(笑)(日本事務所の設立は1989年)、日本の環境対策は遅れ、悪化しています。もはや省エネ先進国でもありません。その辺りの認識を改めないといけないですね」

 

それでもまだ残る貴重な自然

さて、井田さんから「環境破壊」の現場からのたくさんのお写真を見せていただいたあとは、「それでもまだ残る貴重な自然」のお写真を見せていただき、少し希望を取り戻しました。

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フィリピンのマングローブ  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki

コンゴ、ルワンダ、マダガスカル、ブラジルなど、環境破壊がひどい地域のすぐそばに、まだ貴重で美しい自然や、かわいい希少な動物たちが存在しています。

「森が残っているところには、多様な動物が住んでいます。でも、そのすぐ隣では厳しい環境破壊が。いまは境目です。そして、きれいな方が分が悪いんです。そのトレンドをどう逆転させるかが課題ですね」
 

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ルワンダのマウンテンゴリラ  ⓒTetsuji Ida/Hikaru Mizuki
 

井田さんは猿がお好きなんですね。霊長類の本も出されています。

 

一人ひとりの生活者ができることは?

最後に、この壮大な環境問題に、どうやって立ち向かえばいいのか、一人の生活者として何ができるのか、聞いてみました。
 

佐藤さん「日本では、何を買っているかが大きいんです。自然破壊を起こしているアブラヤシを原料とするパームオイルはそこら中の食品に入っていますし、プラスチックもたくさん使われている。食べるもの、買うものを気をつけていけばいいと思います。また、ものを長く使うことはいいことだと思います。日本人は、一人あたり年間8.7kgの服を購入し、そのうち7.4kgを廃棄していると言われています」

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グリーンピース・ジャパン元事務局長の佐藤潤一さん(写真:佐藤氏提供) 

「また、NGOのような大きな団体と個人ができることはそれぞれあるので、グリーピースなどの市民団体を寄付で支える会員になることは大事だと思います」

井田さん「日本の消費活動と遠くの国で起こっている環境破壊がつながっている、ということをちゃんと知ることが大切です。たとえば、コンゴ民主共和国の森で取れる鉱物でつくった部品が、私たちの使うパソコン、携帯にほぼ絶対入っています。つまり、私たちの便利な暮らしが、ゴリラの生息地の破壊につながっている。遠くの森や国で起こっている環境破壊と消費生活とのつながりを理解することが大切。僕はそのために仕事をしています」

「ぼくらが書くような記事、グリーンピースが出すような情報を知ってもらった上で、インパクトを減らすための行動の手がかりの一つとして、認証マークつきの商品を選ぶことはオススメです。お墨付きを得た森の木が使われているFSCマークなどの森林認証マークなどがあります。

GPJ office


欧州ではみんな競ってこういったマークの商品をつくって、消費者もそれらを選んでいます。日本でこのマークが活用されないと、欧州で使えない製品が日本の市場にやってくるという負の効果がありますからね。」

小さなことでも、私たち一人ひとりにできることはありそうですね。

井田さん、佐藤さん、ありがとうございました。

希望をもって、これからもグリーンピース職員として、皆さんに環境問題を考え、一緒に行動を起こしていただけるよう頑張っていきます!

Jono

広報担当 城野千里

前編はこちらをご覧ください。 

 

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