こんにちは。海洋生態系担当の小松原です。本日も引き続きWCPFC第10回北小委員会よりお伝えします。2日目、いよいよ協議も白熱してまいりました!
どんな人が参加しているの?
私は今回初参戦のこの北小委員会ですが、ぐるっと参加者を見回してみると、日本の政府団のほかにも、傍聴席にたくさんの日本人がいます。北小委員会オブザーバー暦7年の花岡もビックリするほどなので、今回の目玉とも言える、太平洋クロマグロの資源管理についての注目度の高さがうかがえますね。
昨日今日で各国の政府団を含む多くの方々とお話しさせていただきましたが、中でも気になったのが、傍聴席でお見かけした漁師さんたちです。今日は、そんな漁師さんたちに突撃インタビューしました!
一本釣り漁師さんに聞いてみました
私がお話を伺ったのは、太平洋クロマグロの一本釣りをされている漁師さんです。
「日本政府が漁獲量の削減を提案」と聞くと、漁を生業とする漁師さんからすると獲れなくなるので、反対なのでは?と思いますよね。
実は違うんです。
事態はもっと深刻で、未成魚の乱獲の影響で太平洋クロマグロが釣れなくなっているとのこと。その思いの丈を語っていただきました。
海で漁をするのがお仕事の漁師さん。国際会議に参加されているワケは?
「マグロが獲れなくなっている。海からマグロがいなくなっている。」という切実なお答え。
事態の深刻さに「漁業者自らが声を上げることが大事」と語る漁師さんは、なんと2ヶ月近くも漁をお休みされて、太平洋クロマグロの資源管理と持続可能な漁業の推進のために活動されているそう。
WCPFCでは、10カ年の資源回復計画を考案中ですが、マグロがいない状態が続けば、「10年後に回復した時に漁師が残っていなければ意味がない」とおっしゃっていました。ごもっともです。
資源管理計画について話し合う北小委員会には、「適正な資源管理が国際的にされるようになってほしい」と期待されています。
日本の提案「未成魚の漁獲50%削減」だけでは不十分?
未成魚だけでなく成魚の資源量も歴史的最低レベルであることから、「未成魚を規制しても親をどっさり獲っては意味がない。産卵期のものについてもやらないと」と、管理計画の甘さをご指摘されていました。
また、「巻き網で獲っているから、(マグロは)回遊魚だから全国的にいなくなってしまう」、「資源が少ないから余計に産卵期のものが狙われる」と、産卵親魚が一網打尽にされている現状と、一本釣りなどの「釣り」漁業への深刻な影響も。
みなさんに知ってほしいこと!
活動の最終目標は「産卵期の太平洋クロマグロの漁獲規制」と語る漁師さんたちですが、私たちひとりひとりへのメッセージとして、「(他の国も獲っているけど)日本が一番獲っているし、食べている」ことを知ってほしい、また「人間の手が入って変わったところを直せば復元できる」と、私たちが進むべき方向性を示す力強いお言葉をいただきました。
委員会終了まであと2日。この漁師さんたちの切実な思いを形にすることができるでしょうか。私たちも引き続きロビーイングなどを通じて、持続性確保を優先した保護管理措置への国際合意を目指します。
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